「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第4回:爆走バスで

こんにちは、料理研究家の藤沢セリカです。

前回の『第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)』にてご紹介した「サン・セバスティアン」から見て西側に位置する小さな港町の「ゲタリア」。世界中の女性を魅了するハイファッションブランド「バレンシアガ」の美術館や世界一美味しいといわれるアンチョビ、絶景のミュシュランレストランもあるというので行ってきました。今回は『第4回:爆走バスで行くゲタリア・美術館編』として、ゲタリアまでの道中から「バレンシアガミュージアム」をご紹介します。

サン・セバスティアンからゲタリアまでアクセスはバスがおすすめ

第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)』でたっぷりとご紹介したバル天国のサン・セバスティアンからゲタリアまでのアクセス方法といえば、「バス」または「自動車」になります。

バスで行けば40分のところ、タクシーなら20分程。でもタクシーだと100€(約12,000円)は超えると聞いたので、バスをチョイス。調べたところ、ゲタリアへ行くバスは「UK9(各駅)」か「UK10(高速)」で運賃は激安の2.5€ほど。バスは30分間隔で出ているようです。

大通りのバス停をチェック。UK9、UK10と書いてある乗り場を探し、待つこと15分。UK10のバスがやって来ました。

ゲタリア行きのバスは、車内も広く清潔。

ゲタリア行きのバスは、車内も広く清潔。

サン・セバスティアンのバスには日本のバスにあるような電子掲示板(次にどこに止まるかなどの表示)がありません。「もし、目的地で降りられなかったらどこに行っちゃうのかしら?」と不安になり、運転手に「ゲタリアで降りたい」と伝えました。

ゲタリアへ行くバスは、2台の車両が蛇腹で連結した長い形状になります。広々とした明るくきれいな車内で、椅子も座り心地良く快適です。

さあ、いよいよ出発!街中を通り、カンタブリア海を右手に見ながらのバスでの旅です。「ゲタリアで降りたい旨も伝えたし、これで安心!」と思いきや、ここからが恐怖の始まりでした…。

ゲタリアへの絶叫系爆走バスにビックリ!

カンタブリア海を右手に見ながらのバスでの旅。

カンタブリア海を右手に見ながらのバスでの旅。

雨の多いバスク地方ですが、この日はお天気にも恵まれて気持ち良いとウキウキしていたのも束の間。バスはどんどんスピードを上げながら山道に入って行きました。

席が空いていたので景色が良く見える窓側の席へ移ろうとしたところ、立ち上がれません!シートに座って前の椅子のハンドルに掴まっていても、体が大きく左右に揺れるほどのスピードです。ちらりとスピードメーターを見たら、なんと80km!公共のバスではあり得ない速さです。

私の座っていた位置から後ろを見たら、連結部分の蛇腹が大きく左右に揺れ、時々後ろの車両が見えなくなるくらいのうねりながら、高速で突き進んで行きます。まるでジェットコースターに40分も乗っていたみたいな、ヘロヘロ感覚になりながら、どうにかゲタリアへ到着しました。超絶・爆走バスです。ゲタリアへ行かれるときはぜひ、体験してみてください!のんびりとしたバスク地方でお手軽に絶叫マシーンに乗ることのできるチャンスかもしれません。

ゲタリアはやさしい街

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第4回:爆走バスで

ゲタリアのバス停の中央広場(左上写真)と丘に上がるエスカレーター(右上写真)

爆走バスが到着したバス停の斜め前あたりに中央広場があります。この広場を囲むように、奥には別のバス停と観光局がありました。ゲタリアを訪れたらどこに行くかここでおすすめを聞いたり、確認したりするといいですね。これらの前を通り過ぎて、30秒ほどすると、丘に上がるエスカレーターが見つかります。

エスカレーターを上った途中にも住居がたくさんあり、地元の買いもの帰りの人々が利用しています。誰でも自由に利用できるエスカレーターのあるゲタリア、坂を上ることが肉体的に大変になったお年寄りにもやさしい街づくりです。さっそく、私も乗ってみました。このエスカレーターは一体どこまで行くのでしょうか?

