すこやかさとキレイをお約束!料理研究家のおすすめハーブ12選
「ハーブ」と聞くと、何が思い浮かびますか?ピザや肉料理に使う香りづけ?それともハーブティーでしょうか?そもそもハーブとは、野に咲く野生の香草や香味草のことを指します。そのなかでも実際に薬の原料になる「メディカルハーブ」、料理に使う「キッチンハーブ」があります。メディカルハーブは自然療法などにも使われ、代表的なものは15種類ほど。妊娠中の女性や子どもは口にしてはいけないハーブも含まれています。今回は、料理研究家である私、藤沢セリカが、誰でも口にすることができるキッチンハーブを中心に選りすぐり、その効果・効能や美味しい食べ方をご紹介していきましょう。
ハーブの役割とは?
アロマテラピーや漢方など、古くから健康のためにも役立てられてきたハーブ。その歴史は古く、古代エジプトではミイラの防腐剤として使われていたと記されています。その記録にもあるように、ハーブには食品の劣化や虫を防ぐ力効果があるため、生の食品を保存する時にハーブを入れたり、虫が付きやすい植物の隣にハーブ(ローズマリーなど)を植えたりします。また、過去には原始的文化を持つ国々で、宗教的な儀式に使われ呪術的な力があるとも信じられていました。今でもパワーストーンの浄化にセージを炊いたり、瞑想する際にハーブを用いたりするのは、ハーブの持つ神秘的な香りに起因しているのでしょう。現在のように、健康や美容に役立てるべく使用されるようになったのは、ギリシャのヒポクラテスがハーブを煎じて飲んだことから始まったようです。今では数多くのハーブティーがあり、日常的に手軽に飲めるようになりました。ハーブの香りはリラックス効果があるので、不眠症などの治療にも広く使われています。
キッチンハーブの種類と効果・効能、美味しい食べ方
「キッチンハーブ」にもかなりの種類があります。今回は、私がよく利用するハーブとおすすめの食べ方をご紹介します。
スイートバジル
「スイートバジル」は一般的に最もよく知られているハーブではないでしょうか。「ハーブの王様」と呼ばれるほど、イタリア料理には欠かせないものです。卵、肉、魚など幅広く使われ、葉をオリーブオイルやニンニク、粉チーズなどでペースト状にした「ジェノベーゼソース」も広く人気があります。バジルにはイライラを静める鎮静作用の「バジルカンファー」という成分があります。香りを嗅ぐだけでも効果が期待できるため、食べるのが苦手な人でも香りを楽しんでみましょう。
【おすすめの食べ方】
ソースにしたり、ドレッシングにしたりして、メイン料理とともに頂くのはもちろん、マルゲリータピザのように軽く焼いてもおいしいバジル。まずは生のまま、サラダとして食べてみることをおすすめします。
「フライドトマト&コーンのバジルサラダ」
輪切りにしたトマトをフライパンで両面焼き、コーンをかけ、バジルをのせます。そこに、塩、コショウ、オリーブオイル、バルサミコ酢をかけて頂きます。イタリア料理の副菜に最適。
ローズマリー
「ローズマリー」は爽やかだけど強い香りを放つハーブで、「若返りのハーブ」と呼ばれています。これは中世のハンガリーの逸話が由来になっています。逸話とは、王女が美しさのために、ローズマリーを配合したローションを使っていたところ、若返り、60歳も年下のポーランドの王子にプロポーズされたというもの。なんとも勇気が出る羨ましい逸話ですよね。
また、ローズマリーには記憶力や集中力を高める作用も期待できるので、食べるだけではなく、お部屋のフレグランスとして利用するのもいいですね。
「ローズマリーとザクロのデトックスウォーター」
ザクロには女性ホルモンを活発にする効果・効能があるので、ローズマリーと合わせることで女性らしい若々しさを得る効果が期待できます。大きめのジャーにザクロ、ローズマリー、レモンなどを入れ、水を注いで2時間冷蔵庫に冷やしてから飲みます。
大葉・紫蘇(シソ)
「大葉・紫蘇(しそ)」は日本のハーブのようですが、実は中国出身。刺身の飾りや薬味に使われることの多いハーブですが、栄養価は高く、特にカロテン(ビタミンA)やカルシウム、鉄分も豊富。香りも強過ぎず、食べやすいので料理にも積極的に取り入れましょう。大葉は、老化を防止する抗酸化作用が高く、防腐作用や、解毒作用を持っています。また、春には嬉しい花粉症などのアレルギー緩和にも役立ちます。
「エビと大葉、生ハムのグリル」
殻を取った生のエビに大葉、生ハムを巻き、耐熱容器に並べ、上からブラックペッパー、塩、オリーブオイルをかけて200℃に温めたオーブンで5分ほど焼きます。白ワインにピッタリなおつまみが完成。
パクチー(コリアンダー)
