食べるだけで脳に効く。「ブレインフード」最新事情
ここ最近、脳や気分に良い影響を及ぼす食べ物「ブレインフード」が美容好きの間で話題です。別名「食べるサプリメント」とも呼ばれ、脳を健康な状態にすることで仕事も効率よく運ぶなど、日常生活にも良い影響をもたらすと評判。一体、ブレインフードとは、どのような食材で具体的な効果は何なのでしょうか。ライター・ブラウン高橋百々が実際につくった「簡単・育脳レシピ」を通して、脳が喜ぶスーパーフードの真実に迫りました。
ブレインフードブームを巻き起こした、二人の専門家
普段の食生活が脳に及ぼす影響を一冊の本にまとめたリサ・モスコーニ准教授(参照:公式サイトhttps://www.lisamosconi.com/)
ブレインフードブームの火付け役といえば、約2年前、アメリカで出版された著書『Brain Food: The Surprising Science of Eating for Cognitive Power(和訳:ブレインフード:認知能力に関する食事の驚くべき科学)』。
著者のリサ・モスコーニ准教授は、アルツハイマー予防クリニックが専門領域。イタリア出身の彼女はアメリカに移住後、食生活の変化で自身の体と仕事に悪影響を受けてしまったそう。この経験を生かし、食生活が脳に及ぼす研究結果をこの本にまとめています。
本書では、脳の機能をアップさせる食品群を「キャビア」「緑黄色野菜(葉物)」「ベリー類」「エキストラヴァージンオイル/アマニ油」「生のカカオ」と紹介しています。
気軽に取り入れられるブレインフードの魅力を紹介するジョシュ・アックス博士(参照:公式サイトhttps://draxe.com/)
一方で、自然療法医師・臨床栄養士であり、『Eat Dirt: Why Leaky Gut May Be the Root Cause of Your Health Problems and 5 Surprising Steps to Cure It(和訳:すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい)』の著者ジョシュ・アックス博士は、自身の公式サイトで摂取すべき「15のブレインフード」として、以下の食品を紹介しています。
【15のブレインフード】
●植物性タンパク質:「アボカド」「ビーツ」「ブルーベリー」「ブロッコリー」「セロリ」「緑黄色野菜(葉物)」
●動物性タンパク質:「サーモン」「卵黄」
●穀物類:「クルミ」「ダークチョコレート」「ローズマリー」
●調味料/香料:「ターメリック」「骨のだし汁(ボーンブロス)」「ココナッツオイル」「エクストラヴァージンオイル 」。
脳に効く!7つのブレインフードをピックアップ
今回は、モスコーニ准教授により執筆された5つの「ブレインフード」を軸に、アックス博士や栄養士の見解をまとめ、計7つの食材をご紹介します。
脳の「活性化」「記憶力と集中力」「健康力アップ」、また「育脳」「認知症予防」「メンタルヘルス」に役立つ成分をチェックしていきましょう。
1. オメガ3脂肪酸が豊富な「キャビア」
キャビアに豊富な「オメガ3脂肪酸」が、脳神経細胞の情報伝達をスムーズにし、記憶力や集中力を向上。そのほかビタミンB群の「コリン」や「ビタミンB6 / ビタミンB12」も、認知症予防効果を発揮します。
さらに 「鉄 / マグネシウム」も含まれ、脳への血液の流れをスムーズに。立ちくらみ(脳貧血)やめまいを起こす方は、注目のブレインフードです。
【美容効果】
・「ビタミンE」も豊富なので新陳代謝を高め、シミ・そばかすを防止する働きがあります。
【備考】
・キャビアの他にも、イワシなどの青魚やサーモンなどからも「オメガ3脂肪酸」を摂取することが可能です。
2. 脳の血管を若返らせる「サーモン」
色素に含まれる「アスタキサンチン」が脳の血管を若々しく保ち、活性酸素から守る働きをします。さらに成分の一つである「コンドロイチン」は、 脳の中枢神経にある細胞の生まれ変わりをサポートする「新生」と、状況に応じて順応する脳の働きを改善する「可塑性」に、 重要な影響を与えます。
【美容効果】
・ビタミンCの6000倍ともいわれる抗酸化作用で、シミを改善したりしわを目立たなくしたりします。
【備考】
