アメリカで密かなブーム!安全で経済的な「リグロウベジタブル」
捨ててしまいがちな野菜のヘタや根の部分。実はこれらに適度な水と光を与えることで、再生させ、再度収穫までしてしまう「再生野菜(リグロウベジタブル)」がアメリカで密かなブームになっています。食用はもちろん、観葉植物としてインテリアのアクセントにも取り入れられているリグロウベジタブル。その人気の秘密から適した野菜の育て方、さらにリグロウベジタブルを使用したレシピまでご紹介していきましょう。
アメリカで密かなブームのリグロウベジタブル
現在、アメリカでは年間で30〜40%の食料が破棄されています。2018年には1.3億トン(約990億ドル分)の食料が処分され、このうち約1/3が野菜と果物だとすると、想像を絶する量の食料が無駄になっているのが分かります。このような現状を深刻に考えている地球環境への意識が高い人たちから端を発して、破棄されやすい野菜の残存部分を利用した自家栽培・自家菜園が密かなブームとなっているのです。
これは、調理の際に捨ててしまいがちな野菜のヘタや根の部分を水につけたり、土の中に植えたりすることで、野菜を再生させ、再度収穫までしてしまうというもの。このような再生野菜は「リグロウベジタブル」または「リボーンベジタブル」と呼ばれています。
カリフォルニアから火がついたリグロウベジタブル
ヘルスコンシャスの高い人が多いといわれるカリフォルニアでは、このようなリグロウベジタブルを気軽にトライする人が増えています。年間を通して天候がよく、室内であっても日光を取り入れやすい環境であり、植物が育ちやすい土地柄であることもカリフォルニアで広く取り入れられている理由の一つでしょう。また、苗をわざわざ買ってまで野菜を育てるほど手間暇をかけずとも、気軽に始められることが人気を後押ししているようです。
リグロウベジタブルのメリット
まず、リグロウベジタブルは食材を無駄に廃棄しないため自然環境に優しいことが挙げられます。次に、自家菜園のため、目に見える安全な環境のもと、無農薬で野菜を育てることができるので、安心して口にすることができます。例えば、与える水は米のとぎ汁を再利用したり、オーガニックな土を利用したり、工夫次第でより自分自身の求める安全性を追求したりすることもできます。また、コストもほとんどかからず、キッチンやベランダなどで気軽に野菜づくりを楽しむことができるばかりか、お気に入りの生産者や農家が育てたブランド野菜やオーガニック野菜などでも再生できるというメリットもあります。さらに付け加えるならば、リグロウベジタブルを育てて食べるので、市販の野菜を買わなくて済む分、経済的なメリットとともに、市販の野菜を包装している過剰なラップやビニール、プラスティック容器などの無駄使いも防ぐことができます。
リグロウに適した野菜9選
では、実際にリグロウベジタブルに適した野菜をご紹介します。まずは、身近にある育てやすい野菜でリグロウベジタブルを楽しんでみましょう。
1)ニンジン:根野菜
ヘタの部分をカットして水に漬けておくと、ニョキッと緑色の新芽が出てきます。新芽が2~3cmになったら、土に植え数ヶ月。新しいニンジンが再生します。もちろん葉も食べることができます。
2)ラディッシュ:根野菜
ヘタの部分をカットして水に漬けておくと、ニンジン同様に緑色の新芽が出てきます。新芽が2~3cm大きくなったら、土に入れて数ヶ月。新しいラディッシュの誕生です。
3)ニンニク:根野菜
一片ごとに指で割いてわけ、土の中に入れて数週間すると新芽が出てきて食べることが可能になります。4~5ヶ月経つと、新たなニンニクが再生されます。
4)ジャガイモ:根野菜
丸ごとのジャガイモまたは半分にカットしたものを水に浸して数週間経つと、新芽と根が出てきます。土に埋めて4~5ヶ月後には小さなジャガイモができます。
5)サツマイモ: 根野菜