香りにややクセのある「パクチー」は好き嫌いがはっきり分かれるハーブのようです。以前は販売している店も少なく、特にフレッシュなパクチーは入手が困難でしたが、最近では一般的なスーパーでも手に入れられるようになりました。スパイスとしては「コリアンダー」という名前で種が使われ、古代ギリシャでは医薬用として用いられていたようです。鎮痛作用、利尿効果、抗菌作用があり、細菌感染にも効果があるといわれています。また、インスリンに対する過敏性が低くなることから、糖尿病にも効果が期待されています。
「パクチーライス」
パクチー好きにはおすすめのパクチーライス。みじん切りにしたパクチーを炊きたてのごはんに混ぜるだけ、というシンプルで簡単なレシピながら、食の進むおすすめの食べ方です。好みで塩やコショウを加えたり、ニンニクやナンプラーで味付けしたりしても美味しいですよ。
ディル
「ディル」は胃腸の働きを調整し、胃もたれや腹痛を緩和する効果があります。爽快なスッキリした香りで、口臭解消効果もあるため、食後に噛むといいといわれています。匂い消しに役立つことから魚料理には欠かせないハーブで、特にサーモンとは相性抜群。みじん切りにしてマヨネーズと混ぜれば、一味違うスティック野菜のディップになります。
「サーモンとディルのパスタ」
パスタをお好みの固さに茹で、クリームソースにサーモンをプラスしてパスタを絡め、ディルをちぎってふりかけます。市販のレトルトのクリームソースなどでもディルをプラスするだけでレストランの味に早変わりしますよ!
パセリ
一昔前は洋食の飾りとしてよく使用されていた「パセリ」。美味しく頂く使い方としては、パセリとニンニクをみじん切りにして、バターと合わせた「エスカルゴバター」として応用すること。炒め物やパスタ、肉や魚のグリルのソースと多用できて便利ですよ!
イタリアンパセリ
イタリア料理には欠かせない「イタリアンパセリ」。サラダなどにちぎって加えるのはもちろん、香り付けに酢やビネガーに入れても使い勝手が良くなります。
アーティチョーク
一見野菜のようですが、実はハーブの一種である「アーティチョーク」。肉厚の葉をちぎって使用します。私はピザの具材に、またチーズと合わせてディップにするのがお気に入りです。
ミント
デザートの飾りやドリンクに最適な「ミント」。爽快な香りで眠気を覚まし、花粉症などにも効くといわれています。すり潰してパイナップルと和えると爽やかでおいしいですよ!
ルッコラ
苦味のある味とほんのりゴマの香りがするハーブである「ルッコラ」。生のままサラダとして食べるのが栄養価もそのまま摂取できて、おすすめです。バルサミコソースとフルーツをミックスした甘みあるドレッシングと和えるサラダはカフェやレストランでも人気メニューです。
レモングラス
ほんのりレモンの香りがする「レモングラス」。タイカレーやバリ風焼き鳥などの香り付けに使用されています。私は紅茶に入れて香りを出して飲むのが大好きです。
モリンガ
番外編として以前にビーグレンイッシュの記事でもまた私のレシピでも紹介した「モリンガ」もリストに加えましょう。モリンガは野草というよりも見た目は木に生える葉で、スーパーフードとして広く取り扱われています。私は実際にフィリピンのモリンガ畑を視察し、生のモリンガの葉を食べて思ったのですが、モリンガも立派なハーブです!乾燥させて、粉末やサプリメントとして販売されているものがほとんどですが、生の葉はやわらかくクセもないので、食べやすくて、何より美味しいのです。モリンガには人間にとって大切な栄養素が50種類以上含まれているため「奇跡の植物」と呼ばれています。含まれる大量の葉緑素である「クロロフィル」は最近話題のユーグレナやクロレラよりも桁違いに多く、ポリフェノールも豊富なので、美肌効果が期待できます。
「モリンガのチキンスープ」
骨付きの鶏腿肉をやわらかくなるまで、塩のみで味付けしてコトコト煮込みます。食べる直前にモリンガの葉のみ、散らせば出来上がり。
心も体も香りに包まれる暮らしを!
ハーブは古くから人々の間で重宝されていた自然の治療薬。体にも心にも役立つ身近にある「小さな野菜」です。世界中で広く料理にも使われているため異国情緒もたっぷり、香り一つで海外旅行に行った気分にもなります。何よりハーブは、素材の味を引き立て、風味を増すことで、より料理を美味しくするばかりでなく、豊富な栄養を体内に取り入れるて健康と美容に多大な貢献をしてくれます。積極的にハーブを利用して、心にも体にも華やかな香りに包まれた暮らしをしていきましょう。
参考資料
『ハーブとスパイスの図鑑』監修:ヱスビー食品株式会社、藤沢セリカ/マイナビ出版
『ハーブレシピブック』ユーキャン