脱・自己流スキンケア(8)「天然成分は全て安心⁉︎」天然成分と合成成分とは
私たちはこれまで
肌やスキンケアについて
さまざまな情報を得てきました。
積み上げてきた知識の中には、肌やスキンケアへの
「思い込み」も含まれています。
肌のお手入れも、この
「思い込み」をベースに
毎日繰り返している
としたら……?
私たちが知らず知らずのうちに
積み上げてしまった
「思い込み」から
私たち自身を解き放ち、
一人一人が大切な自分の肌のエキスパートに
なるためのレッスンを始めましょう。
シリーズ第8回目は、
「天然成分と合成成分」についてです。
天然成分は肌にいいはず⁉︎
季節柄、仕事でもプライベートでも外食が多くなって、体が重くて……。ビュッフェパーティーなんて、メニュー全部制覇しないともったいなくて、つい食べ過ぎてしまいます。やっぱり、 天然食材・自然の恵みをそのまま取り入れるような食生活をしなければ、体重維持はできないですよね。
「天然」「自然」といえば、肌にやさしい自然派スキンケア製品をデパートやドラッグストアに行く度に見かけます。どの製品にすべきか、つい目移りしてしまいますが、天然成分を使用しているから、どれを使っても安心ですよね?
美子さん、
天然成分を使用しているから全て安心とは言い切れませんよ。
自然のものなのに?
自然のものだからこそ、安心とは言い切れないのです。
天然成分は、自然のものであるがゆえに、採取される場所や地域、気候などによって品質が一定でない場合があります。また、その抽出方法や精製度によっても、原料の品質はさまざまなのです。
美子さんは、「天然成分」 と耳にすると、どのようなスキンケア製品のイメージを抱きますか?
もちろん、植物や動物など自然のものから採取したり、抽出したりしているから、安全で安心な製品というイメージです。
合成成分は悪役ではない!
その反対に、「合成成分」と聞くと、どうでしょう?
あまりいいイメージではないかも……。
実は、その合成成分に抵抗を感じてしまう理由は、「合成品」の精製度が今ほど高くなかった時代から根強く続いているイメージが一般的に残っているからなのです。
単に昔からのマイナスなイメージが先行していたということですか?
はい。その証拠に、現代では、精製技術が飛躍的に上がり、純度が高く、安全で安心な成分が得られるようになりました。また合成技術自体も高度に発達していますから、悪役の要素はほとんどないのです。例えば、一般的に石油由来の油である「鉱物油」は、ワセリンやベビーオイル、リップクリームなどに使われ、医療現場でも多用されています。そう聞くと、悪い印象はないでしょう?
確かに!でも、石油系と聞くだけで、「天然」「自然」と反対の「人為」「人工」というイマイチな印象を受けます。 「石油」自体は天然の鉱物資源の一種なのだと、テレビでは言っていたのですが……。 どうも、スキンケア製品で「合成品」というと、 「防腐剤 (保存料)」が浮かんできてしまいます。これも、あまり肌にいいものではないイメージがあります。
では、「防腐剤」のイメージアップのために、防腐剤について少し触れてみましょう。
品質を保つための立役者は防腐剤(保存料)
防腐剤は品質を長期間保つために大切な成分です。防腐剤の入っていないスキンケア製品を指で直接触れるのはもちろん、開封するだけで空中の雑菌が入り、変質してしまいます。雑菌が繁殖し腐敗したものを肌につけてしまっては……。
肌を痛めてしまいそう!
えぇ、肌に決していいものではないことがわかりますよね。 またスキンケア製品に配合される成分の中には、ヒアルロン酸やコラーゲン、ビタミンなど、効果が期待できるのに、不安定で品質が変わりやすいものもあります。このような成分を配合して高い効果を得る製品をつくるためには、防腐剤は必要不可欠なのです。
せっかく肌に効果のある成分なのに製品に使用しないのは、もったいないですよね。
その通り!効果が期待できてこその化粧品ですから。今は、化粧品の防腐剤に食品保存料と同じ安全性の高いものが使用されているのですよ。
口に入れるものと同じのだとすれば、一気に安心感が増します!
美容成分と同様に、防腐剤にもさまざまな種類があります。水分が多いもの、油分が多いもの、スキンケア製品に使われる美容成分との相性・処方・目的によって、最適な防腐剤が選択され、 配合量が算出され、製品がつくりだされているのです。
なんだか、防腐剤が優秀なボディガードのように思えてきました。
肌悩みに対応してくれる美容成分を選ぼう
天然成分も美容成分として化粧品に使用される場合、天然成分の難点をいかにカバーして、その成分の持つ特性を生かす製品をつくるか、化粧品メーカーの手腕にかかっているといっても過言ではありません。
天然成分だから、一様に肌にいいものではないということですね。
ちゃんと、スキンケア製品に配合されている天然成分について、肌悩みに対応してくれる成分であるのか、その製品を使う目的は何なのかを再度確認するようにしてくださいね。
「楽をしていては美肌成らず」ですね!
なにより「天然成分は○、合成成分は×」という漠然としたイメージだけで、スキンケア製品を選んでしまうと、肌の悩みに応えてくれる美容成分を配合した「これは!」という製品を見逃してしまうことにもなりかねません。それこそ、もったいないことですから。
はい。イメージに流され、広告に惑わされないように努めます!
化粧品メーカーの力量を採点するくらいの気持ちで、賢く美肌を目指してくださいね。それと、美子さん、ビュッフェパーティーに「もったいない」は禁物ですからね!
解説していきます。
どうぞお楽しみに!
脱・自己流スキンケア
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