老化を防ぐ!?スパイスカレーのヒミツ
「スパイスは体に良く、老化を防ぐ」という話はよく耳にしますが、実際にどのように食すると効果的なのでしょうか?私たちの身近にあるスパイス料理といえば「カレー」。そこで、市販されているカレールーを用いるのではなく、スパイスを材料に作るカレーに注目してみましょう。スパイスカレーの歴史から、その効果・効能、またおすすめの食べ方などを検証しました。スパイスカレーに隠されたヒミツをご紹介します。
「カレー」はどこからやってきたの?
カレーの元祖はインド料理の「カリ」
皆様もご存知の通り、カレーの発祥の地はインドです。でも、「カレー」という名称ではありません。私たちが知っているトロみのあるカレーは、インドを経て後にヨーロッパで生まれたもの。元祖は「カリ」と呼ばれる煮込み料理です。複数のスパイスを組み合わせて作るカリは、複雑な味に刺激的な香りが魅力。暑い国、インドならではの食文化から育まれた料理です。これは野菜や肉、魚、豆をスパイスで煮込んだスープに近いもので、南インドでは「バスマティ米」という細長い米と一緒に食べます。
インド市民の主食は米と「チャパティ」
私たちが日本やアメリカのインド料理店でよく目にする「ナン」というパンのような食べ物は、主に北インドの高級なレストランやホテルでしか食べられていないもので、インドでは一般的ではありません。これは意外ですよね。では、市民は何を主食にしているかというと、米と「チャパティ」(上の画像参照ください)です。チャパティとは全粒粉を水で練って薄く伸ばして焼いたもの。インドでは原価がとても安いそうです。
「カレー」が日本へ来たのはいつ?
インドで生まれた「カリ」と呼ばれる料理はヨーロッパへ渡り、東南アジアを中心に世界に広がりました。それは1600年にイギリス東インド会社が設立され、植民地であったインドから駐在員がスパイスを持ち帰ったことがきっかけといわれています。その後、イギリスで開発されたカレー粉がアジアへ、そして世界へと伝わっていきました。現在、私たちにとって馴染み深いカレー粉と小麦粉を使った「カレー」は、イギリス人が作ったもの。そう、日本の「カレールー」の元祖はイギリスなのです。では、日本人がいわゆるスパイスの効いたカレーを知ったのはいつ頃でしょうか? その歴史は、当時菓子屋だった「新宿中村屋」にありました。
日本人の心に生き続ける味、「愛と革命」のインドカリー
日本でのインドカレーといえば、知る人ぞ知る「中村屋の純印度カリー」です。このカレーには「愛と革命」に彩られた物語があるのです。イギリスの植民地として圧政に苦しんでいたインドを救うため独立運動に身を投じたラース・ビハーリー・ボースという名の男性がいました。彼こそが日本に本格的なインドカレーを伝えた人物です。ボース氏は、追及を受けて日本に亡命します。後に彼は、中村屋の創業者の長女と運命的な出会いの末、結婚。しかし、その幸福な日々は長くは続かず、逃亡生活の疲れか妻は二人の子供を残し早逝してしまいます。悲しみと失望にくれたボース氏は、自分を救ってくれた妻のために、本物のカレーを日本に残したいとカレーの開発を行います。そして、昭和2年に「中村屋の純印度カリー」が誕生するのです。
その後90年を超える間、中村屋はボース氏のレシピを守り、基本の作り方を変えずに、このカレーを提供し続けてきました。今もなお、中村屋の名物料理として多くの人に愛されています。骨付きのゴロッとした鶏肉と、大きめのジャガイモ、スパイスの効いたソースは、スパイスカレーの先駆者として特別な存在。中村屋は菓子屋としてスタートしましたが、現在では歴史ある洋食レストランとしても人気を集めています。「中村屋の純印度カリー」はレトルト製品としても販売されています。
独自に進化した日本のカレー
カレーは世界を旅し、その国ごとにさまざまな素材を使って味付けを行うことで呼び名も変わりました。日本では独自に進化して、家庭料理としての地位を築き、カレー専門店も多く存在します。ライスカレーから始まり、ドライカレーや北海道が発祥のスープカレーなど、ご当地カレーと称される地域性のあるカレーも多種多様で、カレー好きにとってはまさに天国ともいえます。スパイスから生まれた日本のカレー文化の進化は留まるところを知りません。日本人のアレンジ能力は世界に誇れる素晴らしい才能。これからも、もっと多くのカレーが生まれてくることでしょう。
スパイスカレーで体も肌もイキイキ!
スパイスを材料にするカレーが老化防止や美容・健康に最適な料理といわれる理由について、ここでいくつか挙げてみましょう。まず、どのようなスパイスカレーにも使用される材料のニンニクと生姜は体を温める効果があります。続いて、よく使われる「ターメリック」「カルダモン」「コリアンダー」などには発汗作用があり、疲労回復や風邪の予防にも役立ちます。さらに、ターメリックに含まれる栄養成分の「クルクミン」は老化の原因となる活性酸素を抑える働きがあり、肌のしわやシミ、くすみを和らげて、ハリを取り戻してくれる効果があるといわれています。スパイスにはまだまだ、さまざまの効果・効能がありますが、それはまた次回でお伝えするとして、簡単に数えるだけでも多くの効果が期待できるスパイスカレー、若々しくイキイキとした体と肌に貢献してくれるのですから、疲れが出やすい今の時期には特に積極的に食べたいですよね。汗をかいてしまうものの、ついつい暑い日に熱いカレーを食べたくなるのは、理に適っていることなのです。
カロリーカットの「スパイスドライカレー」
晩夏でも食の進むカレーレシピをご紹介します。合挽き肉は茹でるので、余分な脂を落として、カロリーもカットできます。
「スパイスドライカレー」<材料 2人分>
- 合挽き肉・・・200g
- サラダ油・・・大さじ2
- タマネギ・・・1個(みじん切り)
- ニンジン・・・1/2本(みじん切り)
- セロリ・・・1/2本(みじん切り)
- ニンニク・・・1片(すりおろす)
- 生姜・・・1片(すりおろす)
- トマト・・・1個(みじん切り)
- 水・・・200ml
- コリアンダー・・・大さじ1
- カイエンペッパー・・・小さじ1/2
- クミン・・・小さじ2
- ターメリック・・・小さじ1/2
- ガラムマサラ・・・小さじ2
- 黒コショウ・・・小さじ1/2
- 塩・・・小さじ1
A
トッピング
サラダなどお好みで。
<作り方>