“こんまり”が一大ブームのアメリカで、今人気の断捨離メソッドTOP5!
日本では年末が「大掃除」の時期ですが、アメリカの大掃除は春で「スプリングクリーニング」と呼ばれいます。そのアメリカで数年前から注目を浴びているのが、日本で有名なお片づけコンサルタント、“こんまり”こと近藤麻理絵さんの片づけメソッド。2019年1月より、世界最大級の動画配信サイト「ネットフリックス(Netflix)」で、彼女の番組『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~(Tidying Up with Marie Kondo)』の配信もスタートし、全米で“こんまり旋風”を巻き起こしています。そもそもアメリカではここ数年で、ミニマリスト(持ち物をできるだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人)が急増しており、こんまり人気が断捨離ブームを後押しする形になっているよう。今回の記事では、こんまりメソッドを含め、アメリカで人気を誇る片づけ&断捨離メソッドをご紹介していきましょう。春の衣替えもすぐそこです!無駄なモノを減らし、すっきりした気分で新しい季節を迎えませんか?
アメリカで片づけや断捨離が人気の理由とは?
近年、世界的なトレンドともいえるヘルスコンシャスの高まりは、身体的な健康だけを指すものではありません。瞑想などが人気を集めるのは、精神面の健康にもフォーカスする傾向がある証拠。身も心も健全化させたい人が急増する時代の流れの中で、余分なモノをできるだけ取り除くことで、家も心もスッキリさせたい狙いがあるようです。またエコへの意識も高まっていることで、今までのような大量生産・大量消費の時代から、必要な分だけモノを大切にし、不要なモノは寄付するという考え方もアメリカでは広がりつつあります。片づけや断捨離を徹底することで、目に見える物質的な変化だけでなく、心理的にも大きな変化が現れるといわれています。片づけや断捨離によって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
片づけで得られる5つの効果
LA(ロサンゼルス)の女性たちにも増加しつつあるミニマリスト。片づけや断捨離を通じて、モノを減らしていくミニマリズムには、研究やリサーチによって立証された効果がいくつかあります。以下では、アメリカで紹介されているお片づけやミニマリズムのメリットをご紹介していきます!
集中力と生産性のアップ
モノが散乱した環境ときちんと整頓された環境では、集中力と生産性、そしてそれによる成果に大きな違いが出ることが、アメリカのプリンストン大学の研究によって立証されています。これはデスク周りという小さな空間一つを例に挙げても、容易に想像できますよね。モノが多くあればあるほど、気が散る要因となり、誘惑の理由となり得ます。結果的に、集中力を持続する弊害となり、生産性や成果にも影響するというわけです。モノを最小限に少なくし、キレイに整頓された環境を作ることで、集中力や生産性の向上が期待できます。
睡眠の改善
睡眠に関する新しいリサーチによると、散らかった部屋と睡眠不足には興味深い繋がりがあることが報告されています。モノが多く整頓されていない部屋になりがちな人や溜めこみ症の人は、睡眠に何らかの障害がある可能性が高いとされているのです。散らかったベッドルームの人全員が、溜め込み症になるということではありませんが、睡眠と片付けには大きな関わりがあることが分かっています。研究結果で立証されずとも、個人レベルに置き換えても、洋服が溢れるクローゼットを横目に見ながら寝るのはなかなか難しく、溜まりに溜まった洗濯物を想像すると容易には寝付けないのも理解できますよね。
ストレス軽減で気分も上々
モノが散らかり、片づけられていない部屋にいると、人間は自然と「あなたの生活も散らかっていて、まとまりがない」といったネガティブなシグナルを受け取ってしまうそう。整頓されてない空間にいることで、人間の自尊心まで影響を与え、それによって気分が左右されるというわけです。このような物質の多さと人間の気分の深い関連性は、UCLAの研究センターでもリサーチが進んでおり、より高い密度でより多くの生活用品に囲まれていると、女性のストレスホルモンの数値が上昇することが確認されています。つまり、狭い空間にたくさんの生活用品があればあるほど、女性はストレスを感じてしまうということ。片づけや断捨離を行なうことで、気分が上がり、ストレス解消にもつながるそう。
過去やしがらみからの解放
