「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回:シドレリアの「チョッツ!」チャレンジ編

こんにちは、料理研究家の藤沢セリカです。

リンゴの産地でもあるバスクの名物「シドラ」とは、一般的に「シードル」と呼ばれているリンゴのお酒。そのシドラの醸造所が「シドレリア」といって、観光客が見学&試飲のできるところもあります。そこで行われているのが「チョッツ!」というもの。この謎の言葉とは?バスクに来たからには体験しないと帰ることはできません!「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回は「チョッツ!」チャレンジ体験をお届けします。

バスク名物「シドラ」とは?

バスクのシドラはさまざまなリンゴをブレンドしたものになります。酸味が強い微発泡酒ですが、アルコール度数は5%ほど。リンゴの収穫方法も独特で、木からもぎ取ることはせずに、熟して地面に落ちた実を収穫して作ることが伝統だとか。そのリンゴを2〜4ヶ月ほどかけて樽の中で発酵させ、収穫の翌年1月19日に解禁セレモニーが行われます。

ひっそりとして静かな佇まいの「シドレリア」

シドリア外観(左上写真)と敷地内には実際に使われている道具や樽が展示されています。(右上写真)

シドリア外観(左上写真)と敷地内には実際に使われている道具や樽が展示されています。(右上写真)

サン・セバスティアンの旧市街地から山方面に向かって車で15分程行ったところにシドレリアがありました。たくさんのバルやショッピングセンターなどで賑わう旧市街のすぐ近くにリンゴ畑があるなんて、ちょっと驚きです。

目立たない建物の入り口がシドリアの入り口。

目立たない建物の入り口がシドリアの入り口。

看板が掲げられた建物には重厚な木の扉があり、どうもこちらが入り口のようです。

重厚な木の扉(左上写真)を開けると、さらにガラスの扉が!(右上写真)

重厚な木の扉(左上写真)を開けると、さらにガラスの扉が!(右上写真)

木の扉を開けると、さらにドアがありました。ガラスにはシドラを注いでいる人のイラストが描いてあるので、ここで間違いないみたい。

ガラス扉の奥は店内も広いレストランに。

ガラス扉の奥は店内も広いレストランに。

ガラス扉の奥は、大きなテーブルと長い椅子がずらりと並ぶレストランでした。入口付近にある小さなカウンターで受け付けを済ますと、一人1個のグラスを渡され、その場で軽く説明を聞き、スタッフとともに奥へ進みます。

いよいよ醸造庫へ!

レストランを通り抜けると、そこには目指していた場所がありました。そう、ここがシドラの醸造庫「シドレリア」。巨大な樽がずらりと並び、圧巻です!

巨大な樽がずらりと並ぶしシドリア。

巨大な樽がずらりと並ぶしシドリア。

飲み放題のシドレリア体験

シドレリア体験は飲み放題になっているので、全種類のシドラを飲むことができます!お好みのシドラを好きなだけという楽しみ方も可能です。ただし、アルコール度数5%とはいえ、量を飲めば、かなり酔っ払ってしまうので、最初は1樽につき50mlほど、味見程度にしておいた方が無難。樽には番号が書いてあるので、お気に入りをチェックして、後からリピートすれば良いのです。

ついに体験!これが「チョッツ!」だ!!

グラスの傾き方を教えてくれるスタッフ(左上写真)、かなりの勢いで飛び出すシドラに慌ててしまいます。(右上写真)

グラスの傾き方を教えてくれるスタッフ(左上写真)、勢い良く飛び出すシドラに慌ててしまいます。(右上写真)

シドレリアとシドラの説明も」終わり、「いよいよ飲める!」とワクワク。そのとき、スタッフに「樽から離れてグラスを傾けて」という指示がでました。「離れる?なぜ?」と思いつつ、言われた通り1.5m程度離れると、「準備ができたら“チョッツ”と言ってね!」とスタッフ。

そうです!どうやら「チョッツ」の合図で樽の蛇口を開けるらしいのです。シドレリアでは樽から直接飲むのがルール。それではいきます、「チョッツ!」

スタッフが蛇口を開けると、勢いよくシドラが噴出してきます。「もういいよ」の合図をしないと永遠に注がれてしまうので注意!

