10分で肌が生まれ変わる?!ケミカルピール徹底図鑑

アメリカの美容整形の中で、ボトックスやレーザーなどと並び常に人気を誇っているのが「ピーリング」という施術です。ピーリングは皮膚の上層部を取り除くことで、肌を若返らせ、色合いや肌触りなどを改善するという点でレーザーやダーマブレージョンなどと共通点があります。しわ・ニキビ跡・シミ・そばかすなどを緩和し、肌を美しく保つことができるため、スパ、サロン、そして皮膚科医のクリニックなどで盛んに行われています。

ピーリングには物理的な刺激で皮膚表面を剥がすタイプのものと、薬剤などを使って皮膚表面を溶かすタイプのものがありますが、今回は後者の「ケミカルピーリング」について、使われる液剤の種類やそれぞれの特質を中心に徹底的に紹介します。

いざピーリングを受けようと考えた際には、ぜひこちらの記事で調べてみてください。

ピーリングの深さ

10分で肌が生まれ変わる?!ケミカルピール徹底図鑑

ピーリングは皮膚のどの深さまで働きかけるのかという点で大まかに3つに分類されます。

皮膚の最も外側にある表皮層のみに働きかけるのがライトピール。肌の感触をなめらかに改善し、毛穴のポツポツやぶつぶつを改善します。軽度のシミ・しわにも効果的です。今のピーリングの主流はこちらのライトピールです。より深い層に働きかけるミディアムピールやフェノール酸を使ったディープピールは、深い凸凹やしわ、濃いシミなどのケアをするためにレーザー治療の登場以前には頻繁に行われていましたが、今日では行われる頻度は減ってきました。

今回はライトピールに焦点を当てて紹介します。

ケミカルピールの種類

一般的に皮膚を軽く溶かすケミカルピーリングのためには「酸」が使われます。酸といっても硫酸や塩酸のように強いものから、レモンに含まれるクエン酸やリンゴに含まれるリンゴ酸などのマイルドなものまでいろいろあり、ピーリングに使われるのは、比較的弱い種類の酸。特にAHA(アルファヒドロキシ酸。フルーツに含まれることが多いので「フルーツ酸」とも呼ばれます)と呼ばれる成分が使われることが多いです。しかし厳密にはAHAの中に様々な種類の酸があり、またAHA以外にもライトピーリングに使われる酸はあります。ここでは、単体で使われるシングルピーリング剤と、主に他の酸と混ぜて使われるブレンドピーリング剤に分けて主なものを紹介します。

単体で使えるシングルピーリング剤

グリコリック酸 (Glycolic acid)

適している肌:オイリー肌・ニキビ肌・シワのある肌・シミのある肌
原料:砂糖キビなど
使用時の濃度: 20-70% (ドクターのオフィスで行われるのは30-60%がほとんど)
肌感触:穏やかなチクチク感
効果:肌がなめらかになり、シミ、そばかすが少なくなる。

グリコール酸とも呼ばれるグリコリック酸はAHAの一種でありピーリングにおいて最もよく使われる人気のピーリング剤です。グリコリック酸の分子は他のピーリング剤と比べてもとても小さいため、他のピーリング剤と比べて、肌のより奥に入り込んで作用してくれるそうです。また、コラーゲンの合成を促すといわれるので肌のハリや弾力もアップします。グリコリック酸は、皮脂分を取り除いてしまうため、油性肌やニキビ肌におすすめです。濃度を低くすることで、乾燥肌の人にも使えます。

サルチル酸(Salicylic acid)

適している肌:オイリー肌・ニキビ肌・肝斑・毛穴の開き
原料:柳の木の樹皮
分類:ライトピール
使用時の濃度: 20-30%
肌感触:穏やかなチクチク感
効果:毛穴が小さくなる、より均一でなめらかな肌になる、吹き出物を減らす

皮脂が詰まった毛穴の中に入り込み、汚れを一掃してくれるサルチル酸のピーリングは吹き出物対策にぴったり。肝斑などにも適しています。ピーリングによく使われる酸のAHA(アルファハイドロキシ酸)ではなくBHA(ベータハイドロキシ酸)という異なる種類の酸に分類されるサルチル酸は、ほとんどのAHAにはない「抗炎症効果」を持っているため、炎症を起こしやすい敏感肌にもおすすめしやすいのです。サルチル酸をグリコリック酸と混ぜると、グリコリック酸を肌のより深い層に届ける効果を期待できます。

乳酸 (Lactic Acid)

適している肌:乾燥肌・老化が気になる肌
分類:ライトピール
原料:乳製品
使用時の濃度: 10-70%
肌感触:ほとんど何も感じない
効果:柔らかく、しっとりとした肌になる