・サーモンと同じ動物性タンパク質でも卵黄には、「コリン」という成分が記憶力を高める働きを促進します。
・骨のだし汁(ボーンブロス)は、腸内細菌の中で神経伝達物質であるγアミノ酸「ギャバ(GABA)」を増やし、自立神経のバランスを整えます。
3. ビタミンが豊富な「緑黄色野菜」
ケールやほうれん草、チャード、ブロッコリー、ニンジン、カボチャは「緑黄色野菜」の中でも特に優れものです。神経系の働きに必要なビタミンA ・C・ E(とくにアドレナリンの合成に必要なビタミンC)が豊富。脳血管の詰まりを予防する「食物繊維」や、神経機能を改善させる「ミネラル」も摂取することができます。
さらに、緑黄色野菜の中でもブロッコリーには「葉酸」が多く含まれ、記憶力の向上を助けてくれます。
【美容効果】
・野菜によって若干異なりますが、緑黄色野菜は基本的に「食物繊維」が豊富なので調整作用が期待され、肌荒れなどの原因を予防します。
・抗酸化作用をもつビタミンを多く含み、ニンジンなどは体内に取り入れるとβカロテンに変換させるアンチエイジング成分も豊富。
【備考】
・セロリには20種類もの抗炎症物質が含まれ、記憶力の低下を防ぎます。
・ローズマリーは別名「記憶のハーブ」と呼ばれ、脳の認知機能を改善。集中力の向上も促進します。
4. 大豆製品
脳の記憶力や集中力を高める「レシチン」が多く含まれている大豆製品もオススメ。脳への血流をスムーズに導き、脳細胞を活性化させる働きがあります。
また、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌を高める「チロシン」によって、脳内の情報伝達がスムーズに。脳がスッキリし、集中力を向上させます。記憶ケア成分「大豆由来・ホスファチジルセリン」の含有もうれしいポイントです。
【美容効果】
・大豆に含まれるポリフェノールの一種「大豆イソフラボン」が、美肌のための抗酸化作用に似た作用を発揮します。
【備考】
・ 大豆イソフラボンは腸内細菌の力で「エクオール」という成分に変化し、乱れがちなホルモンを整え、ほてりや首・肩の凝りを改善します。
5. ベリー類
ストロベリーやラズベリー、ブラックベリー、ゴジベリー、マルベリーなどのベリー類は、記憶力低下を防ぐ「抗酸化物質」が豊富です。
【美容効果】
・ベリー類は基本的に「ビタミンC」や「ビタミンE」が多く含まれ、美肌効果があると話題。
・ラズベリーに含まれる「ラズベリーケトン」には脂肪燃焼効果があり、ブルーベリーには視力低下を防ぐため、瞳の輝きを美しくキープさせる「ポリフェノール」が満載。
【備考】
・ベリーの中でもブルーベリーは、記憶力や運動能力の低下を防ぐ成分が最も豊富です。
6. エクストラヴァージンオイル / アマニ油
細胞の若返りを助ける「ビタミンE」や「オメガ3脂肪酸」などを多く含みます。また「一価不飽和脂肪酸」という心臓の働きを助ける成分も豊富なのだそうです。特に、オリーブオイルに含まれている「オレイン酸」には善玉コレストロールを下げる働きや、血液をサラサラにする効果があり、脳の血流を促進させます。
【美容効果】
・エクストラヴァージンオイル やアマニ油に含まれている「オレイン酸」は、乾燥や刺激から守る働きがあるといわれています。
【備考】
・「オレイン酸」には善玉コレストロールを下げる働きがあり、血液をサラサラにする効果があります。
・脳の血流を促進するアボカドもブレインフードの一つです。
・ココナッツオイルに中鎖脂肪酸から合成される「ケトン体」は、効率よく脳を動かすエネルギーとなります。
7.生カカオ
細胞の老化を防ぎ、心臓病のリスクを下げる抗酸物質「テオブロミン」を多く含みます。またこの成分は、血管を拡張させ脳への血管を改善する働きもあります。
【美容効果】
・カカオに含まれる「ポリフェノール」には抗酸化作用があり、肌のくすみ、しわ、たるみなどを改善。肌の水分量を増加させ、キメを整えるなどの効果も得られます。
【備考】
・チョコレート(とくにカカオ含有量・80%以上のダークチョコレート)には、抗酸物質「テオブロミン」が含まれているので代用可能です。
・クルミにも「オメガ3脂肪酸」が含まれており、一日7〜8粒を目安に摂取すると良いとされています。
・そのほかターメリックには「クルクミン」という色素成分が、記憶力を高める働きがあります。
ブレインに効く便利な製品を発見!
