ビヨンセ、ガガらセレブを手がける日本人ネイルアーティストに聞く、セレブのネイルに関するこだわり、2017年の流行とは?
ビヨンセ、ガガ……ファッションリーダー兼ディーバのネイルを手がける日本人女性!
アニメ、フード、電化製品や車など、日本のカルチャーや技術のクールさが世界に広く知れ渡って来た今日この頃ですが、実はネイル業界でも日本人が高く評価されているのをご存知ですか?手先の器用さを活かしたデザインの可愛さや精巧さ、そして気配りの利いた施術……そんなところがセレブから愛されているのか、LA(ロサンゼルス)に数多くひしめくネイルサロンでも日系のサロンは高い評価を得ています。そしてそんな人気サロンから独立してたった3年で、ビヨンセ、レディー・ガガ、ケイティ・ペリーやケシャ、ジェシカ・アルバなど錚々たるセレブたちを顧客に保ち、雑誌『NYLON』や『V Magazine』などの有名ファッション誌でも多くのファッションアイコンやセレブにネイルを施しているのが日本人女性ネイリスト、Miho Nailsさん。セレブがバカンスに出掛ける夏を除けば常に予約でいっぱい。なかなか新規顧客の予約を受けられないという彼女にお話を伺ったのは、LA地域最大のサロン系イベント、Inter National Salon and Spa Expoで彼女が初めてプロデュースしたジェルネイル、Miho Nails x LED gel Prestoの立ち上げを控えた前日。後日話を伺ったところ、彼女のインスタグラムなどで彼女を知るファンがはるばる遠方から会いに来てくれたのだとか。LAにおいてはアートやファッションに関心を持っている男性にも、彼女の名前が知られているほど人気です。
注文が多そうなイメージのセレブたち。実際はとってもシンプル!
先ほど挙げた以外にも、ニッキー・ミナージュ、ゼンダンヤ、クロエ・グレース・モレッツ、セレーナ・ゴメス、はたまたビヨンセの愛娘ブルー・アイヴィーや夫のジェイZまでをもネイルケアやアートを施すというMiho Nailsさん。まだまだ挙げ出したらキリがないほどのスターたちに愛されているけれど、さぞかし注文も多岐に渡って苦労もあるのでは?というイメージが。
「仕事はもちろん、プライベートですら彼女たちにとっては仕事の一部のようなものなので、私はその用件に合ったものと、シーズンごとに使える色を自分から提案するのです。私のことを信頼してくれているので、実は“こんな風にしたい!”“これじゃなきゃいや”っていう我の強い人はいなくて、むしろ注文はフワッとしたもの。全部託されているくらいです」
という真逆の答えが。同じアーティストとして彼女をリスペクトしているからこそなのかもしれませんね。あのビヨンセですら「“今日はヌード(カラー)がいい”、“夏だからブライト!”といった程度のリクエストなんですよ」その要望に合わせて彼女がサンプルを見せるのだとか。
「私が得意なのは、色を混ぜること。顧客が“もっとこんな感じの色がいい”という声に応えて、“じゃあ、あなたの肌の色に合わせるね”と、何色かを混ぜるのです。こちらのお客様は本当にいろんな肌の色の人がいるので、写真やサンプルなどで希望してもらった色をその方に合わせて調合するのです。他の日本人ネイリストの人もやることですけど、アメリカの人たちはやらないので、“Mihoは混ぜてくれる!”って喜んでくれます。セレブは誰でも手に入れられるものには興味がなくて、自分だけのオリジナルが大好き。だからこそ、ブラシやライティングなどの道具にも、良質な物を使うようにしているのも、彼女たちに信頼されている理由のひとつかもしれません」
さらに、彼女が驚いたのはアメリカ人のシェイプに対するこだわり。
「日本では、その人に合わせてシェイプを整えるのは当たり前のことですが、アメリカはそれができないネイリストが多いのか、シェイプですら喜んでくれます」
アメリカではシェイプはアーモンドが無難で、今人気なのはCoffin Nails。先端が四角なもので、「以前は流行っていたけれど、今は定番になりつつある」そうですが、「セレブは指が綺麗に見えるので圧倒的にアーモンドシェイプが人気ですね」とのこと。
「セレブだからといって長いスカルプチュアをするかといえばそんなことはなく、実はセレブは、ケバケバしくないものが好きです。ビヨンセは長い爪ですが、自爪。ナチュラルが大好きなのでアクリルもしない。とてもいいコンディションの自爪の上にソフトジェルを乗せるだけです。(ジェルを落とす時に)仕方がなく自爪を削るネイリストもいますが、私は削らないので、彼女に喜ばれています。爪の表面を削ると爪が薄くなってしまいますから」
他にも彼女が愛されるのはその気遣いで、撮影の現場やセレブのスケジュールに合わせてスピーディーに仕事をするそう。彼女自身の判断で、相手が携帯で話している手や、ピアノを弾いている足下にだって、グラウンドピアノの下でネイルを施す(!)なんて凄技も。知らない間に、気付けば終了しているその仕事ぶりから「ニンジャって呼ばれているんです!笑」とのこと。彼女にとって必要なテーブルや時間に制限はなく、撮影前で集中しているセレブたちの邪魔にならないように、メイクテーブルの下にもぐって作業することは日常茶飯事。
「こちらは、やはり我の強い人が多いのですが、私は邪魔したくないのです。周りの空気を読むことを心がけていて、セレブの状況を把握しながら作業するので、気づいたらネイルが仕上がっていたって驚かれますし、感謝されています」
秒単位のスケジュールをこなすセレブにとって、彼女らしい気遣いは愛されるのも納得です。
LAのネイルシーンを扇動するMiho Nailsさんのおすすめスタイルとは?
指先の写真を撮る直前、オイルを忘れた代用品としてリップグロスを爪に塗って保湿させていたMiho Nailsさん。「LAは乾燥しているので、ハンドクリームよりもオイリーなリップクリームやグロスの方がうるおうのですよね。少し色が付いているから血色良く見せてくれると思います」とちょっとした裏技も教えてくれました。そんな彼女に、2017年お薦めのネイルについて伺ってみました。
「クロムネイルは流行り続けていますが、単色のクロムが飽きた人には、クロムにデザインをミックスするスタイルが流行っていると思います。シンプルなネイルが好きな方が多いですが、今後私が流行らせたいのは、マーブル模様のように色を混ぜたりして、アンニュイ感を演出するようなスタイルですね。個人的にはストリートアートが好きなので、ネイルに取り入れています。私のお客さんは皆上品なデザインを好むので、クロムネイルもピンクゴールドでマーブル柄にしてみたり、先端や一部だけにクロムを取り入れてみたりしています」
「メイド・イン・ジャパン」の素晴らしさを知ってほしい
最後に、このページを読んでいる日本の方に伝えたいことは?との問いかけに、彼女はこんな素敵な言葉を贈ってくれました。
「ネイルに限らず、撮影現場などの技術者にもたくさんの日本人が活躍していることは、意外と日本では知られていないかもしれません。アメリカに移って、メイド・イン・ジャパンの素晴らしさに気付きました。まさか自分もガガやビヨンセにネイルをするなんて想像もしていませんでしたが……。私たちが思っている以上に日本は高く評価されていることを日本の方に知ってもらうことで、日本人である自分に自信を持って欲しいですね」
そういって微笑む彼女の笑顔も、セレブを惹き付けて止まない秘訣だと私は感じました。
参考
Miho Nails ウェブサイト
http://www.mihonails.com
Miho Nails インスタグラム
https://www.instagram.com/mihonails