シンプルな「片づけ」ではなく、特に日本の「断捨離」という考え方には、必要なモノとそうでないモノを区別・整頓して行く中で、物質的な“モノ”だけじゃなく、自分にとって不要な考え方や心配、そして足を引っ張っている過去を捨てる、という側面も持ち合わせているそうです。風水でもよく、「古いモノは運気を下げる」といわれますが、散らかった部屋や家を整理して行く中で、嫌な想い出を象徴するような古いモノは、積極的に手放していきたいですね。
実践的な目標にフォーカス
例えば、購入してから一度も使っていないヨガマットが、部屋の隅に立て掛けてあるとします。最初はこのヨガマットを見る度に、「ヨガしなければ」というモチベーションの一つにもなります。しかしそれが数ヶ月放置されている状態が続けば、ヨガマットが埃を被るだけでなく、モチベーションにも陰りが見え始めます。最終的には、ヨガマットを見るだけで、自分ができていないことへの罪悪感や羞恥心を感じることにも繋がってしまうのだそう。数ヶ月も使用していなければ、心から達成したいと感じている目標ではないのです。それなのに、モノがあるだけで未達成感だけ感じてしまうのは、健全ではありません。本来達成すべき実践的な目標に集中するためにも、「いつか使うかもしれない」ではなく「今現在使用していない」という点を基準に、片づけや断捨離を進めるのもいいかもしれません。
アメリカのミニマリストに人気の片づけメソッド5選
上記のような効果が得られる片づけですが、日常生活で実践するためにはどのような方法があるのか、以下でご紹介していきます。現在アメリカで話題を集める片づけメソッドを、「基本セオリー」「メリット」「デメリット」の3つのポイントに分けて注目してみましょう。こちらの記事では全てが概略になりますので、気になったメソッドの詳細は、実際にご自身で深くリサーチしてみるとより片づけが進むかもしれません。
① こんまりメソッド(KonMari Method)
冒頭でもご紹介した日本人のお片づけコンサルタント近藤麻理絵さんのメソッドは、間違いなく、アメリカでも最も知られた片づけメソッドといえるでしょう。日本ではご存知の方も多いですが、今一度アメリカからの視点も挟みながら、ご説明していきましょう。アメリカでのミニマリズムや片づけブームを牽引する人気を誇るこんまりメソッドの特徴は、何を手放す(捨てる)かではなく、何を残すか(そしてその残りを手放す)にフォーカスしている点です。そして、アメリカ住宅のサイズ感と高い収納力から、「服をたたむ」という収納方法に馴染みがなかったアメリカ文化の中に、新しい習慣を導入したことも、一大旋風を巻き起こしている理由といえます。
基本セオリー
「何を残すか」を決めていくことが、こんまりメソッドのベースとなりますが、その基準となるのが、「ときめきを感じるかどうか」という点です。今までになかったこの「ときめき」基準というのが、こんまりメソッドの最大の魅力であり、アメリカで信者といえるほどのファンを獲得している理由です。またこんまりメソッドには、せっかく片づけたのに、いつの間にか戻っているという「片づけリバウンド」がほとんどないとされています。そのため、一時的や季節的な整理整頓ではなく、ライフスタイルとしてミニマリストであることを選び始めているアメリカ人の女性にも、受け入れられるポイントがあったわけです。実際にこんまりメソッドでは、片づけは毎日コツコツ続けるものではない、としています。開催日を決め、一生に一回のお祭りのように、その日に完璧に捨てることで、片づけリバウンドを避けることを強調しているのです。
具体的にはまず、衣類、本、小物などのように一つのカテゴリーごとに「ときめき」をチェックしていきます。つまり、部屋ごとに片づけていくのではなく、衣類なら衣類と、家の中にある全ての衣類を集めます。さらに種類ごとに分けて、所持しているTシャツなどの全てを一つずつ「ときめきチェック」していきます。触ったり、時には着たりすることで、自分がこのTシャツに今でもときめきを感じるのかをポイントに、残すかどうかを決めていきます。ときめかなければ、容赦なく手放す潔さもこんまりメソッドの大事なセオリーの一つ。これを全てのカテゴリー、全ての種類で行っていきます。
メリット
同じカテゴリーのモノを一気に比較していくため、類似アイテムはより新しく、よりときめきを感じるモノへと絞ることができます。また複数の部屋に散らかった一つのカテゴリーも同時に見ていくことで、家全体での片づけが可能となります。そしてアメリカでは珍しい「服をたたむ」方法も、こんまりオリジナルスタイルにより、収納管理が楽になるといわれています。スペースもぐっと有効的に広がり、家全体がすっきりとしていきますね。
デメリット