最近、オーガニックスーパーマーケットには出向いたところ、「ブレイン」を活性化させるコーヒーや紅茶などを見つけました。
C B D(カンナビジオール)入りのコールドブリューコーヒー「RA SHOT CBD BRAIN BOOSTER ($7.99 /59ml) 」(写真右)。一口含んだだけで、頭がシャキッとします。一方、オーガニックのレモングラスとジンジャーハーブティー「teaonic i love my brain($4.99/240ml)」(写真左)は、飲んだ後に集中力が高まります。 忙しい日々でも、脳に良い効果を得られるのは、とても便利ですね。
身近なブレインフードを使った「簡単・脳活レシピ」
自宅待機期間中の今こそ、おうち時間を有効活用してみませんか。 毎日の食材を意外と身近に手に入れられるブレインフードに置き換えることで、いつの間にか脳機能が改善。栄養バランスや美容的な情報を踏まえながら、ライター・ブラウン高橋百々が実際に作った「簡単・脳活レシピ」をご紹介します。
1. 主食級。ボリューミーな緑黄色野菜サラダ
<材料(2人分)>
- ケール・・・2〜3枚
- レタス・・・小1つ
- マッシュルーム・・・3個
- トマト・・・1個
- ニンジン・・・2本(そのうち1本をソテーへ①)
- アスパラガス・・・3本(そのうち2本をソテーへ①)
- フェンネル・・・2枚(そのうち1本をソテーへ①)
- セロリ・・・3枚(そのうち根本の部分だけソテーへ①)
- ビーツ・・・大1個(クミンと塩を振って下茹でしておく①)
- ニンニク・・・1個
- 生姜・・・小さじ1
- バルサミコ酢・・・スプーン1
- エクストラヴァージンオリーブオイル・・・大さじ4
- 塩、コショウ・・・適量
- レモン汁・・・小さじ1
(あらかじめ材料を混ぜてドレッシングを用意しておくと便利)
①生サラダ
②ドレッシング
<作り方>
好みの大きさにカットした材料とオリーブオイルでソテーした①をボウルに入れ、②のドレッシングを全体に混ぜれば完成。
2. オーブンを使ったクリスピーベジ
<材料(作りやすい分量)>
- スクワッシュ(orかぼちゃ)・・・1/2個
- ブロッコリー・・・小1個
- スプラウツ・・・4個
<作り方>
スライスした材料をオーブンの鉄板(ホイルを敷いておく)に並べ、みじん切りにしたガーリック、エクストラヴァージンオイル、パルメジャンチーズの順にふりかける。400℃のオーブンで約30分、火を通せば出来上がり。
3. カカオバナナスムージー
<材料(作りやすい分量)>
- 生カカオパウダー・・・大さじ1
- バナナ・・・1本
- デーツ・・・2個
- 豆乳・・・250ml
<作り方>
あらかじめナイフでカットしておいたデーツを含め、食材全てをジューサーに入れて混ぜれば完成。
脳ストレスを軽減 するなら、自宅待機期間の今!
脳を活性化させて健康的に賢く生きるためには、上記の挙げたブレインフードを積極的に活用すると良いでしょう。特に自宅待機期間の今は、脳にさらなるストレスを抱えているかと思いますが、意識的に脳の健康をキープすると、きっともっと効率の良い快適な生活を送ることができるはずです。
また脳機能を改善させるという視点だけでなく、今の脳機能を減退させないという視点も大切。調べたところ、人間の体が占める水分量「約60〜70%」をキープするためにも、定期的に水分補給を補うことも必須だといいます。水分が不足すると肌が乾燥したりする美容的なダメージだけでなく、脳にも支障をきたします。わずかに不足しただけでもめまい、疲労感、錯乱、さらには脳の萎縮まで起こる可能性があるそうです。
おうち時間を活用しながら、食べるサプリメント「ブレインフード」と、十分な水分摂取の両方のバランスを大切に出来たら良いですよね。