サツマイモを丸ごとまたは半分にカットして水に浸し、数週間後には新根と新芽が出てきます。その後土に埋めて数ヶ月経過するとサツマイモが誕生します。
6)青ネギ:葉野菜
根の部分を水に浸してしばらくすると、新根とともに新芽がシュルッと伸びてきます。数週間すると食べるのにちょうどいいサイズまで成長します。
7)セロリ:葉野菜
根から1cmほど残してカットし水に浸します。数日後には、カットした茎から新芽が出てきます。
8)バジル:葉野菜
茎を水につけておくと新根と新芽が出てきます。
9)パクチー:葉野菜
茎を水につけておくと新根と新芽が出てきます。
他にも、キャベツ、ブロッコリー、レタス、豆苗、長ネギ、タマネギ、また野菜ではなく果物ですが、パイナップルなども再生させることが可能です。
キッチンの片隅でリグロウ、必要なのは水と太陽
リグロウベジタブルを育てるのはとても簡単です。水と太陽の光さえあれば大丈夫。野菜に応じて、土での栽培が適しているものもありますが、基本的に水で栽培が可能なのです。そこで、小皿やジャー、グラスなど、キッチンで使うアイテムを利用してみましょう。キッチン以外でもリビングやベランダなどちょっとしたスペースでリグロウは可能です。下記のインスタグラムでの投稿画像を参考に、インテリアのアクセントにも活用してくださいね。
キッチンの片隅でリグロウすれば、そのまま料理にも使えます。
セロリをアンティーク風の小皿でお洒落にリグロウ中。
爪楊枝を3本使ってストッパーがわりに。水中を浮いているような近未来的なオブジェにも見えますね。
スクエアの容器に入れただけなのに洗練されたディスプレイ。
リグロウベジタブルを使った美肌レシピ
収穫したリグロウベジタブルを使った簡単に作れる美肌レシピをご紹介しましょう。あともう一品という副菜にも適したレシピです。
キャロットリーフのパスタ
ビタミンAを多く含むキャロットリーフ(人参の葉の部分)。ドライにして肉や魚料理に使用したり、サラダやスープに振りかけたり、風味を出すのにも使われます。
キャロットリーフのパスタ<材料 1人分>
- キャロットリーフ(リグロウ)・・・2〜5枚
- ブラックビーンズ(缶)・・・20g
- ニンニク(リグロウ)・・・1片
- ココナッツオイル・・・15g
- パスタ・・・50g
- シーズニング・・・適量
<作り方>
細かく刻んだキャロットリーフとニンニクをココナッツオイルで炒める。
水切りしたブラックビーンズを①に入れて一緒に炒める。
ポテトサラダ
美肌を導くビタミンCやビタミンB1を含むポテトと血液をサラサラにするタマネギのコンビネーションで透明感のある肌に。
ポテトサラダ<材料 1人分>
- ポテト(リグロウ)・・・小3~4個
- タマネギ(リグロウ)・・・半個
- マヨネーズ・・・大さじ2~3杯
- シーソルト(普通の塩でも代用可能)・・・適量
- コショウ・・・適量
<作り方>
ポテトを茹でる。
タマネギはみじん切りにして水にさらしておく。
①のポテトが茹で上がったら皮をむき、②のタマネギ、マヨネーズ、シーソルト、コショウを入れて混ぜれば出来上がり。
マイナス要素なしのリグロウベジタブル
リグロウベジタブルは、ヘルシーライフを満喫しているカリフォルニアではかなり浸透していいます。私の周りでも各家庭のキッチンには必ずリグロウベジタブルを見かけるほど。基本的に太陽と水さえあれば、すくすく育つので手間もかからず、その成長過程を観察するだけでもワクワクします。最も楽しみなのが収穫の時です。元々の野菜の味と再生した野菜の味は匹敵するのか否か、味比べを楽しめるのもリグロウベジタブルならでは。私の体験上、実際にリグロウ中の野菜がキッチンの片隅にあると、料理の薬味として使えたり、色味をたす際に重宝したり、とても便利です。キッチンにフレッシュな彩りを添えることもできますよ。環境に優しく経済的、簡単に育てることができて便利、マイナスな要素を見つけることができないリグロウベジタブル、今日からでもはじめてみてはいかがでしょう?