「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第5回:ゲタリア・世界一のアンチョビとレストラン編
こんにちは、料理研究家の藤沢セリカです。
「ゲタリア」は美しい街並みを持つ小さな港町。サン・セバスティアンからゲタリアまでの道中から世界中の女性を魅了するハイファッションブランド「バレンシアガ」の美術館を紹介した前回の『第4回:爆走バスで行くゲタリア・美術館編』に続き、今回は世界一のアンチョビと絶景を誇るミュシュランレストランでの美食三昧をレポートします。
見つけた!世界一美味しいアンチョビのお店
マヨール通りは、小さなお店が立ち並ぶ賑やかな通り。お昼頃になると、レストランやバルの外にある炭焼き場では魚介類を焼く、香ばしい匂いが漂い、食欲をそそります。そんな美味しそうな商店通りに目指していたお店を発見しました。ここが世界一美味しいアンチョビを扱う店「サラノルト」です。
バスクの名物食材やワインが所狭しと並んだ店内。欲しかったゲタリアの海で採れた「ソルトフラワー」もあります!こちらは、フワッとした雪みたいな塩で、カルパッチョやサラダなどに振るとオシャレでとても美味しいのです。
そしておなじみの「ヒルダ」もあります。ヒルダとはギンディージャという青唐辛子の酢漬けとグリーンオリーブ、アンチョビなどを串に刺したもの。バスクの名産ピンチョとして大人気であることは『第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)』でもご紹介しました。「サラノルト」で販売しているヒルダは大きな容器にたくさん入っていて、とてもお安いのでおすすめです。
さらに、探していたもの、ありました!コレです、世界一美味しいアンチョビ!(右上写真)この時点ではまだ試食していないので、味が分かりませんでした。実食は絶景レストランで!
アンチョビは、お土産用の小さいものから自宅用の大きなビンや缶がズラリ。持てるだけ買占めました。ちなみにこのお店、というよりもバスク全般でいえることですが、「後で買おう」はNG!観光地でもシエスタタイムはあるので、うっかり後回しにするとお店が閉まっていた、なんてこともしばしばあります。見つけたときが「買い時」です。くれぐれもお忘れなく!
マヨール通りの教会で歴史の息吹を
さて、そろそろ港に向かいましょう。すっかり楽しんだマヨール通りを突き当ると、古い教会があります。この教会の下を通り過ぎると港に出るのですが、私は教会マニアでもあるので、さっそくこちらの教会も見学してみます。かなり古い建物ですが、差し込む光が美しく、神聖な気持ちになります。ゲタリアの歴史の息吹を感じます。厳かで雰囲気も良いので記念撮影にも最適なスポットです。
絶景のミシュランレストランで至福のランチタイム
教会を抜けると目の前に海が広がりました。どうしても行きたかったレストラン「カイアカイペ」。ゲタリアといえばレストラン「エルカノ」が有名ですが、こちらはエルカノ創業者の甥っ子さんがオーナーのお店。どうしてここに行きたかったかというと、カイアカイペは港が見渡せる絶景ポイントにあるからです。もちろん予約時に窓際をリクエストしましたよ!
サマーシーズンには1階のカジュアルなレストランも営業しているそうですが、この時はオフシーズン。2階に位置するミシュランレストランのみ営業していました。今回はこちらのレストランがお目当てなのでさっそく店内へ!
客船をイメージした店内は、高級感はあるものの親しみ安いレトロな雰囲気。雰囲気も良くてワクワクと気持ちが高鳴ります!
ボトルワインもお手頃価格!
ワインを注文しようとリストをもらったのはいいけど、スペイン語でまったく分かりません。そこでお店の人に「地元のワインはどれ?」と聞いて教えてくれたのが14€のワイン。まあ、高級店だからグラス1杯これくらいは普通か、と思い「2つください」と言ったところ、「2ボトル?」とビックリされました。そう、これはボトルのお値段だったのです。お安いですね!
ここではスタッフのおすすめ、ゲタリア産のロゼワインをいただきました。すっきりして魚介類に合う、さわやかなワインです。その後も笑いながら「2ボトル?」と聞かれ、「いやいや1ボトル」と何度言わされたことでしょう・・・いかにもサーファー風なイケメン、おちゃめなスタッフでした。
お待ちかね!コース料理
さて、いよいよ待ちに待ったコース料理のスタートです。まずは前菜。ビーツのマリネとゲタリア産ビンチョウマグロのオイル漬け。いわゆるツナ缶のようなもの。日本のツナと違って、大きな身をオイル漬けにしているので食べ応えは抜群です。ビーツのマリネと合わせると、サッパリしていて前菜にピッタリ。こちらを再現したレシピをご紹介していますので、ぜひ味わってみてくださいね!
