パスタをこねて、ストレス解消?【前編】行ってきました!LAクッキングクラス事情
LA(ロサンゼルス)の女性たちが健康のために通うクラスといえば、ヨガやメディテーション。最近それら以外にも人気を集めているクラスがあります。それは、「クッキングクラス(料理教室)」です。「料理教室」と聞くと、趣味として料理を作ることが好きだったり、レパートリーを増やすためだったりと、スキルの一つを磨く場として活用する人が多いイメージを持ちませんか?しかし、近年はクッキングクラス参加への目的意識も変わりつつあります。フードトレンドが激しく流動し、健康意識が高まるなかで、“食”そのものへの関心が以前よりも高くなっているからです。多様化するライフスタイルと食文化に呼応するかのように、個性豊かな料理教室がLAに増加していることも、この傾向を裏付けています。今回は、急増するユニークなクラス事情をお届けする【前編】と最旬の人気のクラスを体験レポートする【後編】の2回にわたり、LAのクッキングクラスについてたっぷりとご紹介します。まずは【前編】です。
増加するユニークなクッキングクラス
一昔前だと「花嫁修業=料理教室に通う」という図式も思い浮かびますが、最近のクッキングクラスは、参加することでソーシャライズしたり、“料理”というタスクに没頭することでストレスから解放されたりと、料理教室に心の健康を求める人が増えています。そのため、料理を作る“スキル”というよりは、食に関する知識を含めた“体験”に目的を置いている人も多いようです。目的からコンテンツまで多種多様になりつつありますが、実際に雑誌『LAマガジン(LA Magazine)』でLAのユニークな料理教室としてセレクトされたなかから、厳選していくつかのクラスをお知らせしましょう。
1 ザ・グルマンディーズ・スクール(The Gourmandise School)
サンタモニカビーチから徒歩5分の好立地に立つ巨大ショッピングモール「サンタモニカプレイス」内にある「ザ・グルマンディーズ・スクール(The Gourmandise School)」。プロを目指す上級者から、食べることが大好きな初心者まで、幅広い生徒層に支持されている人気の料理学校です。数回のコースを含む本格的なクラスもあれば、カップルのデートナイトにぴったりのカジュアルなクラスもあり、他にはないコンテンツが人気のヒミツ。 特にユニークなのが、“パイ・セラピー(Pie Therapy)”と呼ばれるクラスです。日頃からストレスを感じている人向けに、パイを作ることに意識を集中させることで雑念を捨て、心をリフレッシュさせることを目的としています。また日常的に顔を合わせている人ではない、初めて会う参加者と時間を共有することで、自分のペースを守りながらも、グル―プの一員としてパイ作りを楽しめることも、この料理教室の大きな魅力の一つなのだそうです。
2 ヒップクックス(Hipcooks)
LAに3店舗、OC(オレンジカウンティー)、サンディエゴ、シアトル、ポートランドに各1店舗ずつと、西海岸で勢いのある「ヒップクックス(Hipcooks)」の特徴は、何といってもそのおしゃれな空間づくり。色鮮やかなキッチンプロップやインテリアは、ショールームと見間違えるほど。女性(もちろん男性も)が一度は行ってみたいと思わせるような、ポップでキュートな演出は、今のLAには欠かせない要素です。
リピーターが多いヒップクックスの人気の理由は、見た目の華やかさだけではありません。クラス内で扱われるレシピが、実にさまざまなジャンルの料理から選ばれているのです。タイ、ペルー、ギリシャ、アルゼンチン、スペイン、モロッコ、インド、日本、中国……、アメリカの一般的な料理だけではなく、あえて多国籍の料理をテーマにすることで、多くのファンが継続的に通うとのこと。人種が入り混じるカリフォルニアだからこそのクラス内容です。
3 サーファス・カリナリー・ディストリクト(Surfas Culinary District)
