腸内環境を整える発酵食品で健康&美肌に【特別編】肌のハリには「酒粕甘酒」と「粕汁」
悪玉菌を減らし、善玉菌を増やして腸内環境を整えれば、健康になり、さらには美肌も手に入ると積極的に食べる人が増えている発酵食品。ここ数年話題になっている発酵食品を取り入れたレシピを紹介するシリーズの【特別編】はこれまでにも取り上げた「酒粕」の総集編です。改めて、酒粕についておさらいするとともに、寒い季節にふさわしい定番のレシピ「酒粕甘酒」と「粕汁」を紹介していきます。
酒粕がコラーゲンを増やす?最新の研究データに驚きの結果が!
「酒粕」といえば、日本酒を造るときにできるカス。そのカスに驚くべき力があることが科学的に証明されました。昔から、日本酒を造る蔵人や日本酒をよく飲む力士たちは「肌にハリがある」と伝承的にいわれてきたのは周知のこと。実は、その「肌のハリ」に日本酒の「α‐EG(α-エチル-D-グルコシド)」という成分が関係していることが金沢工業大学の尾関教授率いる研究グループによって解明されたのです!
たった1週間で効果が出る「α‐EG(α-エチル-D-グルコシド)」とは?
日本酒は、蒸した米に麹菌をふり、さらに酵母を加えて発酵させたものを絞って造られます。日本酒のうまみ成分でもあるα‐EGは、この酵母を加えた後に発酵する段階で生まれ、酒を絞ったあとの酒粕にも存在します。お酒を飲める人なら日本酒(純米酒)でOK。しかし、お酒が苦手な方や妊娠中の方などは、酒粕を煮立たせてアルコール分を飛ばしてもα‐EGを摂取することはできるのでしょうか? うれしいことに、このα‐EGは熱に強いので、調理してもその効果は変わることはありません。つまり、酒粕に含まれるα‐EGはアルコール分が飛んでしまっても摂取が可能なので、毎日の食事に取り入れることこそベストなのです!
尾関教授の研究によると、毎日50gの酒粕を1週間食べるだけで、コラーゲンスコアが上がり、実験に参加した40~50代の女性たちのほとんどが「肌がカサカサしなくなった」「化粧のノリが良くなった」と絶賛されたとか。しかも、食べることを止めた後も、コラーゲンスコアが減ることはなかったそうです。たった1週間で効果が出る食品とは、画期的!女性にとっては朗報ですよね!酒粕を飲んだり食べたりすることで、皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことが証明されたのですから、これは、もう日々の食生活に取り入れないわけにはいきません!
酒粕にはどんな種類があるの?
新鮮な酒粕が出回る年末年始は、さまざまな種類を店頭で見ることができます。使用する料理によって使い分けるといいでしょう。
板粕
板のような形をしていて少々硬めなのが特徴です。甘酒や粕汁など、ふやかして使う料理に向いています。お酒のつまみには、そのまま焼いて醤油をつけると美味しく頂けます。
ばら粕
昔からあるタイプ。板にならずにバラバラになったカスを集めたもの。甘酒や粕汁はもちろん、蒸してお餅の代わりとしたり、チーズのような食感なのでサラダに入れたりとアイデア次第でおやつ・おつまみにもなります。
練り粕
寝かせて発酵したものが多く、やわらかいので粕床に最適です。魚や肉を一晩漬け込んで焼くと美味しいです!なかには発酵が進んで茶色くなっているものも多く、みそ汁などに入れても合います。
まずは「酒粕甘酒」から酒粕生活をスタート!
寒くなるとスーパーやコンビニなどで甘酒が多く出回ります。そこで質問です!甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」という2種類がありますが、この違いは何だと思いますか?
米麹甘酒は、蒸した米に麹菌をふって発酵させた米麹をお湯(水)で薄めたもの。酒粕甘酒は、米麹に酵母を加えて発酵させて作った日本酒を絞ったカスをお湯(水)で溶いて甘味を加えたもの。さて、どちらを飲んだ方がいいでしょうか?答えは「酒粕甘酒」!なぜなら、コラーゲンを増やすα‐EGが含まれているのは「酒粕甘酒」だけだからです!
まずは、飲みやすい酒粕甘酒から酒粕生活を始めてみましょう。
酒粕甘酒<材料 2人分>
- 酒粕・・・100g
- 水・・・600ml
- 砂糖(ハチミツなどお好みで)・・・60g
- 塩・・・少々
- お好みでショウガを入れても美味しいですよ!
<作り方>
やっぱり「粕汁」、昔から受け継がれる日本の味
定番の粕汁は冬の救世主。たっぷり作って毎日飲めば、体も温まり風邪を引きにくくなります。暖房器具がなかった江戸時代から、「酒粕を飲むこと・食べること」は人々の知恵でした。また、「酒粕はアルコール分があるから体が温まるのか?」という疑問をもとに、酒造会社の「月桂冠」が研究した結果、「酒粕はアルコールを抜いても体を温める効果がある」ことが分かりました。まさに粕汁は毎日でも飲みたいですね!
粕汁<材料 4人分>
- 酒粕・・・300g
- 水(酒粕用)・・・400ml
- ダイコン・・・1/3本(約500g)
- ニンジン・・・1本(約150g)
- コンニャク・・・1枚(約220g)
- 油揚げ・・・1枚
- 鮭のかま・・・2切れ
- 水・・・2L
- かつおだし・・・16g
- みそ・・・40g
- 白だし・・・90ml
<作り方>
まだまだある、酒粕の利用方法
最初は酒粕甘酒からスタートして、馴れてきたらいろいろな料理にチャレンジしてみましょう。酒粕にはうまみ成分のアミノ酸が豊富なので、ほんの少量加えるだけでも食材の味を引き立てて、美味しくしてくれます。煮物はもちろん、炒め物にも使ってください。
酒粕は購入したままだと、固まりをふやかしてから使うのは面倒ですよね?そんな手間を解消してくれる使い方は「酒粕ペースト」を作ることです。基本的な酒粕ペーストは、ふやかした酒粕に塩を混ぜるだけ。冷蔵庫で1ヶ月は保存可能です。炒め物をするときに少量加えるだけで、うまみ増量!本当に美味しいのでぜひ、試してみてくださいね。
取材協力
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2017/0913_ozeki.html
http://www.gekkeikan.co.jp/RD/health/amazake02/