「美食の街・フランスのバスクに行こうよ!」第10回:日本人にも大人気「モンサンミッシェル」前編
初めてバスクに行こうと決めたとき「どうせフランスのパリを経由するならパリも楽しみたいな」と思っていました。そしてもう一ヶ所、「絶対に外せない!どうしても行きたい!」と心に決めていた場所があります。それが「モンサンミッシェル」です。旅好きとしては、“一生に一度は行っておきたい世界遺産ランキング”でいつも上位に入るこの神聖な場所を見逃すことはできません!実は「モンサンミッシェル」は日本人にも馴染みの深い観光地。その理由も併せて「モンサンミッシェル」の魅力を前・後編でたっぷりとご紹介していきましょう。
バスクからモンサンミッシェル大陸大移動の旅
さて、これまでスペイン、フランスとバスクを回ってきました。バスク地方からはどうやって「モンサンミッシェル」へ行くのでしょうか?地図上で見ると、バスクからさほど距離もないようですが、悲しいことにダイレクトに行く手段はありません。そこで、さんざん調べて考えた末、スペインの「サン・セバスティアン」から電車でフランスバスクの「バイヨンヌ」へ行き1泊。翌早朝、隣町の「ビアリッツ」から飛行機でパリの「シャルル・ドゴール空港」へ向かいます。そこからTGVという高速電車に乗り、バターで有名な土地「レンヌ」まで移動。レンヌからはバスで「モンサンミッシェル」へ向かう、というルートを構築しました。そうです、スペインからフランスへの大陸大移動の旅です。
焦りまくり!パリの空港でローカル線からTGV乗り場へ
フランスでローカル線に乗ったのは初めてでした。「ビアリッツ」から「シャルル・ドゴール空港」まで約2時間。降り立ってすぐ、TGVの乗り場を探したのですが、表示もなく、まったく分かりません!乗り換えの時間が1時間しかありません。そこら中の人に「TGV乗り場は?」と聞きまくりました。どうも巨大な空港を端から端へ移動しなければいけないことが判明!教えてもらったシャトルバスに乗って、国際線の端っこまで行き、やっと駅にたどり着きました。なんと発車10分前です!
それでも、これからの車窓の旅は3時間弱あるので、近くのコンビニでワインを購入しました。私のこと、もちろん、それだけでは満足できません。さらに日本でも人気のパン屋上位に名を連ねる、フランスでは19世紀創業の老舗カフェ「ポール(PAUL)」でバゲットサンドも手に入れました。どうにか、発車ギリギリで列車に飛び乗ることができました。
フランスからのローカル線TGV旅は快適!
「やれやれ、間に合った」とほっと一息ついところで、昼ワインといきましょうか。やっぱり本場「ポール(PAUL)」のバゲットサンドは美味しい!トマトとモッツァレラチーズ、バジルソースのカプレーゼサンドは、白ワインにとても合います。
今回のTGVもとても快適。広いシートに大きな窓、テーブルもしっかりしていて、携帯電話やパソコンも充電できるUSBも完備されています。
ワイトとバゲット、車窓から見える景色を楽しみながら、「これで一安心」と思ったのは一瞬だけ。実はここからも本当の油断ならない旅が始まるのです。
「レンヌ」から「モンサンミッシェル」までのバスが、見つからない‼︎
子どもの頃からですが、私の体には磁石がありません!それなのに世界を一人でも旅しているなんて、すごいでしょう?…と威張れることではありませんが、私は地図も読めない典型的な方向音痴です。「行けば分かる。何とかなる!」と度胸ばかりがありまして…。ここでも「すぐに分かるはず」とタカをくくっていたのですが、ガイドブックに書いてあったバス停が見つかりません。そこでいつもの手、行きかう人に「モンサンミッシェル、モンサンミッシェル!」と叫び続けました。
ほらね、なんとかなるものです!無事、バス停にたどり着くことができました。ここからはバスに約1時間乗っているだけで、目的地の「モンサンミッシェル」に到着します。
「モンサンミッシェル」行きのバスはどこに到着するの?