LAを象徴するようなモダンでおしゃれなクッキングクラスがある一方で、クラス内容のみにフォーカスしたシンプルな料理教室もあります。プロやレストランが使うキッチン用品や器具を扱う「サーファス・カリナリー・ディストリクト(Surfas Culinary District)」では、道具や器具のテスト用のバッグスペースキッチンで無料のデモンストレーションなどを週末に開催しています。ポップな色合いはどこにもない、シルバーの無機質な空間に集まるのは、ローカルの料理好きたち。料理することや食べることが本当に好きだからこそ、新しいレシピや知識を共有したい、そんな純粋で真摯な姿勢が無料クッキングクラスの根底にはあるようです。LAの料理教室は1クラスの平均料金が60~90ドルにはなるので、無料のデモンストレーションは素敵な心意気ですね。
もちろん本気で料理を習得したい人への、「実践 (hands-on)クラス」も有料で設けられています。プロ仕様の鍋がギッシリ置かれた倉庫のような場所で行われるクラスでは、参加者の眼差しも真剣そのもの。レストランやフード業界がダイナミックな動きを見せるLAで、食通たちが密かに通う場所なのかもしれません。
4 トランジッショナル・ガストロノミー(Transitional Gastronomy)
ヘルスコンシャスが高まるLAのもう一つの大きな流れが、ナチュラル派の増加です。可能な限り無添加でオーガニックなものを好む女性が急増しており、その背景から材料が目に見える自炊を心がける人も比例して増えているのです。料理教室が人気のアクティビティーになっている理由の一つとも考えられます。そんなナチュラル派の究極のクッキングクラスと呼べるのが、「トランジッショナル・ガストロノミー(Transitional Gastronomy)」が提供する野外教室です。
食用の野草やキノコについて、実際に野外を歩きながらレクチャーしてくれます。クラスの最後には、屋外で少しだけ調理したものやシェフ自ら用意したテーマ食材をピクニック形式で試食していきます。クラスによっては野草を使ったキムチなどの発酵食品のデモンストレーションを行うなど、とことんナチュラルにこだわる人に向けたコンテンツが盛り込まれています。このような食や健康への徹底した追求も、現在のLAの女性たちのもう一つの側面であり、多様なライフスタイルがうかがえます。
5 フード・ストーリー(Food Story)
日本人として外しておけないのが、「フード・ストーリー(Food Story)」の日本食クラスです。ご存知の通り、世界でもその認知と人気を上げている日本食は、LAでも例に漏れず注目を浴びています。日本食はヘルシーというイメージもさることながら、ラーメンや天ぷらなどのように、“健康”という視点からは離れた位置づけのモノであっても、食文化として人気を集めているのです。ダウンタウンに教室を構えるフード・ストーリーは、近くにある魚の卸売市場で実際に材料を仕入れることからクラスが始まり、それらを持ち帰って魚を三枚におろしたり、お寿司や海鮮汁などのレシピがレクチャーされたりします。特にラーメン、うどん、そばと一度に日本の麺類の全てを作る「ヌードルクラス」は開催の度に安定したファンを獲得しているそうです。
話題のモールの、話題の空間で、体験レッスン
上記のようにさまざまなクッキングクラスがあるなかで今回選んだのは、話題のスポット「イータリー (Eataly)」で行われるグルテンフリーのパスタ教室です。まずグルテンフリーのパスタというだけで非常に興味深いのですが、加えて魅かれるのが、その開催場所です。約10億ドルを投じてリノベーションされ、2017年11月にリニューアルオープンしたセンチュリーシティーにある「ウェストフィールド(Westfiled)」は、そのオシャレな空間からSNSでも話題になっています。モール内のウォールアートやサボテンをアクセントにした屋外テラスもモダンそのもの。
そこに新しく誕生したのが前述の「イータリー(Eataly)」。NYや日本にも店舗がありますが、LAへの上陸はこれが初めて。イタリアをテーマにした食のマーケットで、食材や調味料、食器の購入はもちろん、レストランやアイスクリームショップ、コーヒーショップもテナントを構えます。
イータリー内に新しく設けられたのが、「ラ・スクアラ(LA SCUOLA)」と呼ばれるイタリア料理専門のクッキングクラスなのです!
いよいよ最旬のクッキングクラス体験です。この続きは【後編】LA最旬!クッキングクラス体験にてお届けします。