「一つのカテゴリーを家の中から一気に集める」という方法なので、こんまりメソッドは時間とやる気(と勢い)が必要だとされています。成功すれば、劇的な変化をもたらすものの、途中で挫けてしまうと、家の中がひっくり返った状態で終わってしまうデメリットもあると、アメリカのサイトでは紹介されているようです。
② ミニマリストゲーム(Minimalist Game)
アメリカ人のライアン・ニコデモとジョシュア・フィールズのウェブサイト「ザ・ミニマリスト」で紹介されている片づけメソッドが、「ミニマリストゲーム」です。お片づけをゲーム感覚で楽しめるように考案されており、片づけという考え方を深く考えることより先に、実際に「モノを減らす」ことを実践しながら、ミニマリズムを実感していくメソッドです。ゲームのように進められることから若い世代からの支持も厚く、「#minsgame」というハッシュタグでSNSを賑わしています。
基本セオリー
1ヶ月を通した片づけメソッドで、月始めがスタートになります。まず一日目には、何か不要なモノを1個捨てる(手放す)、二日目には2個、三日目には3個、というように、日付にシンクロするように、捨てるモノの数を一日1個ずつ増やしていきます。31日間、このメソッドを継続できると、家の中から合計で496個のモノを減らしたことになります。ゲーム感覚で実践していくため、友人や家族と一緒に競いながらやると、持続率がアップするといわれています。
メリット
31日間続けられたら、確実に500個近いモノが家の中からなくなるため、達成感が得やすいのが特徴です。また少量から始めることで、“捨てる”という習慣が徐々に身に付き、モノが捨てられなかった人も、自然と自分の基準が見つかり始めます。ゲームという一種の強制力を使うことで、手放す決断を自分自身に迫りながら、片づけ能力をアップさせていくことが可能。
デメリット
ミニマリストゲームの否定的な側面の一つが、毎日継続しなければならないことです。メリットでもある継続性は、人によっては大きなデメリットとなります。特に月の終わりに近づけば近づくほど捨てるべき数量が増えるため、仕事から疲れて帰ってきた後に、20個以上の捨てるべきものを考えるのは、なかなかの労力です。1ヶ月という実践単位と、捨てるべきモノの数量が強制的に決められている点をどう捉えるかによって、メリットにもデメリットにも働くメソッドです。
③ 4ボックスメソッド(Four Box Method)
4ボックスメソッドは、非常に柔軟性が高く、取っ掛かりやすい片づけ方法としてアメリカでも安定した人気を獲得しています。シンプルなメソッドで、目につく場所から気軽に断捨離を始めたい人に向いています。
基本セオリー
片づけや断捨離を始めたい部屋に4つの段ボールを用意し、それぞれ「収納する」「あげる」「捨てる」「後で決める」のカテゴリー名を書いておきます。部屋のモノすべてのカテゴライズが終了したら、後はその通りに処理を進めるだけ。特に「後で決める」ボックスを作ることで、一つ一つのモノに時間をかけて悩むことなく、直感で分別を進行していくのがポイントです。この「後で決める」ボックスに関して、アメリカで人気のミニマリスト、ジョシュア・ベッカーは、あえてカテゴリーを作らず、3種類の箱で分別するメソッドをすすめており、「決められない」「結局捨てられない」という悪しき習慣を断つことを優先しています。
メリット
まず他のメソッドに比べて圧倒的に単純明快であることが利点です。メソッドとしてわざわざ確立される以前から、自然とこの方法で片づけや断捨離、衣替えを実施していきた人もいるかもしれませんね。「後で決める」ボックスがある場合は、一旦寝かせることもできるので、毎回、毎回大きな決断と思わずに、自分のペースで進めることができます。
デメリット
逆にその「後で決める」ボックスのモノが、どんどん溜まっていくケースは十分に考えられます。「後で決める」ボックスを作った場合は、可能な限りその箱は使わないという前提で選別を進行する必要がありそうですね。
④ ワンメソッド(One Method)
さまざまなメソッドのハイブリッドといえるのが、ワンメソッドです。簡単であること、そして何よりルール設定の自由度が高いため、自分オリジナルの片づけ方法を見出せるのが魅力の一つです。
基本セオリー
ある一定の期間を設定し、期間内は毎日「1つのモノ」を捨てるのが基本的なルール。ただし、「1つのモノ」というのは、1個のアイテムでも、1袋でも、1箱でも可。自分がどのように片づけを進めたいかによって、柔軟にルールを決めることができます。
メリット
