アメリカで騒がれている「スーパーフード」その秘密に迫る!
アメリカの健康マニアの間で「常識」となっている言葉、それは「スーパーフード」。ラジオでもテレビでもスーパーマーケットの中でもしきりと見かけます。
「スーパー」というと「スーパーマン」からの連想か、「なんだか元気が出そう」「すごい食べ物」という感じがしますが、結局はどのような意味なのでしょうか。今回は「スーパーフード」ブームの草分けとなった『SuperFood Rx スーパーフード処方薬 – あなたの人生を変える14 の食品 -』という書籍を参考に、近年、継続しているスーパーフードブームを紹介します。
「スーパーフード」とは?
スーパーフードは、一言であらわすなら「体によい食べ物」。人体にとっての必須栄養素とまではいかないけれども、摂取すると体によい、という植物由来の栄養素(フィトニュートリエント)を豊富に含み、血圧やコレステロール値を抑えたり、様々な疾患を予防したりして、寿命を延ばしてくれるといわれています。
フィトニュートリエントとは、ビタミン・ミネラルと並ぶ「微量栄養素」のカテゴリの一つ。フィトニュートリエントには、何千もの種類があり、代表的なものにはポリフェノール、カロチノイド、フィトエストロゲンなどがあります。それぞれのフィトニュートリエントは、細胞間の伝達効率をあげたり、炎症を防いだり、突然変異を防いだり、がん細胞の増殖を防ぐなど、様々な役割があります。しかし、その中でも、特に重要なのは「抗酸化」作用。
ガレージに置きっぱなしの自転車が徐々に錆びていくように、人間の細胞も徐々に酸化していき、様々な健康問題を引き起こします。抗酸化作用のある物質は、この酸化の働きを防いでくれます。これから紹介するスーパーフードの秘密の多くはこの「抗酸化」作用にあります。
ビタミンCの抗酸化作用を台所で簡単に実験することができます。リンゴを切って放置しておくと、酸化のため切り口が茶色く変色します。しかし、レモンの絞り汁をりんごの切り口にふりかけると、リンゴが酸化するのを防ぎ、果肉の変色もおこりません。これは、レモンに含まれているビタミンCの働きです。
14種類のスーパーフード
本書に紹介されているスーパーフードは以下の14種類。
スーパーフード | 代替食品(左のスーパーフードが手に入りづらい場合は、こちらでもOK) |
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豆 | うずら豆、インゲン豆、レンズ豆、ひよこ豆、グリーンピース、スナックエンドウ etc. |
ブルーベリー | ブドウ、クランベリー、ラズベリー、イチゴ、ブラックベリー、チェリー etc. |
ブロッコリー | 芽キャベツ、キャベツ、ケール、ターニップ、カリフラワー、チンゲン菜 etc. |
オーツ麦 | 小麦胚芽、挽いた亜麻の実、玄米、バーレー(大麦)、小麦、蕎麦の実、ライ麦、アワ、ワイルドライス etc. |
オレンジ | レモン、グレープフルーツ、キンカン、みかん、ライム etc. |
パンプキン | ニンジン、さつまいも、赤いパプリカ etc. |
ワイルドサーモン | ヒラメ、カレイ、イワシ、ニシン、マス、スズキ、アサリ、牡蠣 etc. |
大豆 | 大豆製品(豆腐、豆乳、枝豆、味噌などの加工品含む) |
ホウレンソウ | ケール、チンゲン菜、ロメインレタス、オレンジパプリカ、かぶの葉 etc. |
お茶 | 緑茶・紅茶・烏龍茶 etc. |
トマト | スイカ、ピンクグレープフルーツ、柿 etc. |
ターキー (皮なし胸肉) |
トリ肉(皮なし胸肉) |
クルミ | アーモンド、ピスタチオ、胡麻、ピーナッツ、ヒマワリの種、マカダミアナッツ、ピーカン、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ etc. |
ヨーグルト | ケフィア |
一部聞いたことがない食材があるかもしれませんが、基本的には、「日常で手に入る食材」が意外に多いことにお気づきのはず。そう、スーパーフードとは、特別な食べ物ではなく、意外と身近で手に入る食べ物だったのです。中には見慣れない食べ物もありますが、『スーパーフード』の著者プラット医師は、スーパーフードの代替品を多く提唱しています(上の表の右側は代替品)。
「オーツ麦が手に入らない!」という場合は、横に書いてある「代替食品」の中から手に入りやすい「玄米」や「小麦」を選べばよく、「ターキーなんてなかなか手に入らない」という場合には、チキンの胸肉を選べばいいのです。これなら日本でも楽に取り入れられそう。
缶詰や冷凍食品を取り入れたり、カット済みの食材などを取り入れてもOKとのこと。忙しい都市生活者には嬉しいですね。
スーパーフード vs サプリメント
「スーパーフード」というコンセプトの特色は、個々の栄養素ではなく、「食材」そのものに注目している点。確かに特定の食べ物が体によいといわれるのは、そこに含まれる栄養素が理由であるのですが、栄養素のみを抽出したものをサプリメントなどで摂取するよりも、「食べ物まるごと」の形でとるということが大事だといわれます。
その理由は、各種栄養素同士が織りなす相乗効果。栄養素と栄養素が同時に摂取されると、栄養素単体では予想がつかないくらいの健康効果があるからです。
例えば、上で紹介したスーパーフードの一つ、ほうれん草を食べると、ガンや緑内障など様々な病気にかかりにくくなるといわれます。しかし、これは、ほうれん草に含まれている一つ一つの栄養素のみの働きだけでは、説明がつかないそうです。食材に含まれている多種多用な栄養素同士の相乗効果によって、「食べ物まるごと」の持つ不思議な力が生まれているのです。
本質を見て選びたいスーパーフード
健康雑誌やネットを見ていると、上で紹介した以外にも、ノニ、アサイー、卵、ゴマ、メープルシロップ、チョコレートなどの様々な食材が「これも実はスーパーフード!」「これこそが新しいスーパーフード!」という売り文句で売り出されています。しかし、それ一種類を食べていれば、健康になり寿命が延びるというような魔法の食材ではないのが現実。
「スーパーフード」という宣伝文句にただ飛びつくのではなく、その食べ物の特性や、含まれている栄養素を知った上で、様々な食材をバランスよく食生活に取り入れたいですね。