顎の老化が顔に与える影響&アンチエイジング体操
年齢と共に、「顎」の骨格が変化することがわかりました。この研究はスウェーデンで1949年に始まりました。当時20代だった30人の歯科学生を対象に顎の石膏型をとり、10年後、更に30年後と、合計40年間をかけて顎のサイズを調べたのです。調査の最後には被験者は18人になっていましたが、この追跡調査により、40歳を超えると、顎のサイズは徐々に縮小して、歯の生えるスペースが狭くなってくることが明らかになりました。
顎の縮小の規模には個人差がありますが、主に数ミリ程度で、下顎の方がより縮小するそう。数ミリというと僅かな変化にすぎないようにも思えますが、顎の幅および長さ両面において縮小するために、噛み合わせに影響がでる人もいるそうです。
顎がなぜ年齢と共に縮小するのか?その理由ははっきりとはわかっていませんが、おそらく遺伝的要因や解剖学的要因の両方が原因だろう、とこの研究を行ったマルメ大学の歯科学教授ラース・ボンデーマークは語っています。これまでは、年齢と共に、前歯が八重歯気味になってくるのは「親知らず」がある場合のみにおこると考えられてきました。しかし、この最新の研究によれば、親知らずを抜いていても、年齢による顎の縮小によって、前歯が八重歯気味になってしまう可能性があるそうです。
顎の縮小にともなう八重歯
以前アメリカ人が「白い歯」にかける情熱についてお伝えしましたが、アメリカ人は、歯の白さだけではなく歯並びも非常に気にします。そんな彼らにとって、八重歯は大問題。子ども時代に多くのアメリカ人は歯並びを矯正します。子役のセレブが矯正器具をつけて公に現れることも珍しくはありません。このように、アメリカ人はほとんど歯並びを直しているために、歯並びが悪い人に対して「イギリス人の歯~!」というジョークがあります。人気テレビアニメ「ザ・シンプソンズ」の中にも子どもが歯医者に「イギリス人のようになるぞ!」と脅かされるエピソードがでてきます。また「吸血鬼~」などとからかわれてしまったりすることも。日本では、八重歯がチャームポイントとされたりするのに、文化の違いを感じますね……。
ハリウッドで活躍するアメリカ人セレブも皆素晴らしい歯並びの持ち主。歯並びがズレくると気軽に矯正をします。トム・クルーズは、39歳になってから歯科矯正をしましたし、ニコラス・ケイジも、同じく39歳の時に、映画の撮影の合間に下の歯を矯正しました。
しかし、今回の研究でわかったように、年齢ともなう顎の縮小による歯並びの変化は自然なことであり、今後も顎の縮小が止まらないことを考えると、一度噛み合わせを矯正しても、将来にわたって完璧に歯が安定することはないと考えた方がよいそうです。特に、大規模な矯正を行う時、歯科医の側も気をつけなければいけない、とボンデーマーク教授は指摘しています。
フェイスリフトに与える影響
加齢とともにたるんだ皮膚を引き上げる美容整形の一つとしてとして、フェイスリフトがありますが、顎の縮小は、フェイスリフトにも影響を及ぼします。ロチェスター大学医学部のハワード・N・ラングステイン教授は、やはり「年齢と共に顎や顔の骨組織は縮小する」ことを認めた上で、フェイスリフトなどの施術を行う前には、まず顎のインプラントを施し、顔の骨格をしっかり整えた上でフェイスリフトを行うという2段階で施術を行うと、より自然で効果的だろうといいます。
「顎は、顔の下半分の印象を決める基礎となるものであり、顎の骨格が変わることは顔の美しさに影響を与える」とラングステイン教授はいいます。将来の美容整形は、まず年齢と共に小さくなる頬骨や顎の骨を再建し、その上でフェイスリフトをするというように、2段階で行うのが主流になっていくのかもしれません。
首~顎のアンチエイジング体操
歯科矯正やフェイスリフト以外で美しい輪郭を保つためにできることとして、ここでは、アゴ周りの筋肉を鍛え、首のシワや二重あごを予防してくれる体操を3種類ご紹介します。ほんの5分程度で、オフィスでもキッチンでも、車の中でもできます。ぜひ試してみてくださいね。
「もぐもぐ」エクササイズ
1) まっすぐに座り、口を閉じたまま天井を見上げます。
2) 天井を見上げ、口を閉じたまま、もぐもぐと噛む動作を20回繰り返します。
「天井にキス」エクササイズ
1) まっすぐに座り、口を閉じたまま天井を見上げ、リラックスさせます。
2) くちびるを尖らせ、天井に向かって突き出します。
(くちびるを天井に触れさせようとするイメージです)
3) 10秒間そのままの姿勢を保ち、その後、リラックスさせます。
「あっかんべー」エクササイズ
1) まっすぐに座り、口を閉じたまま天井を見上げ、リラックスさせます。
2) 口を開け、舌を、思い切り顎先に向かって突き出します。
(舌先を顎の先に触れさせようとするイメージです)
3) 10秒間そのままの姿勢を保ち、その後、リラックスさせます。
参考
http://www.technologyreview.com/news/534636/the-anti-aging-pill/