「カイズ(Kye’s )」のオーナー、ジーンさんと息子のカイ君

「カイズ(Kye’s )」のオーナー、ジーンさんと息子のカイ君

多種多様な文化が混在するカリフォルニアのLA(ロサンゼルス)、サンタモニカ。ここでは、さまざまなダイニング体験ができます。この地で、感度の高いLAっ子から注目を浴びているカフェが、モンタナアベニューにある「カイズ(Kye’s )」です。ヘルシーで手軽に食することができ、体も心も満足するという「コンシャスフードムーブメント」をまさに形にしたような店。

アメリカ版『b.glenish!』は、自分らしく輝く女性に着目し、インタビューを通して、彼女たちの生き方や美しさの秘訣をご紹介しています。今回は、人気店「カイズ(Kye’s )」のオーナー、ジーン・チェングさんをインタビュー。ヘルシーでバランスの取れた彼女のライフスタイルについて伺いました。

はじめまして、ジーン・チェングです

「カイズ(Kye’s )」の人気メニュー「ノリンロックス(NoriN’Lox)」の「カイリト(KyeRito)」

「初めまして、ジーン・チェングです。私は、NY(ニューヨーク)生まれのLA育ち、でも上海、中国や米国内の他のエリアにも住んでいました。上海中医薬大学に通い、分子生物学、漢方薬、精神心理学の学位も持っています。いつも心と体のすこやかさ、ウェルネスと精神的な成長に興味を持っていました」

「カイズ(Kye’s )」をオープンされて、どのくらいになりますか?


ジーン

「6年ほどになりますね。開店した当初は、豊富な経験を持つメンター兼パートナーが数人いたのですが、計画が上手く行かず、失敗に学ぶことになりました。レストラン業界で働くのは初めてだったので、最初の3年間は問題ばかりでした。その後、適材適所にチームを配置することで状況は徐々に改善していきました」

なぜサンタモニカに出店されたのですか?


ジーン

「私のルーツがLAなこともあって、サンタモニカを選びました。店を始める前、テキサスに住んでいたのですが、その頃からカリフォルニアに戻るつもりでいました。やはりLAは、ヘルス&ウェルネスに対しての意識が高く、確実な市場と需要があると思っています」

愛から生まれたユニークなメニュー

それぞれ左からロメインレタス、海苔、コラードグリーンを巻いた「カイリト(KyeRito)」

それぞれ左からロメインレタス、海苔、コラードグリーンを巻いた「カイリト(KyeRito)」

「カイズ(Kye’s )」のメニューはとてもユニークですが、メニューづくりに影響を与えたのは何ですか?


ジーン

「“カイズ(Kye’s)”のメニューは革新的で、アメリカ人が日常的に口にしている“サンドイッチ”の替わりとなるものを提供しています。海苔を使った料理ですが、酢飯ではないのでお寿司の味はしません。実は、息子がグルテン過敏症であったこと、その息子が大の海苔好きであったことから、このメニューにたどり着きました。息子の希望に応えたいと思って、身近な食品に焦点を当て、それらをサクサクの海苔、ロメインレタス、コラードグリーンなどで巻くことで、東アジアとアメリカのさまざまな文化の味を融合させたのです。

パレットにさまざまな色を広げるように、さまざまな食への要望を満たせるようにしたい思っています。

私のメインゴールは、アメリカでは誰もが知る“ハンバーガー”などを、グルテンフリーであったり、ヴィーガンであったり、パレオやケトダイエットであったり、それぞれの異なる食のあり方にも対応しながら、より健康的に提供することです。そのため、食の栄養成分とそれが実際に美味しいものであることには力を入れています。アメリカでは一般的ではないと思いますが、クッキーやハンバーガーのパテ、卵などにも野菜を加えています。現在、中華料理の香辛料やハーブも多少使っていますが、今後は、さらに多く取り入れていきたいですね」

すこやかな肌になるための食材、各種の野菜を多く取り入れていますね。


ジーン

「 “あなたはあなたが食べるものでできている”というフレーズはまさにその通りだと思っています。野菜は、健康に関わる体の“基盤”を築き、心と体を強化するために必要不可欠な食材です!」

ヴィーガンにも対応しているのですか?


