ヘルスコンシャスブームの立役者!2018年の締めくくりは“ボタニカル”
アメリカでも日本でも、2018年は“健康志向”へと邁進した一年でした。その影響もあってか、以前よりさらに素材や作り方への関心も高まっています。“オーガニック”や“ナチュラル”などの謳い文句が製品に溢れている中で、今年特に注目されたのが“ボタニカル”という言葉。イメージとして「植物」や「自然」といった意味を連想されることも多いですが、ヘアケア製品や化粧品、またインテリアやファッション業界までそのトレンドを広げています。アメリカでは、10月以降イベントシーズンに突入すると、ボタニカルカクテルなども人気を集め、パーティーを華やかに、そしてヘルシーに彩っています。今回の記事では、2018年に話題を呼んだ“ボタニカル”について、その意味と使われ方、トレンドの最前線や手作りレシピまでたっぷりご紹介していきます!今年の大晦日はボタニカルカクテルで新しい年を迎えてみてはいかがですか?
ボタニカルとは?オーガニックやナチュラルとの違い
今年は特に目にすることが多くなった“ボタニカル”の製品。なんとなくヘルシーでクリーンな印象を受けますが、実際には“植物の(植物由来の)”製品であるという意味合いを持ち、それ以上でもそれ以下でもありません。例えばシャンプーであれば、植物(ハーブ、根、花、フルーツ、葉、種)から抽出した成分を利用して製造されたシャンプーということになり、その植物がどのように栽培されているのか、また植物由来の成分がどのくらい配合されているのかは、明確に定義する必要のない広義的な解釈が可能となります。
一方ボタニカル同様、昨今のヘルシー路線を先導する“オーガニック”の製品には、厳しい規定が定められている国が多いのが特徴。日本でもアメリカのオーガニックスキンケアや食品が人気ですが、米農務省によって“オーガニック”を“有毒な農薬や化学肥料、合成物質を使用せず、環境や人体に配慮した製法で生産した製品”というような定義がされています。そして認証基準(USDA Organic)を満たした製品のみが、以下の表記を使用していいことになっています。
【認証基準(USDA Organic)を満たした製品に使用される表記】
◆「100% Organic」(オーガニックの比率100%)
◆「Organic」(オーガニックの比率95%以上)
上記二つのように、成分中のオーガニックの含有率が95%以上の製品に限り、USDA Organicのマークを使用するこが許可されています。オーガニックの比率が70%以上95%未満の製品は、パッケージに「Made with Organic ingredients」(オーガニックの原材料で製造されています)の記載が可能ですが、オーガニックマークを使用することはできません。またオーガニック含有量が70%未満の場合は、パッケージに「Organic」と記載することは規制されていますが、成分表内にはオーガニックの原料名を記載することができます。つまり、私たちが普段買い物するときに目にする米農務省の認証基準を満たしたUSDA Organicマークは、オーガニックの含有量が95%以上の製品にしかついてないことが分かります。それだけ、定義付けがしっかりとなされているわけです。(もちろん、一昨年某オーガニックスキンケアブランドで発生したように、成分の申告そのものに完全な虚偽があれば、上記の定義付けのすき間を抜けることはできてしまうわけです)
また“オーガニック”と類似して、安全・安心の代名詞のように捉えられがちなのが“ナチュラル”という表現です。アメリカの製品だと、“Natural”や“All (100%)Naturarl”のような記載をされることが多々あります。ただし、この“Natural”という表現は、食品の肉類に関してのみ、米農務省が規定を設けています。肉類の製品のパッケージに「Natural」と記載するためには、肉類の生産に使用される家畜に、成長促進剤、抗生物質、哺乳類動物・鳥類・水生生物由来の飼料を与えてはならないことが規定されています。そのため、他の食品や化粧品・ヘアケアなどに関しても、“Natural”という文言を目にすると、自然由来の原料を使い、加工工程が最低限で、人工調味料や人工着色料、保存料が使用されていないことが一般的には推定されがちです。しかし、肉類以外には現段階で明確な規定がなく、何がどういう点で“Natural”なのか基準がないために、“巧みな言い回し”の範疇で使用されてしまうことも十分にあります。アメリカでは、菓子メーカーや食品メーカーがヘルシーさをアピールするために“All Natural”という文言を使用し、実際には遺伝子組み換え種子や合成成分などの混入によって訴訟問題に発展しているケースは多く報告されています。