AHAの一種である乳酸は穏やかな効果で肌にもやさしく働きます。肌を柔らかくし、肌に栄養分と水分をあたえてくれます。他の種類のAHAと組み合わせることで一人一人の肌に合わせたトリートメントができるため、繊細な肌の方にもおすすめすることができるということです。また、以下で紹介する「マンデリック酸」とブレンドして使われたりするそうです。

混ぜて使うブレンドピーリング剤

異なる種類のピーリング剤を混ぜたり、抗酸化成分、美白成分などの特製を持つ薬剤を組み合わせたりすることで、より細かく個人の肌に合わせてカスタマイズしたピーリングが可能になります。ここではブレンドのために使われるブレンドピーリング剤をご紹介いたします。

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アゼライン酸(Azelaic acid)

適している肌:ニキビ肌・色素沈着
原料:小麦や大麦などの穀類
肌感触:ほとんど何も感じない
効果:明るい肌色

アゼライン酸はよくグリコリック酸とのコンビネーションで使われ、肌色を均一にするのに使われます。肝斑やシミのケアに特におすすめです。

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フィチン酸(Phytic Acid)

適している肌:ニキビ肌・色素沈着
原料:大豆や植物
肌感触:ほとんど何も感じない
効果:均一な肌色

玄米に含まれる成分としても知られているこの成分ですが、最近ではピーリング剤としても注目を集めています。フィチン酸は抗酸化作用もあり、他のブレンドピーリング剤と比較する時に中和の必要がないため、使いやすいそうです。

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マンデリック酸(Mandelic Acid)

適している肌:ニキビ、茶色いシミ、ソバカス
原料:アーモンド
肌感触:チクチクする感じ
効果:充血を取る。赤みやシミなどを薄くする。

マンデリック酸の分子は、グリコリック酸や乳酸などのAHAよりも大きく肌の奥まで浸透して作用することはできないため、劇的な効果はなかなかでません。しかし赤みなどをじっくりとケアするにはとても向いています。

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ポリヒドロキシ酸(Polyhydroxy Acid)

適している肌:敏感肌
原料:乳糖
肌感触:わずかなピリピリ感
効果:なめらかで輝くような肌

大きな分子を持つこのピーリング剤は肌に穏やかに作用します。ポリヒドロキシ酸は、次世代AHAともいわれるもので、肌上での働きもAHAと似ていますがより穏やかに優しく作用します。肌細胞のターンオーバーを促進し、肌のトーンを明るくします。

ピーリングのアフターケア

●ピーリングを行った日は、レチノールやグリコリック酸を含んだ製品は使わないようにしましょう。
●ピーリングの後は、肌に優しい洗浄剤を使い、スクラブ剤などは避けるようにしましょう。肌荒れの危険性があります。

●肌に常時うるおいを与えるようにしましょう。保湿力のある化粧水やクリームを使い、肌の回復を助けるようにしましょう。
●クリニックでピーリングを受けた場合には、ピーリングの後につける薬などの処方を受ける場合もあります。
●ピーリングの後「皮むけ」が発生しても、その皮を剥いてはいけません。肌が自然と治癒する前に無理やり剥くと、肌を痛めてしまいます。

アジア人の肌とピーリング

このようにさまざまな種類のピーリングが盛んなアメリカですが、アメリカで発達した美容整形の多くは、白人の肌向けに開発されています。そこで、アジア人がピーリングを取り入れる際は、自らの肌質を考えて慎重にならなければいけません。白人とアジア人の肌を比較すると、メラニンの量は白人の方が少ないので、紫外線に対しては白人の肌の方がずっと敏感です。しかし、角質層の厚さということでいいますと、「白人の肌は角質層が厚い」のに対し、アジア系の肌の角質層はより薄く、外部からの刺激に対して敏感で、傷つきやすいのです。

ピーリングのやりすぎは肌にダメージを与えるのでしょうか?

ケミカルピーリングが肌を薄くしてしまう危険性については意見がわかれています。通常、肌のピーリングは肌の奥の層にはさほど影響を与えないといわれています。しかし、必要以上にピーリングを繰り返すことは、肌を薄くし、ビニールのような見かけになってしまうという専門家もいます。ケミカルピーリングを考える場合は、必ず皮膚科医などの専門家に相談をして、自分の肌に合った必要な施術を行うようにしましょう。

参考記事

Newbaruty 2012年春夏号

この記事を書いたライター

Editor / Staff Writer

アメリカ発の新しい美容法&美容グッズ好きが高じて、美容製品を日本に紹介するため渡米。趣味はアロマテラピーとサイクリング。精油の自然な香りの魅力とパワーに魅せられています。いつまでも美しくアクティブな女性でいるための秘密を求めて今日も取材に走ります!!

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