「サルコメア」体の柔軟性の鍵!動ける体、トラブル知らずの肌へ
長引くコロナ禍。運動不足もあって、体が硬くなったと感じている人方も多いのではないでしょうか?実際、筋肉は使わないと硬くなってしまいますが、筋肉の柔軟性の鍵を握るのは「サルコメア」です。なじみのない言葉だと思いますが、「サルコメア」は筋肉を構成する一つの要素。「サルコメアのおかげで私たちは動ける!」といっても過言ではありません。今回はこのサルコメアの働きから増やし方、そのメリットについてご紹介します。
目次
筋肉はゴムのようには伸びない?
まずは筋肉の構成から見ていきましょう
「サルコメア」とは?
筋肉を使わないとサルコメアが減る
ストレッチで増やせるサルコメア。ポイントは5つ
筋肉の柔軟性が上がることでもたらされるメリット
より動く体、トラブル知らずの肌へ
筋肉はゴムのようには伸びない?
「体が柔らかい人の筋肉」と聞いて、まずイメージするのは、ゴムのように伸び縮みが自在な筋肉ではないでしょうか?しかし実際は、筋肉は縮むことはあっても伸びることはないというのが事実。たとえるなら、ゴムではなくロープといったところでしょうか。
つまり筋肉の柔軟性を高めるには、ロープを長くすることが必要というわけです。そのロープの役を果たしているのが「サルコメア」です。順を追って分かりやすく説明していきましょう。
ちなみにここで登場する筋肉は、体全体や手足を動かすときに使う骨格筋。自分の意思で動かせ、鍛えることができる筋肉のことです。
まずは筋肉の構造を見ていきましょう。
【筋肉の構造】
筋肉は「筋線維」という細長い細胞が束になってできています。簡単にいえば、うどんの束のようです。「筋繊維」を見ていくと、さらに細い「筋原繊維」が束になって出てきます。たとえるなら極細そうめんの束ですが、ここで終わりではありません。「筋原繊維」を見ていくと、筋原繊維はいくつもの「サルコメア」が連結してできていることが分かります。
サルコメアとは?
いくつもの「サルコメア」が連結してつくられている「筋原線維」。そして下の図のように「サルコメア」は2種類の繊維(アクチンとミオシン)から成り、互い違いに重なりあって存在しています。
【サルコメアの構造】
さらに、下の図では筋肉が弛緩しているときと収縮しているときの「サルコメア」の状態を表したものです。
【筋肉が弛緩&収縮しているときのサルコメア】
ご覧の通り、ミオシンのポジションは一定で、アクチンが引き寄せられたり、離れたりしているのがお分かりいただけるでしょう。弛緩は何もしていないときの状態。収縮は力こぶを出したときのような状態です。
筋肉を使わないとサルコメアが減る
ここまでのところで「サルコメア」がどんなものか、なんとなく理解できたのでしはないでしょうか?
分かりづらい場合は「筋肉の中にあって、体を動かす上でなくてはならないもの」という解釈で問題ありません。知っておきたいのは、サルコメアは筋肉を使わないと減ってしまうということです。減ってしまえば当然筋原線維は短くなるので、動ける範囲が狭まって筋肉は硬くなってしまいます。逆に筋肉を使ってサルコメアの数を保つことができれば、柔軟性も保てるというわけです。
ストレッチで増やせるサルコメア。ポイントは5つ
筋肉を使わないと減ってしまうサルコメア。うれしいことにサルコメアは若い人はもちろん、年を重ねている人も年齢に関係なく増やせることです。
「サルコメアが増える→筋原線維が長くなる→筋肉の長さは変わらない」ため、余裕が生まれて柔軟性が高まるというわけです。関節の可動域も広がります。ではどうやって増やすのか?代表的な方法は「ストレッチ」です。「えっ、ストレッチ?」と思うかもしれませんが、ストレッチはサルコメアを増やすうえで最適な方法なのです。
ポイント1. 2〜3ヶ月は、必ず毎日行って脳に信号を送る
ただし、週に1回とか気が向いたときにやるストレッチでは、サルコメアを増やすことはできません。脳が反応しないからです。ところが毎日、毎日、ストレッチを行って筋肉を引っ張り続けると、脳はこんなふうに反応するようになります。「毎日、毎日こんなに引っ張られて。このままだと筋肉が切れてしまう。なんとかせねば」と。結果、筋肉を守るために細胞分裂が起こり、サルコメアの数が増えるのだそうです。
ポイント2. 痛過ぎ厳禁。痛気持ち良く!