パッケージの成分表記を信頼するしかない消費者にとっては、特に規定がない“ナチュラル”や“ボタニカル”という表現を安心・安全が保障された製品だと、鵜呑みにしてしまわないことが重要です。特にヘアケアや化粧品などは、曖昧に表現されてしまうことも多い“ナチュラル”系の化粧品が自分の肌や髪に合っているのか、研究に研究を重ねたサイエンス系の化粧品の効果を求めるのか、意志を持った選択が必要な時代になってきたというわけです。
“ボタ二カル”のトレンド最前線
美容業界も“ボタニカル”
特に日本ではヘアケア製品のヒットで一躍その名が知られることとなった“ボタニカル”製品。アメリカや他の海外でも、大手メーカーが植物研究所とコラボしてボタニカルラインを発売するなど、美容業界でも大きな賑わいを見せていました。
しかし、アメリカでナチュラル派を貫く女性たちの中には、“ボタニカル”(植物由来)であるだけでなく、“オーガニック”であることを求める人が多いため、ヘアケアやスキンケアなどの個人のこだわりが強く反映されるフィールドでは、“ボタニカル”の浸透は日本ほどではなかったような印象です。逆に、店や家のインテリア、ファッション、そしてお酒など、遊び心を持って取り入れられる分野で“ボタニカル”が浸透していました。
“ボタニカル”インテリアは店舗でも大人気
店のインテリアでは、ボタニカルガーデン(植物園)にいるかのように、たっぷりの緑をあしらった空間デザインが急激に増加しました。少し前までは、インダストリアル系と呼ばれるテイストが多く、味のある古めの木材と無機質なメタル素材、そして黒やダークブラウンといった重みのあるクールな空間演出が人気だったので、大きな変化といえるでしょう。LAのトレンドの中心であるダウンタウンやアボットキニーなどのカフェでも、クリーンなヘルシー路線を後押しするかのように、緑が豊かで明るく清々しいボタニカルなインテリアのお店が話題を集めています。
オープンエア (Openaire)
ビニールハウスのような店内が魅力の「オープンエア (Openaire)」。計算されたプランツの飾りとシックなテーブルセッティングで、ナチュラルでありながら洗練された空間に。LAガールがこぞって押し寄せるのもうなずけます。
ザ・ブッチャ―ズド―ター (The Bucher’s Daughter)
「ザ・ブッチャ―ズド―ター (The Bucher’s Daughter)」は、数あるアボットキニーの有名店の中でも1、2を争う人気店。緑に囲まれたパティオに、花が溢れる店内は、SNS映えも確実。実際にお花も販売しており、あらゆる方面で女ゴコロをくすぐりますね。
自宅のインテリアもボタニカルがブーム
もちろん、ボタニカルブームは家庭のインテリアでもうなぎ昇り。植物を置くだけでなく、壁紙やクッションなど、ボタニカルプリントも人気を集めています。
ファッションも、もちろん“ボタニカル”
2018年は、ファッションでもボタニカル柄が多く登場していました。単純な花柄であれば、春夏はリピートしてトレンドになりますが、草木をメインに描かれている点が今年の特徴。まさにボタニカルを象徴するようなプリントが、服だけじゃなくバッグや携帯ケースなどの小物にも見られます。
スマッシュヒット!“ボタニカル”アルコール
アメリカの“ボタニカル”商品では、意外なスマッシュヒットとなったのが、ボタニカルアルコールです。本物の植物を原料にし、人工着色料や人工甘味料を使っておらず、低カロリーで“ナチュラル”なウォッカとして、アルコールメーカーの「ケトルワン(ketel one)」などがボタニカルシリーズを発売しています。
※「ケトルワン(ketel one)」のインスタグラムは、アルコールのため「制限されたプロフィール」として21歳未満の場合、プロフィールを見ることはできませんのでご了承ください。ローズとグレープフルーツ、ピーチとオレンジ、キュウリとミントなど、花と野菜、フルーツをミックスしたラインナップが登場しました。ヘルスコンシャスの高い女性たちをターゲットに、できる限り健康的にソーシャライズすることを提案しており、その点にヒットの理由がありそうです。
さっそく、ボタニカルアルコールや素材を使った手作りカクテルのレシピを紹介していきます!
