ダイエットや食生活を考えさせられる現代アート&デザイン
それぞれの時代の“美しさ”を切り取ることを役目とするアートの歴史には、アーティストの異なった視点から捉えられるさまざまな概念や構想を見ることができます。
アートの観念が日常化していったのは19世紀以降のことです。19世紀以前のアートでは、宗教、歴史、貴族文化を投影した、上流階級に向けての写実的な作品が多く見られました。20世紀初頭からアートの概念は一般化していき、日常生活や人間の情緒、そして感受性を重視した作品に価値観が置かれるなど、作品の視覚的イメージや概念はどんどん普遍化・多様化し始めます。
そして現在、その構想はどんどん枝葉を伸ばし、日々の食生活や健康など、身の回りのなじみ深い事柄について考えさせられる作品までもが登場し始めました。今回は、そんな私たちのダイエットや美容をサポートしてくれる、ユニークなアート作品やデザインを3つ紹介してみたいと思います。
目に見えないカロリーをビジュアル化するフードアート
まず始めは、ジャンクフードに焦点を置いたアート作品です。私たちが日常的に目にするファストフードやスナックの写真には、商品名の代わりに商品そのもののカロリーが堂々と表示されています。
個々の総合カロリーを意識して商品を食べる人は決して多くはないはずですが、ここまで大きく数字が表示されると、購入を少々ためらう人も増えるのでは、という意図が込められている作品となっています。実際に数字を目の当たりにすることで、私たちがいかに高カロリーな食品に囲まれているのかを再確認させられますよね。普段の食生活を見直させてくれる衝撃的な食品アートです。
500個のくぼみが減量をサポートするデザイナー仕様のプレート
こちらは、肥満人口がアジアで第2位となるタイで、肥満撲滅キャンペーンのために作られた「アブゾーブプレート」というお皿です。バンコクの広告会社BBDOは「タイ料理は美味だが、油っぽいメニューが多い」という箇所に着目し、表面にある500個のくぼみが料理の余分な脂を溜め込み、毎食30カロリーカットするお皿を開発しました。大きな役割を果たしながらも決して主張することのないこのシンプルな食器は、優れたお皿であるとして世界からも注目を集めているようです。
ボトルなしで水を持ち運びできる未来のエコ水分補給
まるで無重力空間で浮遊していた水球を捕まえてしまったかのようなこちらの物体、実は、手に持ちながらそのまま口へ運んで飲むことができるという驚愕の飲料水なのです。この「Ooho!」は、3人のロンドンの若きアート学生、ロドリゴ・ガルシア・ゴンザレス、ギヨーム・クッシュ、ピエール・イヴ・パスラーによって、エコロジーと水分補給の融合をテーマに開発された作品です。
オーガニック皮膜に包まれていることから、そのままの形で水を“食べる”ことを可能にしてしまいました。国際的なレクサス・デザイン・アワードを受賞したのも納得の未来的デザインは、外見もおしゃれで、プラスチック消費の削減にもつながります。実用化はまだですが、これからも常識を覆すような地球に優しい作品開発が進んでいくといいですね。
日常生活や体に独創的な影響を与えるユニークな現代アートとデザインが、今後も、私たちを素晴らしい意味で仰天させ続けてくれることでしょう。これからも数々の珍しい作品を発見することが、とても楽しみです。
参考
カロリーブランド:http://www.cosmopolitan.co.uk/body/diet-nutrition/news/a44160/calorie-brands-instagram-redesigning-logos-junk-food/
アブゾーブプレート:http://metro.co.uk/2016/05/20/this-magical-plate-absorbs-excess-calories-and-grease-from-your-food-5893828/
http://www.slate.com/blogs/the_eye/2016/05/20/bbdo_bangkok_designed_the_absorbplate_with_500_tiny_holes_to_cut_calories.html
Ooho!:http://www.skippingrockslab.com