「ノー・プー」とは?アメリカ流正しい美髪法と成功の秘訣
目次
1 ノー・プーとは?
2 シャンプーの歴史
3 ノー・プームーブメントの誕生
4 ノー・プーのメリットとは?
5 ノー・プーのデメリットとは?
6 ノー・プーのデメリットを克服するために
7 ノー・プーの正しい方法とコツ
8 アメリカ流ノー・プー生活7つのコツ
9 ノー・プーを試した結果
10 シャンプーは本当に「髪に悪い」の?
11 まとめ
あなたはどれくらいの頻度でシャンプーをしますか?「ほとんど毎日」と答える方が多いのではないでしょうか?ところが、アメリカではここ数年、シャンプーをしないという、その名も「ノー・プー」というムーブメントが浸透しています。 ミランダ・カーやジェシカ・シンプソン、ニコール・リッチーなど、 多くのセレブも取り入れているとのこと。ここで、このノー・プーについてその背景から、メリット&デメリット、 正しい方法など、今すぐに実践できるコツをご紹介します。
1.ノー・プーとは?
ノー・プーとは「ノーシャンプー(No Shampoo)」の略。シャンプーを使わずに、お湯だけで髪の毛を洗うことをいいます。日本では、「湯シャン」とも呼ばれています。毎日のようにシャンプーをすることが当たり前の現代からすると、お湯だけの洗髪は時代に逆行するような行為。ですが、そもそもいつから毎日のようにシャンプー剤を使って髪の毛を洗うようになったのでしょうか。その背景から振り返ってみましょう。
2.シャンプーの歴史
今では当たり前な「毎日シャンプーをする」という習慣ですが、実は比較的新しいもの。1908年に、『ニューヨーク・タイムズ』紙が「一週間おきにシャンプーしてもよい」という広告を載せました。実は、それまでシャンプーは1ヵ月に1度行う程度だったのです。
しかし、その後はテレビを利用したキャンペーンが行われ、シャンプーは毎日するものというPRがなされました。1970年代ファラ・フォーセットが出演したシャンプーのコマーシャルなどが、それに当たります。当時、大人気でカルチャーに大きな影響を与えていたフォーセット。彼女の出演したシャンプーのCMは一大センセーションを巻き起こし、彼女に憧れる女性たちは、より頻繁にシャンプーをするようになりました。
今では、アメリカ人はシャンプーが大好き。P&Gの調査によれば週に4.59回もシャンプーをし、それはイタリア人やスペイン人の実に2倍もの頻度だといわれています。
3.ノー・プームーブメントの誕生
「ノー・プー」の名付け親、ロレイン・マッセイ
NYで活動する(のちに「ノー・プー」の名付け親にもなる)ヘアスタイリスト、ロレイン・マッセイはカーリーヘアの持ち主。ある日、シャンプーをしなかった翌日に、自分の髪の毛がまとまりやすく艶やかなことに気づきました。シャンプーしなければしないほど、ますます髪の毛が美しくなっていったのです。はじめは「シャンプーしないのは汚い!」と思ったため、再びシャンプーを使ったロレインでしたが、そうするとまた髪の毛はボサボサのパサパサになってしまいました。
さまざまな試行錯誤を重ねたのち、ロレインは、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate, SLS)という成分が含まれているシャンプーで洗うと、髪の毛が傷むことに気づきました。シャンプーをしないと、髪の毛はうるおいと艶があり、カールはイキイキとして見えたのです。
シャンプーをしなくなったロレイン
それからシャンプーをしなくなったロレインですが、長い間「頭がオカシイと思われる」と思い、自分がシャンプーを使っていないことは誰にも言いませんでした。実際に、シャンプーを使わなくなってから10年以上経ってロレインが自分の髪の秘密を人に明かした時には、一部の人々から「汚い!」と拒否反応を示されたといいます。今も一部の人は同じ反応を示すそうです。しかし、ロレインはしっかりと髪の毛を洗っているのです。ただ、シャンプーを使っていないだけ。
彼女は2001年に『カーリー・ガール(Curly Girl the Handbook)』という本を書き、「ノー・プー」という用語を生み出しました。それから10年。はじめはカルト的なムーブメントだった「ノー・プー」ですが、「エコ」「ナチュラル」な時代の流れの後押しも受け、最近ではすっかりブームになりました。
4.ノー・プーのメリットとは?