「何とかなるもんだよね」と悦に入っていると、ハッと気付きました。このバスは「モンサンミッシェル」のどこに着くのでしょうか?私の知っている「モンサンミッシェル」は、よく写真で見るあの修道院。「まさか、あの世界遺産まで行くワケないよね?行くのかな?」と頭の中はモヤモヤするばかり。
案の定、到着したのは修道院の見えない位置にあるバスステーションでした。またもや、「ここはどこ?」のスパイラルに突入です。キョロキョロしていたら、ブロンドのキレイなお嬢さんたちが「ここはどこ?モンサンミッシェルなの?」と聞いてきました。良かった!同じく分からない人たちがいました。そこで、私たちは、迷わず歩いているように見える観光客風の方々の後に着いて、「モンサンミッシェル」へつながる大きな道路に出ることができました。
出たところのすぐ横にある建物が私の予約していたホテルだったので、無事にチェックインができました。
ホテルは「メルキュール・モンサンミッシェル」。リゾートホテルというよりは、ビジネスホテルのような趣です。部屋も広くて快適。ホテルの前にはお土産屋さんやカフェ、レストランがあります。そしてカラフルな牛のオブジェがいたるところにいました。フランスの芸術家の作品らしく、殺風景だった街を活気づけるために設置されたと聞きました。周囲の自然とはアンバランスだけど、ポップで可愛らしい牛たちです。
いよいよ世界遺産のモンサンミッシェルへ
海に浮かんだように、岩山に建つ聖堂「モンサンミッシェル」は「聖ミカエルの山」という意味だそうです。始まりは708年に小さな礼拝堂が建てられ、幾度も改増築が繰り返されて現在の形になったとか。今でこそ陸地と「モンサンミッシェル」をつなぐ道がありますが、昔は潮が満ちると孤島となったため、18世紀には監獄として使用されていたという歴史もあります。その名残でしょうか。修道院内にはいたるところに鉄格子のある部屋がありました。
ホテルやお店がある街から、「モンサンミッシェル」へ続く道にはゲートがあります。徒歩でも行けますが、無料のシャトルバスと有料の馬車が行き来しています。
「モンサンミッシェル」は世界遺産だからか、または宗教的な理由からなのか、はたまたテロリスト対策なのか詳しい事情は分かりかねますが、ライフル銃を持った兵士がいたるところにいます。その兵士たちは誰一人として、にこりともせず観光客を座った目でジロジロと睨みつけているのです。もし、ここで急に走り出しだしたら、打たれてしまうの?などと考えてしまうほど、怖い印象です。
着いた日はもう夕方で、「モンサンミッシェル」の中を見学するには遅かったのですが、お天気だったので、とりあえず近くまで行ってみました。ここは常に雲がかかっていて、雨が多く、天気が良い日は珍しいそうです。世界遺産の「モンサンミッシェル」は翌日にしっかりと中に入ってきましたので後編にて再度お知らせしますね。
島の中にある小さな街を散策
島の中は狭い道が続く商店街があります。小さなお土産屋さんやカフェ、レストランがぎっしり詰まっている感じです。細い道に細くて急な階段、狭いドアの小さなホテルもありました。ここを予約していたら見つけるのも大変そう…。
島内の坂を登る途中で見た景色は、どこまでも続く広大な空で感動しました。段々と日も沈んできます。そろそろお腹も空いてきました。ディナータイムです!
フランスならではの高水準のディナー
この日のディナーは、ホテルにあるレストランで頂きました。地元で獲れた白身魚のポアレ、パプリカソースです。さすがフランス、素材の味を生かした調理方法と旨みの効いた優しい味のソースが絶妙です。
デザートにはイチゴとフランボワーズのマカロン。サンドしたチーズ風味のクリームと、酸味の効いたフランボワーズソースがマッチ。砕いたピスタチオの風味もプラスした、完璧な組み合わせです。フランスはどこで食べても高水準だなと思わせるディナーでした。
夜も更けると「モンサンミッシェル」はライトアップされ、また別の美しい姿が現れます!さて、しっかりと睡眠を取って、入れなかった修道院の観光に備えるとしましょう。次回はさらに詳しく世界遺産「モンサンミッシェル」をご紹介します。もちろん、この土地の名物料理も忘れてはいませんよ!どうぞお楽しみに。