さて、お次は…。
出てきました!これが噂の世界一美味しいアンチョビです。いつも食べている、塩気の多いアンチョビと全然違う別物です!しっかりとしたフィレで、塩分も控えめ。なんといっても新鮮でオリーブオイルも美味しい!うーん、これが世界で一番美味しいアンチョビといわれているのですね…納得です。
続いて、ロブスターのサラダです。潮の風味がする引き締ったロブスターの身と、ジンジャーが効いたバターソースが絡み合い、後を引く美味しさ。エディブルフラワーのあしらいが美しく、盛り付けも勉強になる一皿です。
魚のスープ。「ビルバオで」もいただきましたが、ここのスープの方があっさりしていました。白身魚を中心にダシを取るそうですが、それだけとは思えないコクと旨味には、他に秘密がありそうです。
いよいよメインの登場です。ゲタリア名物、ロダバージョ(イシビラメ)の炭火焼!ゲタリアを訪れるほとんどの人が、この炭火焼目当てです。
お店のスタッフが、シェアする人数に合わせて大きさを選んでくれます。焼き上がりをテーブルに置いて見せ、その後で取り分けてくれるのです。
炭火で焼いた後に絡めるレモンバターのソースが絶品!シンプルな味付けで十分美味しい、新鮮な魚だからこその味です。
ミュシュランレストランはランチが狙い目!
「デザートは?」と聞かれましたが、もうお腹いっぱい! ワインで気持ちも軽やかに、天気も良くて、最高!ワイン1本、炭酸水1本、前菜、サラダ、スープ、メイン料理で、一人当たり日本円で20,000円ほどでした。世界に名だたるミシュラン店なのにお手頃価格だとは思いませんか?それは、ランチだから!そう、ランチが狙い目です。同じような内容でも、ディナーになると一人当たり円換算10万円は覚悟しないといけないと聞きました。やっぱりお昼に行って、大正解・大満足でした!
メインディシュは注文を受けてから炭火焼きに!
レストランを出て、1階に下りると、外のキッチンではシェフが魚を焼いていました。注文を受けてから1尾ずつ処理して焼きます。それぞれに魚型をした焼き機で挟み炭火で焼きます。だからこそ、新鮮で魚本来の味が際立ちこれほどまでに美味しいのですね!
サン・セバスティアンとゲタリア間はUK10がおすすめ!
さて、そろそろ帰りますか、ということでバス停に向かいます。着いた場所の反対側、観光局の並びにサン・セバスティアン行のバス停がありました。おそらくシーズンは観光客も多く訪れるゲタリアですが、行ったのはオフシーズン。とにかく人が少ないのです。
地元の人が1〜2人いるくらいで、やや不安になっていると、UK9のバスがやって来ました。『第4回:爆走バスで行くゲタリア・美術館編』にてお知らせした通り、「そうだ、これでも帰れるから!」とそそくさと乗りました。
実はそれは、大きな間違い!UK9はローカル線で、山の中をくねくね走り、地元の子どもからお年寄りまで乗ったり、降りたりと各駅停車のよう。始終停車するにも関わらず、行きのバスUK10のように爆走して、なんと到着までに1時間以上もかかりました。ゲタリアからの帰りもUK9ではなく、UK10にお乗りくださいね。
小さな港町ゲタリアに足を伸ばして!
ゲタリアは小さな港町ですが、とても情緒があってノスタルジックなエリア。そして、なんといっても美味しい炭火焼レストランが多数あります。サン・セバスティアンを訪れたなら、ぜひ、日帰りで行けるゲタリアで至福の時を過ごしてみてください!まだまだバスクの旅は続きます。次回をどうぞお楽しみに!
バスクの旅をまとめたエッセイと、ピンチョスやタパスを再現した、読むレシピ本『バスクのおいしいバルレシピ (マイナビブックス)』を出版しました!バルで食べた美味しいおつまみのレシピと、スペインクラブのソムリエが教えてくれるワインのペアリングは必見です。バスクへの行き方なども詳しく紹介していますので、機会があったら、ぜひお手に取って見てくださいね。
【バスク旅行記】
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第1回:旅路編』
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第2回:ビルバオ紀行編
』
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)』
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第4回:爆走バスで行くゲタリア・美術館編』
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第6回:シドレリアの“チョッツ!”チャレンジ編』