真の自分自身とつながり人生をコントロールする方法!LAの人気日本人ヨガ講師インタビュー
アメリカ版『b.glenish!』は、自分らしく輝く女性に着目し、インタビューを通して、彼女たちの生き方や美しさの秘訣をご紹介しています。今回は、LA(ロサンゼルス)にて、多岐にわたる企業や個人顧客を抱える人気ヨガ講師として活躍中の高橋きよみさんに、ヨガとの出会いから、現在の活動、そしてその美しさについて話を伺いました。
自分と向き合う練習、それがヨガ
きよみさん、自己紹介と仕事の内容について教えてください
きよみさん
「今は、LAを拠点として、フルタイムのヨガ講師をしています。講師養成講座や、Googleを含めた多岐にわたる業界のクライアント企業向け、個人のお客様にもヨガを教えています。コロナ禍になってからは、レッスンを全てオンラインに切り替え、今はzoomなどでヨガレッスンを行っています。始める前は、生徒さんが来てくれるのかとても不安でしたが、逆にこのような状況だからこそ、ヨガが重要だという意見も意外と多く、ほとんどのお客様に継続していただいている状況です。2020年3〜6月までのヨガアライアンス認定200時間講師養成講座のトレーニングも急遽オンラインに切り替え、その後200時間のトレーニングを2回、2020年は合わせて3回の養成トレーニングを担当しました。オンラインでもヨガのクラスやトレーニングができるということを確信した一年でした」
ヨガとオンラインの相性は良いということでしょうか?
きよみさん
「ヨガ、呼吸法、瞑想に共通するのは、自分と向き合うプラクティス(練習)であるということ。自分の内面に意識を向けるプラクティスは自宅でも一人でもガイダンスとスペースがあれば行えます。コロナ渦において不安と恐怖の渦巻く中、自分のマインドと向き合って、コントロールする練習というのは心の健康のためにもさらに重要なものとなっています」
アメリカでヨガの講師になるには、どのような資格が必要なのでしょうか?また、きよみさんは、どれくらい講師をされているのですか?
きよみさん
「アメリカでもヨガの学校と講師が多く集まるLAでは全米ヨガアライアンス協会認定校で200時間のトレーニングを行い、その後300時間のアドバンストレーニング、合計500時間のトレーニングを完了しているのが雇用の必須条件になることが多いです。私も500時間のトレーニングを2007年に終了し、2009年に勤めていた会社を辞めて、フルタイムでヨガ講師になりました。もう11年ほどになりますね」
アメリカンドリームはストレスフル
どうしてアメリカでヨガの講師に?その経緯についてお聞かせください
きよみさん
「まず、アメリカに来たきっかけは、高校時代に一年間留学をした経験があって、いつかまた戻って来たいという漠然とした思いがあったからです。その後、日本の大学に進み、就職活動をしていく中で、企業から志望動機を聞かれる度に、特に動機も思い浮かばない自分に改めて気づかされました。
そこで、日本では就職をせずに自分の可能性を広げるために、また、両親にもちゃんと認めてもらえるようにと、アメリカに行く口実としてまずは大学院への進学を決めました。サンフランシスコ州立大学で第二言語教授法を学ぶことになったのですが、大学院時代はアルバイトをしながら、必死で勉強をしました。
そのような生活が続き、卒業する頃には燃え尽き症候群というか、慣れない環境と勉強、人間関係が原因のストレスがとてもたまってしまって、でも当時の自分にはそのストレスをうまくマネージメントする術がなかったのです。そのまま、逃げるように2001年にテック業界のヘッドハンティング会社に就職したのですが、そこでも仕事のノルマとの戦いでうつ病を患ってしまいました。
そんな中、友だちに誘われて、初めてビクラムヨガスタジオでヨガを体験しました。当時はヨガにそこまで思い入れもありませんでしたし、数回通ったのみでしたが。当時の私にとってヨガはなんとなくおしゃれな印象のエクササイズという感じで、マドンナなどハリウッドセレブを通じて知っていたくらいでした…。
2002年にこのまま今の仕事を続けていても、ストレスがたまって、そのうちピークになるのは目に見えていたので、自分にも良くないと思って仕事をやめることにしました。そんな折に、運良くロサンゼルスにある日本の人材会社に転職することができ、前職と比べたら断然良かったのですが、ストレスに向き合うツールが無かったこともあり、やはり営業なのでノルマのプレッシャーから、引き続きストレスはたまっていきました」