ハイブランドのクチュールにうっとり。「バレンシアガミュージアム」

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第4回:爆走バスで

エスカレーターを上がり切るとゲタリアを一望できます。

エスカレーターの頂上、一番上は、とても景色のよい丘。ゲタリアの街が見渡せます。でも、その前に、「バレンシアガミュージアム」が中腹にありました。彼の生家の隣に美術館が建てられているのです。さっそくご紹介していきましょう。

シンプルモダンなバレンシアガミュージアム

シンプルモダンなバレンシアガミュージアム。

「ここかしら?」と思うほどシンプルな玄関口。モダンな外装の建物です。ここから、うっとりする世界へ入ります。

クリストバル・バレンシアガの世界

バスク系スペイン人のクリストバル・バレンシアガは1895年にゲタリアで生まれました。お針子さんだったお母様の影響を受けてファッションの道へ入ります。1917年にサン・セバスティアンへ店を出して成功を収めますが、スペイン内戦により閉店。その後30年代にパリへ向かいその地で本店を構えます。

「クチュール界の建築家」と評され、1950年代にはクリスチャン・ディオールと肩を並べる名門へと成長、世界的な発展を遂げるのです。

バレンシアガのクチュールが時代ごとに展示されています

バレンシアガのクチュールが時代ごとに展示されています。

バレンシアガのクチュールが時代ごとに展示されている、他にはないとても美しい美術館です。一点ずつ展示されているドレスは時代を経ても、輝きに満ち溢れています。

現在でも、2015年秋冬コレクションより就任したデザイナー・デムナ・ヴァザリアによりバレンシアガの独創的なエレガンスは引き継がれて、多くの男女を魅了しています。

上記の一番右側がデザイナー・デムナ・ヴァザリア。

ハリウッドセレブもお気に入り、バレンシアガ

現在バレンシアガはシューズも大変人気がありますが、服も健在です。世界中多くのセレブに愛用されているのです。ここではその一端もご紹介しましょう。

常に話題に事欠かないキム・カーダシアンもバレンシアガのレザージャケットを愛用。

パートナーの俳優オーランド・ブルームと娘の誕生を楽しみにしている歌手ケイティ・ペリーもバレンシアガのカラフルなドレスを着用。

ゲタリア観光、まだまだ続きます!

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第4回:爆走バスで

絵画が好きな私は、どこの国にいっても美術館巡りをしますが、このミュージアムは格別。身にまとう布を、クチュールという芸術に仕立て上げた、バレンシアガの歴史に触れることができた貴重な時間でした。「バレンシアガミュージアム」はゲタリア観光では決して外すことのできないスポットの一つです。

美しいクチュールへの余韻に浸りながら、バレンシアガミュージアムを後にエスカレーターを下ります。道路を挟んで、向かい側の港へ続く細い道が「マヨール通り」です。カフェやバル、食品の小売店、ボーダーシャツの洋服屋さんなど、小さいお店が立ち並びます。お土産を購入するのにも最適な場所です。

そうです、この界隈にお目当てのお店があるのです。ゲタリア観光はまだまだ続きます。今回は、一風趣向を変えて「バレンシアガミュージアム」をご紹介しましたが、次回はいつも通り食の旅。お目当てのお店やレストランをご紹介する『第5回:ゲタリア・世界一のアンチョビとレストラン編』をどうぞお楽しみに!

※1ユーロ=121円換算(2020年7月現在:オンライン通貨コンバータ調べ)。ただし本記事内では1ユーロ=約120円換算で記載しています。

【バスク旅行記】
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第1回:旅路編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第2回:ビルバオ紀行編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第5回:ゲタリア・世界一のアンチョビとレストラン編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第6回:シドレリアの“チョッツ!”チャレンジ編

この記事を書いたライター

Cooking Expert/Author

1961年2月4日生まれ、水瓶座O型。料理研究家。ハワイ、バリ、タヒチなどのアイランド料理研究家でもある。TV、ラジオなどメディアでの情報発信、ケータリングなど、食に関して幅広く活躍中。著書に『ハワイごはん』『湘南ごはん』『海ごはん』『ホノルル食堂』など。オフィシャルホームページ「ALOHA DELI

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