「一日1つ」という、ある程度の強制力はあるものの、その度合いを自由にアレンジできるので、自分のペースで続けられるのがワンメソッドの良さです。それでいて「手放すこと」や「捨てる」ことを習慣化することもできるため、長期的なスパンで片づけと向き合っていけるでしょう。
デメリット
ルール設定の自由度が、緩さとなって逆効果になることもあります。またこんまりメソッドやミニマリストゲームのように、ある意味、勢いによってエネルギッシュに進めていくメソッドと違い、設定したルール次第ではスロー過ぎて変化や成果が目に見えないこともあります。その場合に、継続するためのモチベーションが低下しやすく、いつの間にか“片づけ熱”も冷めてしまうこともあるかもしれません。
⑤ クローゼットハンガーメソッド(Closet Hanger Method)
クローゼットハンガ―メソッドは、アメリカの大御所セレブであるオプラ・ウィンフィリーも注目し、頻繁に話題にも出している片づけ方法の一つ。特徴としては、主に衣類の片づけに特化しており、自分が日常生活の中で何を使い、何を使っていないか、トラッキングしていくことによって、不要なアイテムを見極めるメソッドです。
基本セオリー
その名の通り、クローゼットのハンガーを利用して、必要なアイテムなのかそうでないかを区別していきます。具体的な方法としては、まずクローゼットに掛かっている洋服のハンガ―の先端の部分をすべて同じ向きに揃えます。そして洗濯後などに、使った洋服を再度クローゼットに戻す際には、ハンガーの先端を通常とは逆の向きにして、クローゼットに収納します。一定期間の経過を見ることで、使う服と全く使わない服が明確に分かり、まったく使わない服は、不必要な服として手放すべきであるというシステムです。
メリット
このメソッドの利点は、準備もほとんどいらなければ、片づけの過程で家や部屋が一旦散らかるという状況がありません。時間がなくても即日スタートでき、ある期間を過ぎれば、結果が自ずと見えてくるという良さがあります。女性の所持品の中でも最も量が多く、スペースを取るのが衣類であるため、そのカテゴリーに特化することで、片づけの最初の一歩が踏み出しやすいとも考えられます。
デメリット
まず大前提として、アメリカ的な発想で考案されているため、クローゼットのハンガーに掛かっている服にしか適用されてないということ。たたんでタンスや引き出しに収納してある衣類への応用は非常に難しいです。また他の細々した雑貨や小物、本などにも、使用か不使用を見分ける目印のアイディアが自分で考案できれば、メソッドのアレンジが可能ですが、基本的には洋服のみという点もデメリットといえるでしょう。
こうしてさまざまな片づけ方法を見比べても、こんまりメソッドの特異性が伺えますよね。土地や家がコンパクトで、収納スペースに限界がある日本だからこそ、発想し得たメソッドとも考えられます。今後もますます全米で注目されていくのが楽しみです!
レス・イズ・モア・・・(Less is more)
少し前から春の陽気を感じられる日も多くなってきたLA。個人的に、自宅への来客の予定もあったので、衣替えと一緒に片づけ&断捨離を大決行しました。最初はこんまりメソッドで行こう!と張り切っていたのですが、「ときめき」という女性らしいふわっとした発想の中で、迷子になってしまい、急遽路線を変更。4ボックスメソッドの「後で決める」ボックスを取り払った、3ボックスメソッドで断捨離を実施しました。
個人レベルの実践の感想は、最初にカテゴリーに分けるという下準備の必要がなく、クローゼットやタンスの近くに段ボール3つを寄せてきて、ポイポイと区別できるのは非常に便利でした。また普段自分で服を選んでいるわけですから、どの服を着ていて、どの服を着ていないかは、服を見えれば意外と分かるもの。長期的ではなく、この日までに片付けたいという日付指定がある場合は、数日で勢いよく終われるものが適当だなと実感しました。
大掃除は年末に終えていたものの、断捨離という意味では今回が久しぶり。特に衣類が多い我が家では、洋服類が一気に減ったことで、気分もクローゼットもスッキリ。そして自分が考えている以上に、ごく僅かなワードローブで日常生活を送っていること、送れてしまうことが、改めて分かりました。普段摂取する食べ物もそうですが、私たちは本当に必要以上のモノを、体と生活に取り込んでいるのだと感じます。シンプルな生活の中にこそ、豊かさを見出せる女性になりたいものですね。
出典
https://www.bustle.com/articles/136499-6-benefits-of-decluttering-your-life-according-to-science
https://www.breakthetwitch.com/decluttering-methods/