体も心も癒されるヨガとの出逢い
「私は、もともと体を動かすのが大好きなので、週末はサーフィン、仕事後はジムに通うことでストレスを発散していました。毎週キックボクシングに通い続け、ある日何気無くキックボクシングのクラスの後にヨガのクラスに興味本位で参加しました。ゆっくりとしたペースで動くハタヨガのクラスは見た目よりもきつく、汗だくになりながら初めてのジムでのヨガレッスンを終えて、最後の“シャバーサナのポーズ(屍のポーズと呼ばれる仰向けのポーズ)”のときには、何年も味わったことのないような、とてもリラックスした気持ちに満たされるのを感じたのです
その感覚が忘れられず、それをきっかけに、ヨガに思いっきりハマってしまいました。もっとヨガを知りたいと思って、ジムの講師の師匠のスタジオでの“アイエンガーヨガ(アライメント重視のヨガ)”、それ以外にも音楽と一緒にフローするような“ヴィンヤサフローヨガ”などのクラスに参加し続けました。
知れば知るほどヨガは奥が深く、体の変化だけではなくて、心の変化も少しずつ感じるようになりました。もっとヨガのことを知りたいという気持ちが強まって、講師養成講座を受講したいと思うようになったのです。興味があると、とことん追求する性格なので、アメリカで、しかも英語でヨガの講師をするのは無理でも、自分の練習と知識を深めるためにトレーニングをしたいという気持ちを抑えられなくなった2007年に、米系最大手のヨガスタジオ“ヨガワークス(YogaWorks)”の講師養成講座説明会に行き、その後自分に大きな影響を与える先生に出会いました」
心の動きはコントロールできる!
「仕事を続けながら、2007年に受けた200時間講師養成講座で、初めてヨガに哲学があることを知りました。ここで学んだ哲学が、今の自分に大きな影響を与えています。 “心の作用を止滅させる”という ヨガの定義の一つを知り、感情による心の動きは自分でコントロールできるということに初めて気付かされました。
そこから少しずつ、周りで何があっても自分がそれをどのように経験するか、そこから何を学ぶかは、全て自分の責任だと思うようになって、俯瞰(ふかん)して自分を見ることができるようになりました。
ネガティブなことがあっても、自分の中にある何かを気付かせてくれるためだったと思うことができるようになって、人生がグッと楽になり、生き方が変わっていくのを感じました。この講師養成講座があったおかげで、今の自分があるのだとつくづく思えます。私は自分自身を変えることができるのだということをヨガから学び、このような考え方を広めて行きたいと思うようになりました。
300時間の講師養成講座を受講する頃には、少しずつですが、ボランティアで週末や夜にヨガ講師をするようになっていました 毎回教えるたびに緊張していましたが、批判を恐れず、心を込めて自分が知っていることを一生懸命教えることで、生徒さんのリピートも増えて、教えることの喜びを感じることができるようになったのです」
失うものなんて何もない
「2009年にグリーンカード(アメリカ永住権)の取得はできたのですが、当時の夫の仕事の都合でコスタリカに引っ越すことを決め、会社を辞めました。コスタリカに行く前に、一人でインドに旅をしたいという夢を叶えるため、バックパック一つで旅に出ました。その旅行中に離婚が決まり、自分がしがみついていたアイデンティティー、“会社員”であることや“妻”であることを失ったときに、本当の自分を再発見したような気がします。
生まれて初めて、自分の心の声に正直に生きていきたいと思いました。それまでは“英語が母国語でもなく、経験も浅い私なんかに、フィットネス産業世界トップクラスのLAで、ヨガをフルタイムで教えるなんてできるはずない!”と決めつけていました。でもインドから帰ったときに「失うものなんて何もない」という声が自分の心の中に浮かんできたのです。そこから、自分の心の声に正直に、ヨガの素晴らしさを多くの方にシェアしたいという声を聞き続けて、今に至ります。
それから、11年以上が経って、やっとヨガ講師も軌道に乗り始めてきました。誰かの役に立っていると感じられるときが、一番エネルギーを得られると思っています。とにかくヨガを教えたい一心で、ボランティアでホームレスの社会復帰促進センターや女性刑務所に自ら出向いたこともありました」
ピンチをどうチャンスに変えられるか?
きよみさんが仕事やプライベートで困難にあった際に、決まってやることなどはありますか?