樽ごと異なる味のシドラ

それにしてもグラスに入るより、床にこぼれる方が多いから、もったいない感満載です。それでもスタッフは気にせず、次から次へ樽を開けて行きます。次の樽に行くまでに飲み干さないと混ざっちゃうので、試飲とはいえ、飲むのも大忙しで大変!樽によって発酵の度合いが違うのか、ミックスされているリンゴの割合なのか、全ての味が異なります。酸味の強いものもあれば、甘いもの、アルコールの味が強いもの、などなど。

一通り、全種類飲んでみました。私の好みは7番の樽で、友人は10番。好みが分かれるのも、試飲の醍醐味です。

解禁セレモニー「チョッツ」

どこのバルでもシドラは高い位置からグラスめがけて注ぎます。

どこのバルでもシドラは高い位置からグラスめがけて注ぎます。

そもそも「チョッツ」とは、毎年1月19日に行われる「解禁セレモニー」で、樽から直接飲むためには、掛け声が必要だったため、その合図なのだそう。この儀式をたとえ体験でも味わうことができるシドレリアは、バスクの大人向けアトラクションですね。飲み放題なのもうれしい限り!

シドラはサン・セバスティアンのバルならどこでも飲むことができます。そうそう、注文すると、必ず高いところからジョボジョボ音を立てて注ぐのです。高いところから空気に触れさせながら注ぐのが、シドラのルールなのでしょう。

最強の胃袋が必要!「シドレリア」のランチ

バスクですもの、ただ飲むだけでは終わりません。シドレリアの体験には飲み放題の他にお料理がセットになっています。そのお料理というのがかなりの豪華版!まずはテーブルに案内されて長いバゲットを1本渡されます。バケットをちぎりながら、バリバリ食べていると…。

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回:シドレリアの「チョッツ!」チャレンジ編

前菜でしょうか?チョリソーがやって来ました。このチョリソー、かなりのビックサイズです。ピリ辛で美味しく、シドラにもピッタリ!

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回:シドレリアの「チョッツ!」チャレンジ編

お次は、バカラオ(塩タラ)のオムレツ。その大きさにビックリ!横30cm、厚み5cm以上はあるその姿に圧倒されつつ、塩の効いたシンプルな味付けに食が進みます。

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回:シドレリアの「チョッツ!」チャレンジ編

お次はバカラオのソテー。ニンニクとオリーブオイルがマッチして肉厚なバカラオをふんわり仕上げています。これでもう大満足。メインも登場したことだし、もう終わりだよねと思っていると…。

「美食の街・スペインのバスクに行こうよ!」第6回:シドレリアの「チョッツ!」チャレンジ編

最後のシメは、まさかのTボーンステーキ!日本人としてはありえない展開の食事量ですが、ここはバスク、とことん食とお酒を楽しむ国ならではのボリューム。シドラの飲み放題に大食漢もうならせるコース料理と、大満足なシドリア体験でした!

大人のバスク旅行先の候補最適なシドリアツアー

バスクを旅行先に選択する大人は、美食が目的といっても過言ではないでしょう。今回のシドレリアツアーも飲んで、食べてと楽しめること間違いなし!バスク旅行の外せない候補として心に留めておいてくださいね。さて、まだまだ、バスク旅行は続きます。次回はサン・セバスティアンのスーパーや市場を散策しながら、国内にいながらにしてバスク気分を楽しめる朝食レシピ「トルティージャ」をご紹介します。どうぞ、お楽しみに!

【バスク旅行記】
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第1回:旅路編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第2回:ビルバオ紀行編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第3回:バル巡り編(サン・セバスティアン)
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第4回:爆走バスで行くゲタリア・美術館編
『“美食の街・スペインのバスクに行こうよ!”第5回:ゲタリア・世界一のアンチョビとレストラン編

この記事を書いたライター

Cooking Expert/Author

1961年2月4日生まれ、水瓶座O型。料理研究家。ハワイ、バリ、タヒチなどのアイランド料理研究家でもある。TV、ラジオなどメディアでの情報発信、ケータリングなど、食に関して幅広く活躍中。著書に『ハワイごはん』『湘南ごはん』『海ごはん』『ホノルル食堂』など。オフィシャルホームページ「ALOHA DELI

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