そんなブームにもなっているノー・プーですが、実際シャンプーをしないことで、一体、髪の毛にはどのような効果があるのでしょうか。
ノー・プーのメリット
頭皮や髪にとって刺激の多いシャンプーを、すすぎ残ししてしまう心配がなくなります。
■必要なうるおいが残る頭皮や髪にとって必要なうるおいや皮脂が、過度に洗い流されなくなります。
■頭皮と髪が自らうるおうシャンプー剤による無駄な刺激がなくなるため、頭皮や髪にかかるストレスが軽減。それにより、頭皮から出る皮脂量が適切になります。また、頭皮や髪がうるおいを自らの力で保ち、さらに生み出すようになります。
■健康を取り戻す頭皮や髪が健康になり、抜け毛や枝毛が減ることもあるそうです。
■エコフレンドリーシャンプーを使わないことで、自然環境へ悪影響を及ぼしません。
■経済的ヘアケア製品の使用が減ることで、金銭的に節約が可能です。
5.ノー・プーのデメリットとは?
前述したように、ノー・プーのメリットは理解できたものの、「臭いは?」「痒くならない?」「ベタベタしそう」「フケが心配」など、シャンプーをしないデメリットも気になるところ。ノー・プーのデメリットはどのようなことでしょうか?
●一定期間、痒みやベタつきが気になる実際のところ、上に挙げたメリットのように髪や頭皮が健康的な状態に戻り、「うるおい」や「皮脂量」が適切になるまでは、痒みやベタつきが気になることもあるそうです。
●スタイリング剤が使えないもう一つのデメリットとしては、ワックスやジェルなどのスタイリング剤は使用できないという点です。なぜなら、お湯だけの洗髪ではスタイリング剤を完全に落とすことはできないから。つまり、ノープーをする限り、いくら髪のまとまりが悪くても、それらの製品は使用できなくなるというわけです。
6.ノー・プーのデメリットを克服するために
ノー・プーのデメリットを克服するために、少しの間(人それぞれですが、約1ヶ月ほど)その不快感やスタイリング剤は使えない状況を我慢する必要があります。しかし、この時期を過ぎれば、髪は自然なうるおいとツヤを取り戻し、まとまりやすくなるのです。
その上で一つ気をつけたいのは、最初の不快感がある頃、できる限り汚れを落としたいという思いから、間違った洗い方をしてしまうこと。つい、ゴシゴシと強い力で頭皮をこすったり、痒さから引っ掻くように爪を立てて洗ってしまったりしがちです。この行為が、必要以上に皮脂を取り、頭皮を傷つけ、さらなる痒みの原因になります。このことに十分気をつけて、髪をいたわった1ヶ月後、髪は美しく生まれ変わるというわけです。
7.ノー・プーの正しい方法とコツ
さて、そんなノー・プーですが、行う方法はいくつかあります。「コンディショナーだけを使って髪を洗う」ものや「水だけで洗う」もの、そして、「重曹とレモン汁(またはアップルサイダービネガー)を使う」など実にさまざま。共通するのは「シャンプーを使わない」ということ。みなさん試行錯誤して、自分なりの「ノー・プー」術を生み出しているようすです。それではここで、アメリカで最もメジャーである「重曹」を使った方法を実際に試しましたので、そちらをご紹介しましょう。
重曹を使用したノー・プー術
レモンと重曹を準備します。
はじめにお湯でよく頭を流します。
重曹を少量の水で溶きペースト状にしたものに、エッセンシャルオイル(ティーツリー、ラベンダー、ペパーミント、ベルガモットなど)を数滴添加し、それで頭皮をマッサージしていきます。
1~2分ほど頭皮のマッサージをしたら洗い流します。
毛先を中心に、コンディショニング。
傷んでいる髪ほど、この方法で洗うとキシキシした感触が残るそうです。重曹で汚れを落として、レモン(クエン酸)で弱酸性の状態にすることで、すこやかな頭皮と髪を目指します。今回は、レモン汁(2、3倍の量の水で薄めたもの)とアップル・サイダー・ビネガー(洗面器いっぱいのお湯に、小さじ1、2杯のアップル・サイダー・ビネガーを入れたもの)と両方試してみました。
実際に使用すると、アップル・サイダー・ビネガーは酢の匂いが残る印象がありましたが、髪を乾かすとそれほど酢の匂いは気になりません。ただ、個人的にはレモンの方がさわやかに仕上がるような気がしました。また、酢を薄めたりレモンを絞ったりするのが面倒な方は、薬局で買えるクエン酸をお湯に溶かして使うというのもいいかもしれません。
8.アメリカ流ノー・プー生活7つのコツ
ノー・プー提唱者のロレインさんによれば、ノー・プー生活のためには以下の7つを意識するといいそうです。
1) コンディショナーやヘアケア剤の成分表示ラベルをよく読む
シリコンを含むコンディショナーやヘアケア剤は避けることをおすすめします。シリコンを含むヘアケア剤を使うと、シャンプー以外できれいに洗い流すことができません。ノー・プーをするのなら、シリコンが入っている商品を避けた方がいいのです。