きよみさん
「ヨガを教えているとそのときに、自分が一番必要な教えが自然と出てきたりします。ヨガの哲学の教えの基本に戻ることや瞑想で直感や心の奥から湧き上がる声に耳を傾けるようにしています。自分で勝手にネガティブな未来を想像して、落ち込むこともありますが、このピンチをどうチャンスに変えられるか、マインドセットを変える努力をするようにしています。今の気持ちを書き出してみることも、自分の気持ちや現状の整理になるのでおすすめです。また、尊敬しているメンターの生き方や考え方を見習ったり、自己啓発の本を読んでみたりもしますね」
「数年前、乳がんを経験したとき、友だちからの励ましのビデオがきっかけとなり、自分の中の治癒力を高めることで、がんを克服する勇気をもらいました。何がきっかけになるのかは、人それぞれ、そのときそのときで異なります。でも、その状況を受け入れ、悪いところも含めて、自分を認めてあげることが大切ですし、自分に優しくなると、人にも優しくできるのではと思います」
コロナ禍できよみさんのビジネスにも影響があったかと思いますが、どのようにして乗り切られているのでしょう?
きよみさん
「先ほどもお話しさせていただきましたが、コロナ禍になって、レッスンはすぐにオンラインでの開催に移行しました。オンラインで教えることで、全米、カナダ、そして日本からも生徒さんが参加できるので、日本語と英語のバイリンガルで教えることができるようになりました。逆に今までで一番忙しいくらいです」
「実は、オンラインレッスンに拒否感のあるヨガ講師もいます。でも今だからこそ、どうやってヨガを広めていけるのかを考えると、オンラインはすごくいい機会ではないでしょうか。フレキシビリティとポジティブマインドが重要ですし、この考えは、仕事でもプライベートでも全く同じだと思います。2021年は、オンラインでヨガ、瞑想、呼吸法に加え、心理学や神経科学、音の癒しにも重点を置いたトレーニングやワークショップ、そしてコーチングプログラムも立ち上げていく予定です。
美しさは、内側からにじみ出てくるエネルギーの現れ
「美しさ」はどういうものだと思いますか?心の健康、見た目の美しさ、ウェルビーイングについて、きよみさんのご意見を教えてください。
きよみさん
「私にとって美しさは内側からにじみ出てくるエネルギーの現れです。魅力的な人は、自分らしさを大事にしている人。人生は浮き沈みと変化の連続ですが、ネガティヴな経験からの学びを含め、臨機応変にいろいろなことを楽しむこと自体がウェルビーイングだと思います。誰かに媚びるわけではなく、自分を貫く姿勢だったり、心の健康こそが肌や体の美しさにつながるのではないでしょうか」
ストレスと上手に折り合い、真の自分自身とつながる
日本生まれ、日本育ちのきよみさんは、サンフランシスコで大学院を卒業した後、ヨガ講師となった軌跡は前述した通りですが、500時間のヨガ講師トレーニング終了後もロヨラメリーマウント大学のヨガセラピーコース、220時間のクンダリーニヨガトレーニングに加え、数千時間に及ぶトレーニングを修了したそうです。大変な努力家でありながら、軽やかな印象のきよみさんは、「ヨガは全ての人への贈り物」と微笑みます。きよみさんは、ヨガを通して、体だけではなく心の変革の実践を生き、学び、共有することに情熱を注いでいるのです。
現在、ラナヤマやクリヤなどさまざまなヨガの伝統的な瞑想法を使って、呼吸に焦点を当てたフロークラスを教えています。クラスを受けるそれぞれの人のニーズやレベルに合わせて、体に負担をかけず安全にヨガを楽しめるよう細心の注意を払っているそうです。前述した通り、オンラインにて英語と日本語の両方で通常のクラスだけではなく、ティーチャートレーニング、ワークショップも行っています。
生きていく上で避けては取れないストレス。そんなストレスと上手く折り合いながら、真の自分自身とつながり、人生をコントロールする…ご興味のある方は、ぜひ、ヨガの扉を開けてみてください。満面の笑みできよみさんが出迎えてくれるはずです。
高橋きよみ
全米ヨガアライアンス認定500E-RYT講師、ヨガ講師養成講座トレーナ、ヘルスコーチ。カリフォルニア州ロサンゼルス在住、2009年よりヨガ講師として、大手スタジオ、Googleなどの企業ヨガ、個人ヨガを教えると同時に、2014年よりスタジオYogaDayaで講師養成講座を担当し、2019〜2020年には全米最大手のスタジオ、YogaWorksにて英語および、日本語と英語のバイリンガルで指導者養成講座を担当。現在は全てのクラスとトレーニングをオンラインに切り替え、引き続き、英語と日本語でのクラス、ワークショップ、指導者養成講座を開催中。
お問い合わせ:https://www.kiyomiyoga.com
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