体を伸ばすストレッチは心地よいものです。でも、心地よい程度の強さでは、脳は「筋肉が切れそう」とは思いません。効果的なのは筋肉の張りでイタ気持ちよさを感じる強さ。ただし、筋肉がプルプル震えるほど伸ばすのも逆効果です。痛みを感じるほど伸ばすと、筋紡錘という部分が反応し逆に筋肉は硬くなってしまいます。
ポイント3. 硬い部分はとくに入念に
サルコメアを増やすには伸ばしたい筋肉がストレッチでしっかり伸びていることが前提です。優先すべきは柔らかい筋肉よりむしろ硬い筋肉。硬い筋肉のサルコメアを増やすことで、柔らかいところとのアンバランスも改善されていきます。
ポイント4. 伸ばしたら20~30秒キープで2~3セット
ストレッチは1つの部位につき、伸ばした状態で20~30秒キープ。これを2~3セット繰り返しましょう。
60秒間我慢して伸ばし続けるよりも、20〜30秒に一度緩めて再び伸ばすことを繰り返すほうが、ストレッチの効果は高まります。ただしサルコメアの数に変化が現れるのは2〜3ヶ月後から。1セット目より2セット目、3セット目の方がストレッチしやすくなるのは、筋肉を包んでいる筋膜の抵抗が緩んで伸びやすくなるからです。
ポイント5.タイミングはいつでも
入浴後はストレッチをするのにおすすめのタイミングであることは間違いありません。筋膜は体が冷えていると硬くなり、体温が上がると緩むからです。とはいえデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けても、筋肉は硬くなってしまいます。空いた時間を大いに活用しましょう。
ちなみに硬くなりやすい筋肉は僧帽筋上部、脊柱起立筋、大腿直筋、ハムストリングス、腸腰筋、大腿筋膜張筋、梨状筋、ヒラメ筋など。姿勢に関わる筋肉で、多くが2つの関節を動かす2関節筋です。
紹介した5つのポイントを意識しながら、まずは2〜3ヶ月。ストレッチの方法は動画サイトなどにもたくさんアップされていますが、下記のストレッチもご参考に!
【動画美容講習⑫】1日10分!筋膜リリース&ストレッチで美ボディメイク
【動画講習⑰】座ったままできる!簡単ストレッチ&マッサージ パート1:脚痩せ編
【動画講習⑱】座ったままできる!簡単ストレッチ&マッサージ パート2:上半身痩せ&リフトアップ編
サルコメア増でもたらされるメリット
毎日正しくストレッチを続ければ、自動的に増えるサルコメア。しかも筋肉の柔軟性アップは、二次的にもうれしいこと尽くめです。
何より快適に動けるようになります。転倒や運動時のケガのリスクも減りますし、日常での活動量アップは肥満の予防にも。血流も良くなるので美容面ではメリットしかありません。健康面では、血管が広がるので高血圧や動脈硬化の予防にもつながるといわれています。
また筋トレと組み合わせれば、正しい姿勢を“より長く保てる”ようになります。筋トレが必要なのは、ストレッチは筋肉を柔らかくすることはできても強くすることはできないからです。
【サルコメア増のメリット】
●快適に動けるようになる
●転倒など怪我のリスクを削減できる
●肥満防止・体型維持効果
●美肌効果
●成人病予防
より動く体、トラブル知らずの肌へ
あまり聞き慣れない「サルコメア」のこと、十分にお分かりいただけましたか?ちょうど今の季節は体を動かすのには最適な季節。さっそく今日から、毎日、毎日、「筋肉をもっと長くしないと切れちゃうぞ!」と脳に信号を送りながら、ストレッチを始めてみてはいかがでしょう。
新しく道具を揃える必要もなく、体一つですぐに始められるのは、ストレッチの魅力の一つ。もちろん、ストレッチを行うことはシンプルに気持ちが良いもの。仕事や勉強など作業中の気分転換にも最適です。
サルコメアは放っておくと加齢でも減っていくといわれています。心も体ものびやかになるストレッチを気負わずに取り入れて、習慣にしていきたいですね。「継続は力なり」で、サルコメアも増え、より動かしやすい体、トラブルのない肌を手に入れる日も遠くはありません。