年末年始は手作りボタニカルカクテルで!
クリスマスに大晦日、お正月とイベントやパーティーが続くシーズン。ボタニカルアルコールやトッピングを上手に使い、ヘルシーなお酒の飲み方をしたいものですね。ここでは、ボタニカルのアルコールや材料を使った手作りカクテルのレシピをお届けしていきます。レシピは、飾り用の材料を除いて全ての材料をミックスすれば出来上がりと、簡単。なお、レシピのアルコールの量は各自調整してくださいね。
トロピカルカクテル
トロピカルカクテル<材料 1人分>
- レッドグレープフルーツジュース・・・1/2カップ
- ハイビスカスティー・・・1/2カップ
- ライムの搾り汁・・・大さじ1
- ボタニカルウォッカ・・・適量(3オンス/約88mlくらい)
- 飾りのライム・・・1スライス
ボタニカルアルコールは、ローズ&グレープフルーツなど甘さと酸味のバランスが良いものがおすすめです。
ボタニカルコンブチャカクテル
ボタニカルコンブチャカクテル<材料 1人分>
- レモンの搾り汁・・・1個分
- コンブチャ・・・ 3オンス/約88ml
- ボタニカルウォッカ・・・1.5オンス/約45ml
- 飾りの薄くスライスしたリンゴ 適量
- 飾りのスライスしたレモン 適量
ボタニカルアルコールは、キュウリ&ミントのようなグリーン系のフレーバーがおすすめです。
ラベンダーロゼ
ラベンダーロゼ<材料 パーティーサイズ>
- 炭酸水・・・1ボトル
- スパークリングロゼ・・・1ボトル
- ローズウォーター・・・小さじ2
- 食用ラベンダーの葉・・・大さじ2
- 食用バラの花びら・・・24枚
フルーツポンチ
フルーツポンチ<材料 パーティーサイズ>
- 炭酸水・・・2.5l
- ロゼ・・・750ml
- プロセッコ・・・560ml
- 薄くスライスしたライム・・・1個
- 薄くスライスしたレモン・・・1個
- 薄くスライスしたピンクグレープフルーツ・・・小さめ1個
- 食用花・・・25g
- バジルの葉・・・10枚
ザクロサングリア
ザクロサングリア<材料 4人分>
- 紅茶・・・2カップ(フレーバーはお好みで)
- 赤ワイン・・・2カップ
- シナモン・・・小さじ1
- レモンの搾り汁・・・大さじ2
- 飾り用のスライスしたレモン・・・適量
- 飾り用のザクロ・・・適量
- シナモンスティック・・・適量
そのほかにも、ハーブや花、フルーツはジンとも相性抜群なのでアレンジをお楽しみくださいね。単にアルコールを楽しむだけではなく、植物や果実の栄養素を少しでも取り入れてことができれば体も喜んでくれそうです。年末年始は、今年らしいアルコールでお祝いしてみてはいかがでしょうか?
2018年はヘルスコンシャスの最初の一歩
今回の記事でご紹介したように、“ボタニカル”という表現自体はとても広義的で、製品の根本的な質を問うならば、曖昧な領域も多分に含まれてきます。それでも、日本やアメリカで多くの女性たちが夢中になるのは、“ボタニカル”にはヘルシーなライフスタイルへの鍵が、ふわりと隠されているからともいえます。「ボタニカル製品を使っていたらなんだか健康そう」という“とっかかり”として、大きな役割を担ってきた印象を個人的には受けています。
ヘルスコンシャスのための最初の一歩、それが世間の注意を引きやすいように“ボタニカルトレンド”として2018年にやって来てくれたわけです。関心を持ち、知識を得て、そして自分の意志で選択する。その階段を積み重ねていくことで、より豊かでヘルシーな生活へと変わっていけるのでしょう。私もまだまだ登り始めたばかり。2019年も引き続き、読者の皆様と一緒に学んでいけたらいいなと願っています!
出典
http://www.organicitsworthit.org/natural/natural-vs-organic
https://www.envirocitizen.org/blog/2017/08/03/natural-organic-botanical-skin-care-products-defined/
https://cosmeticsinfo.org/ingredient/botanical-ingredients-0
https://coolmomeats.com/2018/05/10/fun-botanical-cocktails-recipes/