ジーン

「はい、メニューの全てはヴィーガンへのオプションがあります。さまざまな食のスタイルを網羅することが大切だと思うからです。“カイズ(Kye’s)”は食の好みに関係なく、誰もが足を運び、食を楽しめる場所にしたいのです」

ジーンさんのお気に入りメニューを教えてください。


ジーン

「特定のメニューがパッと浮かばないですね、本当にそのときの気分次第で…。全て美味しいですし、“カイテスト”にもちゃんと合格していますよ。(笑)でも、人気のある注目メニューをいくつかご紹介しますね」

マクロ(Macro)

ワイルドサーモンと“マクロプレス”野菜を使っています。“マクロプレス”とは、野菜をみりんと塩で混ぜ、100ポンドの重石で押し込んで作る調理法。生きている栄養素を全て維持しながら、消化しにくい野菜を分解することができます。玄米、わさびドレッシング、黒ゴマを飾り付けて、海苔で巻き上げています。

ポートベロールーベン(Portobello Rueben)

ポートベローマッシュルーム、ビーガンルーベンソース、生ザワークラウト、玄米、キャラウェイシードなどをロメインレタスで頂きます。

アーユルヴェーダ一日1個(Ayurvedic One A Day)

ブランチングケール、コラード、チャード、ほうれん草、アスパラガス、ズッキーニ、パセリ、コリアンダー、ココナッツオイル、浸したカシューナッツ。栄養が豊富で健康的な一品です。アーユルヴェーダの著名な指導者「ヴェイディア・ミシュラ(Vaidya Mishra)」によって開発された「グリーンプロテイン」に触発されています。

バランスの取れた生き方の新しい概念「カイチ(KyeChi)」

モダンで気分もグッと上がりそうな「カイズ(Kye’s )」の店内

モダンで気分もグッと上がりそうな「カイズ(Kye’s )」の店内

「カイズ(Kye’s )」のメニューの基盤で、概念でもある「カイチ(KyeChi)」ついて教えてください。


ジーン

「“カイチ(KyeChi)”は食べ物に対しての“太極拳”の哲学です。

私は太極拳(陰と陽)のシンボルが表すもの、全体性、相互関係、バランスがとても好きなのです。これは、すこやかな心と体、内面と外面を維持するためにとても重要な概念です。全ては相互につながり、常に動き、変化し、ものごとを捉える視点にも深く関わっています。

食べ物はとても基本的な鍵となる要素で、体が最適に機能するために必要なものを提供しています。食べ物によって、私たちは気分が良くなり、すこやかに生き、バランスを取ることができるのです。食べることで、私たちは“陰”に栄養を与え、“陽”にも味わいと喜びを与えています。

食べることは、人生の主たる楽しみの一つ。だからこそ、美味しくなければいけません。これは“カイズ(Kye’s)”の全ての基盤となっています。“カイズ(Kye’s)”が提供する食べ物は、息子のカイが食べたがり、欲をいえば、むしゃぶりつくほど美味しいものでなければいけないと思っているのです」

食を通して果たしたいミッション


ジーン

「“カイズ(Kye’s)”には素晴らしいお客様がたくさんいます。毎日ここで食事をして、料理に込めた想いを感じ取って“気分が良くなったよ”と仰ってくれます。

“カイズ(Kye’s)”の使命は、食を通じて意識を活性化することです。さらに、私たちの国、アメリカの食の生産方法を変えることにも情熱を注いでいます。清潔で高品質、加工されていない自然な食品、または加工の少ない食品を食べるように。私たちは、情報を全て開示することの大切さを信じ、全てのメニューで使用している食材を表示しています。お客様に、ご自身が口にしている全てのものを正しく認識していただくためです。

