「大人ニキビ」と「食生活」の深い関係
私たちの体は、毎日の食事から吸収した栄養を素に新しい細胞をつくっています。肌も体の一部。美肌づくりには外側からのスキンケアだけでなく、美肌細胞を作る栄養を補給する体の中からのスキンケアも大切です。今回は、多くの人が悩む「大人ニキビ」の改善のために知っておきたい食品のとり方を紹介します。
「チョコレートでニキビが出来る」はホント?
「チョコレートを食べるとニキビが出来る」とよく言われますが、実は、1969年に行われたアメリカのペンシルバニア大学の研究結果では、チョコレートとニキビとは特に関係がないことが証明されました。これにより、食べ物とニキビとは何ら関係がないと皮膚科医などの専門家の間では考えられていました。
ところが、最近の研究では、白砂糖や小麦粉をはじめとする炭水化物などの血糖値を上げる食べ物(ドーナッツ、ケーキ、ポテトッチップス、キャンディー、チョコレート、パンなど)はニキビを引き起こす可能性があることが明らかになりました。これは、血液中の糖の濃度が急速に上がるとインスリンの分泌が増えて、ホルモンに影響を与えるため皮脂の分泌が増え、その結果ニキビを引き起こす可能性があるというものです。
また、パプアニューギニアのキタヴァ島やパラグアイで狩猟採集生活をしている人々はニキビがまったくできないそうです。これは、彼らの食生活が大きく影響しているのではないかと考えられています。このようなことから最近では、食べ物とニキビの関係が専門家の間でも注目されるようになりました。
「摂りたい食品」と「気をつけたい食品」
ニキビに悩まされないための食事法は一言でいうと「低インスリン食」。低インスリン食とは、糖質(お菓子類、白米、小麦粉のパンや麺類、ジュースなど)を控え、血糖値を上げにくい肉や魚、野菜、海草、玄米などを中心にとる食事です。実際に低インスリン食をはじめて3ヵ月後にはニキビがかなり減少したという研究結果も報告されています。
反対に、気をつけたい食べ物としては、糖分の高いものや炭水化物の他に、牛乳という説があります。牛乳は皮脂の分泌を促進するアンドロゲン(男性ホルモン)の生成を助ける働きがあるからだそう。 もっとも、ニキビが出来やすい食べ物には個人差があるため、おすすめなのは、食べたものを記録しながら、肌の調子を観察すること。食べてから4時間~24時間後にニキビや肌荒れが起きるものは、一度控えてみて、調子を見てみましょう
ニキビに効果的な栄養素と食べ物
ビタミンA
細胞の新陳代謝を活発にして、ニキビの原因となる毛穴のつまりを改善します。また、抗酸化効果が高く、ダメージを受けた細胞を修復する作用があります。
おすすめの食材:ほうれん草、レバー、さつまいも、ニンジン、赤ピーマン、ブロッコリー、メロン、唐辛子、アスパラガス、低脂肪ヨーグルト
ビタミンB2
細胞の新陳代謝を活発にします。
おすすめの食材:レバー、緑黄色野菜、チーズ、いわし、チキン(もも肉)、納豆、たまご
ビタミンB6
肌細胞をつくるアミノ酸の代謝や脂肪の代謝に欠かせない栄養素。
おすすめの食材:小麦胚芽、レバー、イワシ、キャベツ、玄米、マグロ、たまご、オート麦
ビタミンC
「肌の万能美容液」とも呼ばれ、炎症を抑え、皮脂の分泌をコントロールしたり、コラーゲンやエラスチンの生成を促進する働きの他に、メラニンの生成や活性酸素を抑制する働きもあります。
おすすめの食材:ピンクグレープフルーツ、柑橘系フルーツ、赤ピーマン、ブロッコリー、いちご、パパイヤ、キィウィ、メロン、さつまいも
亜鉛
ミネラルの一つ。余分な皮脂の分泌を抑えます。30mgの亜鉛を1日当たり2~3回とると効果的。
おすすめの食材:生牡蠣、小麦胚芽、レバー、サーロインビーフ、ターキー、チーズ
オメガ3脂肪酸
細胞を乾燥や刺激から守る細胞膜の材料となる体に不可欠なオイルです。また、炎症を抑える働きもあります。
おすすめの食材:フラックスシードオイル、キャノーラオイル、大豆油、サーモン、サバなどの青魚
食物繊維
食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。また、腸内をキレイにしてニキビや肌荒れの原因となる便秘を防ぎます。
おすすめの食材:海草、野菜、寒天、きのこ
ポリフェノール
抗酸化作用に優れ、炎症を抑える働きがあります。また、血行を促進して肌細胞の新陳代謝を活発にします。
おすすめの食材:緑茶、アサイーベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、ざくろ
ニキビにお悩みの方は、今回ご紹介した食べ物を参考に日頃の食生活を見直して、体の中からもニキビ対策をしてみてはいかがでしょうか?
参考資料(英語)
『The Clear Skin Diet by Valori Treloar, MD and Aran C. Logan, ND』
『Superfoods for Amazing Skin』