シリコンの成分で代表的なのは、ジメチコン(Dimeticone)、シクロメチコン(Cyclomethicone)、シロキサン(siloxane)など。シリコンが含まれるものは、成分名の終わりが「…one」となっていることが多いので、それで判断するのも一つです。おすすめは、シリコンの代わりに、以下の成分が含まれているコンディショナーです。
シアバター、ベジタブルオイル、オリーブオイル、小麦胚芽、小麦、小麦胚芽、大豆プロテイン、パンテノール、ベジタブルグリセリン、ソルビトール、アミノ酸、アロエベラなど。
なお、ノー・プーのデメリットの項目でお伝えしましたが、スタイリング剤については頭皮に余分な汚れが残ってしまうため、ノー・プーをしている間は使用を控えることをおすすめします。
2) レモンでさわやかな頭皮に
普段使っているコンディショナーに同量のレモン汁を加えて髪を洗うのもおすすめ。カルシウム汚れを落とすレモン(クエン酸)でさっぱりとした頭皮に、また気になる頭皮の匂いにも、レモンの香りですっきりとさわやかに。
3)頭皮の余計な角質を取り除く
大さじ2のブラウン・シュガー(市販の黒糖またはカラメルを添加して色付けをしたもの)にハチミツを適量加えたもので、頭皮をスクラブして余計な角質を取り除きましょう。ただし、頭皮への刺激もあるため、多くても月に一回程度が目安です。
4)ラベンダー精油のミストを利用する
ラベンダーのエッセンシャルオイルを水に混ぜて、ヘアミストを作りましょう。外出の前にひと吹きすれば、よい香りを身につけられるだけではなく、殺菌効果で髪を清浄してくれる働きがあります。
5)ブラッシングをし過ぎない
髪と頭皮によいと言われるブラッシングですが、やり過ぎはキューティクルを傷める原因に。髪をとかし過ぎるのは控えましょう。
6)ドライヤーで乾かさない
ドライヤーの熱は髪が痛む原因になるので、髪の毛は自然乾燥するのがおすすめです。髪を濡らしたままだと風邪を引いてしまいそうな冬や、急いで外出の必要があるなど、どうしてもドライヤーを使わなければならない場合は、なるべく低温で使用しましょう。
7)髪にあまり触れない
髪がベタつく原因の多くは手の油分です。あまり髪をいじり過ぎないようにして、サラサラなヘアを保ちましょう。
9.ノー・プーを試した結果
シャンプーを使わずに過ごすこと数日間。やってみるまで気になっていた頭のベタベタ感ですが、意外なほど気になりませんでした。もともと髪が薄くてぺったんこが悩みでしたが、ノー・プーを実践して数日、気づくとふわっとボリュームが増えた気がします。さらに、今までは髪にツヤを出すスタイリング剤をつけていたのですが、つけなくても髪の毛に自然なツヤが出てきました。そして何より、ノー・プーの「自然な洗髪をしている」という感覚が気持ちいい!また、エッセンシャルオイルの自然な香りが気分を良くしてくれるという利点もあると感じました。
10.シャンプーは本当に「髪に悪い」の?
ノー・プーが話題を集める一方で、シャンプーについても議論が巻き起っています。「髪の毛をあまり頻繁に洗わない方がいい」とする専門家と、「毎日シャンプーしても問題はないし、あまり洗わない方が健康にいいという証拠はない」と反論する専門家とで意見は見事に対立。「シャンプーし過ぎは髪によくない?」という問いに対して、実は科学的に結論が出ていないのです。
例えば、フケに悩んでいる方は、髪の毛を洗わなければ、フケは悪化してきてしまいますし、水質やすでに頭髪にこびりついたさまざまな汚れを落とすためにはシャンプーを使う必要もある、ということが指摘されています。また、ノー・プーを試した人でも、髪質によっては、乾燥し過ぎてしまったり、逆に油っぽくなり過ぎてしまって続けられなくなったり、ということがあるようです。
シャンプー剤を使わない「ノー・プー」に限らず、シャンプーの回数を減らす「ロー・プー」やシャンプーを薄めて洗う、などといった方法もあります。インターネットで検索すると、さまざまな方法や意見を確認することができるでしょう。「ノー・プーしたいけど、重曹を混ぜたりするのは面倒くさい」という層に向けて、「ノー・プー用のシャンプー」という製品を発売するヘアケアメーカーも現れています。
11.まとめ
シャンプーをしない生活なんて少し驚きの発想でしたが、「髪を洗わない」というわけではなく、シャンプー剤を使わないだけの違いです。簡単に実践することができ、しかも美髪が手に入れられるなら試す価値はありそうです。こうしてメリットやデメリットをきちんと理解した上で、自分の頭皮や髪の毛の状態に合わせて、時々ノー・プーを取り入れる、というのが賢いやり方なのかもしれません。
参考
When It Comes To Shampoo, Less Is More
https://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=102062969
rinse, repeat, rinse and repeat again
http://thebuzzabout.com/contributors/252-rinse-repeat-rinse-and-repeat-again-