外食産業は、“お客様の健康”への意識と配慮を高めるために、変革を起こす必要があると思っています。

私たちの店は、清潔な食事と健康を重視する文化を持っていますが、これを押し付けるつもりはありません。影響を与える力とは、経験にこそ宿ると信じているからです。“カイズ(Kye’s)”は、「どのように食べるべきか」を伝える場所ではありません。美味しくて栄養のあるものを提供し、それをお客様が楽しみ、良い気分になって、お客様の毎日をサポートするための場所なのです」

毎日、心にも体にも禅(Zen)を

仕事や私生活で大変な一日を過ごしたとき、どのように気持ちを切り替えていますか?


ジーン

「まるで宗教のように、一日に2回瞑想しているのですよ。もう30年も続けています。

今の世界の状態は、私たちが私たち自身の内面に触れなくなったことを反映していると思っています。私たちには、覚醒状態、睡眠状態、夢想状態、瞑想状態の4つの測定可能な脳波があります。これは実際の脳波であり、これら全てを使っていない場合は、例えば4つではなく3つの脳波だけが動作している状態なのです。

瞑想の目的は、思考や単なる思いつきではなく、実際に感じた感覚に沿って行動していくという、自分自身へのつながりや一体感のような直感的な感覚を高めることにある気がします。瞑想は、自分の存在の奥深いところとのつながりを養い、実際の生活の中で、深い意味での“OK感”や“内なる空間”“柔軟性”を生み出します。また、ストレスを解消し、調整し、調和させ、浄化するのにも役立ちます。ですから、瞑想は私が私であるための鍵の一つであり、私が行う最も重要なことの一つなのです。

もう一つの気持ちのリセット方法は、息子です。ただ彼を見るだけで、愛と喜びでいっぱいになります。まるで夕日を見ているときのように、美しさ、素晴らしさ、壮大さに圧倒され、他の全ては取るに足らないもののように思えるのです。息子から多くを与えてられています。ただ彼を目にするだけで、満たされ、愛に溢れ、幸せな祝福さえ感じるのですから」

美しく、心と体がすこやかであることについて、ジーンさんはどのようにお考えですか?


ジーン

美しさとは内面にあるものであり、自己実現と内面のつながりを反映したものであると強く信じています。それは、私たちを内側から輝かせるヒューマニティーを露呈し、人々はそのヒューマニティーに反応するのです。

私たちが“真の私自身”に見出し、自分の姿をありのまま受け入れて心地良く感じ、表面的ではなく、もっと深いところで他者につながることができたなら、真の意味での美しさを見ることも、感じることもできるでしょう。これを実現するための最良のツールは瞑想であり、しっかり食べ、たっぷりと水分補給をし、質の高い睡眠を取ることです。これらは、美しさ、心と体のすこやかさの基本的な鍵だと思うのです」

必要としてくれる人のために

コロナ禍において、個人ビジネスは多大な影響を受けました。ジーンさんはどのように対応され、また今後どのようにしたいと思われていますか?


ジーン

私の家族は中国とのつながりがあるので、コロナがアメリカで猛威を振るうことも予想していました。かなり早い段階で必要な安全対策を導入することで、スタッフや地域社会に対して解決策の一端を担ってサポートしたいと考えていました。昨年以降、病院や食料を十分に賄えない方々、高齢者のための支援プログラムに参加することで、このような考えを実行してきました。私たちのお客様もまた、援助を必要とされる方々へ食事を提供するための多大な寄付を快く行ってくれています。今後もお客様とともにこのような活動を続けていくつもりです」

「カイズ(Kye’s)」は現在、コロナ禍により職を失ったレストラン従業者たちへの食事の提供や医療従事者に「カイリトス(KyeRitos)」を届ける「フロントライン・ヒーローズ(Frontline Heroes)」への献金を募っています。

カイズ(Kye’s)
https://www.kyesmontana.com

英語版の記事はこちら

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