“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

空前のサウナブーム。かつては「おじさんの聖地」といわれたその場所ですが、今や女性サウナーも右肩上がりで増えています。眉唾物ではないさまざまな美容・健康効果も人気の秘密ですが、ただ一つつきまとうのが「サウナに入ると髪が傷むのではないか」という心配。果たして真相はどうなのでしょうか?髪の毛の保護の仕方は?髪の毛に良いサウナの入り方をご紹介します。

 

サウナのタイプは大きく3つ

ドライサウナ、スチームサウナ、遠赤外線サウナ…、一口に「サウナ」といってもいろいろあります。大きくは3種類。「ドライ(乾式)」「湿式(スチームとミストサウナ)」「フィンランド式」についておさらいしてみましょう。

【ドライサウナ】

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

日本で最もポピュラーなのは昔からある「サウナ」です。温度は約80℃〜100℃に設定されていて、湿度は10%ほど。水風呂との相性がとても良く、温度差の激しさによって血管がしっかり収縮・膨張し血流が促され、「ととのいやすい」とも考えられています。ドライサウナもどこに座るかで熱さが大きく違います。サウナ室は入り口から奥に行くほど、また熱は高いところに集まるので、上に行くほど温度は高くなります。そのため、最上段でヒーターの正面位置あたりは温度が90℃~100℃前後となり最も熱い席になります。

【スチームサウナ・ミストサウナ】

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

美容と心の鎮静におすすめのサウナです。温度は40℃〜60℃くらいで、湿度は100%。スチームサウナとミストサウナの違いは文字通りです。蒸気を噴霧してサウナ室の温度と湿度を上げるのが前者、温水を霧にしてサウナ室内に噴射することで温度と湿度を上げるのが後者です。戦闘モードの交感神経はお休みし、気持ちが開放され、血管は緩んで循環が良くなります。緊張を強いられる環境の人、心配事が多い人にオススメです。

【フィンランド式サウナ】

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

熱したサウナストーンに水をかけて、蒸気を浴びる「ロウリュ」のことです。温度は80℃以下とドライサウナより低めですが、サウナ内に熱い蒸気が充満し、熱の伝導率が上がるため体が芯から温まります。「髪や肌を乾燥で傷めない」と女性に人気があるサウナです。上から横に蒸気が流れるので、サウナストーン横の上段が最も熱くなります。

タイプは違っても共通するサウナのメリット

一つは短時間で体温が上がること。高温のドライサウナでも、低温の40℃〜60℃の湿式サウナでも、中に入ると5〜10分で体温が1度上昇します。体温が上がれば血流が良くなって代謝が上がり、体にいい効果があるのは容易にイメージできます。実際、体温が1度上がると代謝は12〜13%UPするといわれています。

血流が良くなれば、溜まっていた老廃物や疲労物質も排泄されやすくなります。細胞にも栄養と酸素が行き届き、傷ついた細胞は修復され、体の各機能の回復力もUP。結果、疲労回復、冷えや肩こり、腰痛PMS、便秘、肌荒れなどの症状の改善に効果が期待できるというわけです。

サウナのもう二つ目の特徴は、自律神経が整うことです。サウナに2、3回出入りするだけでも効果はありますが、水風呂に入れば大きな温度差が刺激となって、ゆっくり休憩をとることで大きく揺り動かされた心身が調和され深いリラックス、いわゆる「ととのう」状態に。

髪へのダメージが懸念されるのは、ドライサウナ?

髪の毛をつくっている物質はほとんどがケラチンと呼ばれるタンパク質です。タンパク質は熱を与えすぎると固まる性質があります。生卵に熱を加えるとゆで卵になるのと同じ原理です。

熱変性を起こした髪はどうなるのでしょうか?硬くなったり、ごわついたりします。それはサウナの熱に限りません。ドライヤーやアイロンの熱も一緒なのですが、何度で変化するかは髪の状態で異なります。髪は乾いている状態が最も強度があり、安定しています。“びしょびしょ”に濡れている状態(水分量30%程度)で60〜70℃、乾いた状態(15%前後)なら150〜160℃くらいから熱ダメージを受け始めるとされています。

髪の毛が濡れた状態で80℃のドライサウナに入れば…?熱変性が起こって当然と考えがちですが、濡れているとはいえ、びしょびしょの髪でサウナに入る方はいないでしょう。少なくてもタオルドライをして入ります。となると、ある程度の高温には耐えられる状態ですし、100℃のサウナに入っても火傷を負わないのは、100℃の熱が肌に当たっているわけではないからです。よほどのダメージヘアでない限り、「髪のためにサウナには入らない」という極端な選択をする必要はなさそうです。ただしシャンプー後の髪はキューティクルが開いた状態。しかも湿度は10%程度。水分はもちろん、カラーリングやパーマ直後はカラー剤やパーマ液が抜けやすい状況なのは確かです。

