ホワイトケアの強い味方!ハイドロキノンの効果と作用とは?
近年、日本のスキンケア業界でも美白成分として注目度が増してきた「ハイドロキノン」。アメリカでは早くから医薬品やスキンケア製品に配合され、ホワイトケアはハイドロキノンといわれるほど、一般的に広く使用されてきました。日本ではまだまだ知らない方も多い美白成分「ハイドロキノン」について、その効果と肌に与える影響を詳しくご紹介していきましょう。
目次
1.ハイドロキノンとは?
2.ハイドロキノンがホワイトケアに最適な理由
3.ハイドロキノンの効果が期待できるシミの種類
4.知っておくべきハイドロキノンの作用
5.ハイドロキノン製品を使用する際の注意点
6.ハイドロキノン製品の選び方
7.そのシミ、なかったことにできるかも!
1.ハイドロキノンとは?
ハイドロキノンは、シミやそばかすなどを薄くし、さらには色素沈着などの予防効果もあるとされる美白成分ですが、もともとはイチゴ、ブルーベリー、コーヒー等に含まれる天然成分です。
これまで日本では、その効果・効能の高さから医師の管理下のもと医薬品として皮膚科などでのみ使用が許可されていました。しかし、2001年の化粧品への規制が緩和され、使用できる原料の幅が広がり、ハイドロキノンも化粧品(スキンケア製品)に配合できる美白有効成分となったのです。一般的に1~5%の濃度のハイドロキノン製品が流通しているようですが、アメリカでは安全に使用できる濃度である2%未満まで。それ以上は、医師の処方箋が必要となります。それだけデリケートな成分で、濃度や肌への影響など含めて注意深く使用する必要があります。
ハイドロキノンは、以前からスキンケア製品に配合されていたアルブチンやビタミンC、プラセンタなど従来のホワイトケア成分と比較すると、美白効果が10~100倍ともいわれています。また最大の特徴は、還元作用(元に戻す機能)があること。そのため、シミの予防だけでなく、すでに出来てしまったシミや色素沈着への効果も期待できることで知られています。その還元作用こそが、従来の美白化粧品には存在しなかった効果であり、ハイドロキノンが最強のホワイトケア成分であるといわれるのはこのためです。
シミができるメカニズム
シミや色素沈着への効果が高いハイドロキノンをもっと知るために、まずはそもそもシミがどのようなメカニズムで皮膚に現れるのかを見ていきましょう。
私たちの肌には表皮と真皮が存在し、表皮はケラチノサイト(表皮細胞)とメラノサイト(色素細胞)などから形成されています。4つの層を持つ表皮の中で、真皮に近い基底層に存在するメラノサイトがシミの原因となるメラニンをつくり出しているのです。
肌が紫外線を浴びると、以下の段階を経てシミが肌表面に定着していきます。
このサイクルを断ち切らないと残念ながらシミは増えていくばかり。そこで活躍してくれるのが、ハイドロキノンなのです。
2.ハイドロキノンがホワイトケアに最適な理由
シミが定着してしまうメカニズムの中で、ハイドロキノンが果たす機能は3つ。
チロシナーゼの働きを抑える
メラニンの前身であるチロシンは、チロシナーゼによって酸化することでメラニンに変化するため、チロシナーゼが活性化されなければチロシンからメラニン色素が生成されることもありません。ハイドロキノンはチロシナーゼよりも先にチロシンと結合し、チロシナーゼの酸化機能を奪ってくれるので、シミの原因であるメラニンそのものをつくらせない、という大きな役割を担っています。
メラノサイトを減少させる
紫外線を浴びれば浴びるほど、肌はメラノサイトを増殖させる指令を出します。また、メラノサイトは子どもよりも大人の方が多い傾向にあり、加齢と共にシミが出来やすくなるのは、単純にメラノサイトの絶対数が増えているというのも原因の一つです。ハイドロキノンは、メラニン生成の母体であるメラノサイトを減少させる機能を持っているため、メラニンがつくられる活動を弱める働きで、新しいシミをつくらせないようにするというわけです。
還元作用
還元作用とは「元に戻す」働きのことを指しますが、ハイドロキノンには生成されてしまったメラニンを還元する機能があります。メラニンは、紫外線を浴びて酸化することによって黒く、濃くなりますが、ハイドロキノンはこの酸化を還元する(元に戻す)ことでメラニンの色を淡色化させ、すでに出来てしまったシミへも働きかけ、目立たなくしてくれます。この還元作用は、通常の美白成分には含まれていないハイドロキノン独自の効果といえます。
これらの3つの機能により、 2つのシミへのアプローチが可能となるのです。
シミへのアプローチ
その1 すでにあるシミの改善
その2 これから出来るシミの予防
※紫外線ダメージによる乾燥のこと
3.ハイドロキノンで改善が期待できるシミの種類
ホワイトケアに強い効果を発揮してくれるハイドロキノンですが、万能薬ではないということも理解しておきたいところです。ハイドロキノンでシミや色素沈着に効果があるのは、主に肌の浅い部分(表皮)に出来たシミだけ。肌の深部(真皮)までに浸透してしまったシミには効果を期待しにくいとされています。改善したいシミがどのタイプに当てはまるかが重要になってきますので、以下のリストを参考にしてください。