シャンプーをしてからサウナに入るのがエチケット

こうやってお伝えしていくと、「髪は乾いている状態が最も強度があって安定しているのなら、髪はサウナの後に洗いたい。汗もかくし」という声が聞こえてきそうです。気持ちはわかりますが、それだとサウナのマナーに反してしまいます。体も髪も洗って入ることは他の方への配慮であり、サウナ室をきれいに保つためのエチケット。

汚れを落とすことで汗腺が開き、汗をかきやすくなるメリットもあります。水滴がついていると水が汗腺を塞いでしまうことがあるので、体をよく拭いて入ることも汗をかきやすくするポイントです。かいた汗は体からポタポタと落とさないこともマナーです。

また、サウナには血行を促進させて肌の新陳代謝を活性化させる効果がありますが、頭皮もれっきとした肌。自律神経が整うことや睡眠の質が良くなることも、直接的ではなくても頭皮にとって好ましいことなのです。

据え置きのシャンプーではなく、マイシャンプーを

サウナで髪が傷んだと感じる要素に、使ったシャンプーやコンディショナーが単純に合わなかったということもあります。旅先のホテルや旅館で、サウナに入っていないのに備え付けやアメニティのシャンプーで髪がきしんだ、スタイリングがまとまらなかったという経験はありませんか?実際、サウナの熱より使ったヘアケア剤が問題なこともあります。いちいち持っていくのは面倒と思わずに、自分の髪に合ったものを使うことは美の基本です。

サウナハットは理にかなったヘアケアアイテム

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

サウナの熱を神経質に気にすることはない。とはいっても濡れている髪がデリケートなのは事実。しかも超高温・超低湿度の環境が良いはずはありません。サウナに入る前に洗った髪はしっかりタオルドライをし、サウナハットを利用しましょう。可愛さやデザイン性からファッションとしても注目されていますが、本来の役割は「頭の温度上昇によるのぼせを防ぐ」ことと「熱・乾燥によるダメージから髪を守る」こと。頭をサウナハットですっぽりと覆うことで、しっかりと髪をダメージから守ることができます。サウナハットの代用としてタオルターバンでも十分です。

サウナの環境を利用してトリートメント

サウナの王道とされる「温冷交代浴」。この方法は2〜3セット繰り返しますが、時間を置いて適度な熱を与え湿度を高くすることで浸透が良くなるトリートメントは、サウナでできる最高のヘアケアです。ドライサウナでもサウナハットやホットタオルのターバンで湿度を上げることができます。ただしトリートメントの香りをぷんぷん放つのはタブー。しっかり頭を覆って、サウナ室や水風呂に汗と一緒にトリートメント剤混じりの滴が落ちないようにしましょう。

【温冷交代浴】
サウナ5〜10分 → 水風呂30秒〜1分 → 休憩5〜10分
上記を2〜3セット繰り返すサウナの入り方

 

サウナの後はドライヤーの熱に意識を

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

サウナ(お風呂)から上がったら、髪は10分以内には乾かすのが理想です。まずは頭皮から。頭皮を指でジグザグと掻きながらしっかりドライヤーの風を行き渡らせます。熱から髪を守るために、ドライヤーを髪に近づけすぎないこと、温風を同じ場所に当て続けないことも大切です。熱風しか当てないのもNG行為。乾いたら冷風に切り替えて、上から下へ数秒当てて髪を冷ましてあげる。このひと手間でよりツヤが出てまとまりが良くなります。ドライヤー前に洗い流さないトリートメントで髪を保護するのも効果的です。

“ととのう”の正体はβ-エンドルフィン

“ととのう”サウナは頭皮には良くても、髪にはダメージって本当?

水風呂で得られるシャキッと感は、まだととのう状態に至っていません。サウナの熱さや水風呂の冷たさは、日常ではあり得ない過酷な環境です。人の体はこれを生命の危機的状況と判断し、心身を発奮させる交感神経が活性化します。水風呂の後に休憩を取ったところで人体は危機を脱したと感じ、気分の高揚・幸福感が得られるβ-エンドルフィンが分泌され、ホッとした時に働く副交感神経が活性化します。これがととのうの正体です。通常では得難いほど、全身が深くリラックスしていきます。

いかがでしたか?サウナは「髪にとって悪なことばかりでなく、味方になりうることもある」ことを理解していただけましたか?最近は個室サウナも増え、他人を気にすることなくサウナに集中できる環境がどんどん整っていますので、ぜひ自分に合ったサウナで「ととのい」を日常に。

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