お手入れにハイドロキノンがよく使われるシミの種類
●老人性色素班
多くのシミがこのタイプ。日光黒子とも呼ばれ、紫外線によるダメージ(メラニン色素の過剰生成)が原因のシミです。
●肝斑
両頬や額などを中心に左右対称に広がるシミで、丸く広がる形が特徴です。30~50代で出来始めることが多く、女性ホルモンの乱れやストレス、不規則な生活が影響しているといわれています。
●炎症性色素沈着
肌の炎症後に生じる褐色のシミを指し、ニキビ跡やかぶれ跡もこちらに当てはまります。
●そばかす
直径数ミリ程度の小さく薄い斑点が、鼻を中心に頬骨あたりに広範囲で散らばっている。子どもの頃から見られ、家族にもそばかすがある人がいることが多いです。
効果が期待できにくいシミの種類
●脂漏性角化症
イボのように隆起したシミで、ホクロとは違い表面がザラザラ・ガザガザしています。
●太田母斑
真皮性のシミで、主に目の周りを中心に現れる青色から黒みがかった小さな斑点です。
●その他にもクマ、ほくろ、あざ
4.知っておくべきハイドロキノンの作用
ホワイトケアに高い効果を持つハイドロキノンですが、医薬品として扱われてきた期間が長いだけに、その扱いも非常に繊細です。一般的な症状は以下の3つが挙げられます。
① 赤み
ハイドロキノンを使用していると、メラニンの色が薄くなることで、血色がよくなり肌が赤みを帯びたようになることがあります。これは、肌に透明感が出て、血色が透けて見えるためと考えられます。配合濃度や肌質によっては、使い始めから24時間以内、または3~5日経ってから赤みが出ることがありますが、それは配合濃度が高過ぎるか肌に合っていない可能性があります。その場合は一旦使用を中止するか、炎症がひどい場合は皮膚科などの医療機関を受診してください。
② かゆみ・炎症
ハイドロキノンを塗布した箇所に赤みが出た上に、ピリピリとしたかゆみを感じたり、肌の炎症が起きたりする場合があります。このような場合は、一旦使用を中止して医療機関への相談をおすすめします。
③ 白斑
ハイドロキノンの作用として耳にしたことがあるかもしれません。白斑とは肌がメラニンを生成する機能を失ってしまうことで、色が白く抜けること。スキンケア製品程度の配合濃度で、一般的な使用環境であれば白斑は起きにくいといわれていますが、白斑が現れてしまったときは、直ちに使用を止め医療機関で受診してください。
以上3つの肌への影響の他に、ハイドロキノンの使用によって起こりうるトラブルとして、シミやくすみの悪化があります。
シミのイメージが強く悪者にされがちなメラニンですが、そもそもの働きは紫外線などの刺激から肌を守るために生成されるもの。通常のターンオーバーのもとで、適量のメラニンがつくられている場合には必要な成分でもあります。ハイドロキノンはメラニンの生成を抑えるため、肌は通常よりも紫外線の刺激を受けやすい状態です。そのため、日焼け止め対策を少しでも怠ると、ハイドロキノンによりメラニンが減った肌は紫外線にさらされて 、シミの悪化につながることも。紫外線対策は十分過ぎるほど行い、肌への刺激となる乾燥にも気を付けましょう。
5.ハイドロキノン製品を使用する際の注意点
美白効果が高い分、肌への刺激が強く、扱い自体もデリケートなハイドキノンですが、注意点に気をつけて安全に使用することで、有効なホワイトケアにもなります。ここでは、ハイドロキノン製品の正しい使い方についてご紹介していきましょう。
パッチテストを行う
刺激が強い成分ですので、必ず使用前には以下の手順でパッチテストを行ってください。
①二の腕の内側などに、ハイドロキノンの製品を塗った絆創膏を貼ります。
②24時間後にかゆみや赤みなどが出ていないか肌の状態をチェック。かゆみや赤みが出た場合は、濃度が高過ぎるかアレルギーの場合もありますので、使用を継続したい場合は、一度皮膚科へ相談することをおすすめします。
③不安な場合は、さらに24時間貼り続けて肌の様子を見るのもいいでしょう。
洗顔後は、肌を整えてから
洗顔直後は成分の浸透が良くなり、ハイドロキノンの刺激を直接的に受けてしまいます。化粧水などで肌を整えてから使いましょう。
肌と相談する
生理前や体調不良で肌の抵抗力が弱くなっているときは、肌と相談しながら、ハイドロキノンの使用は控えた方がいい場合があります。普段から肌状態のチェックはこまめに行いましょう。
使用期限を守る
非常に酸化しやすいハイドロキノン製品。開封後はできるだけ冷暗所に保管し、1ヶ月以内(または説明書の指示通り)に使い切ることが望ましいです。
6.ハイドロキノン製品の選び方
市販されているハイドロドキノン配合のスキンケア製品だけでもたくさんの種類がありますが、選ぶときのポイントは濃度。以下の表を目安にしてみてください。シミの種類、肌質により個人差はありますが、一般的には、濃度が高ければ効果も高くなりますが、それに併せて刺激も強くなります。
ハイドロキノン濃度 | 1〜3% | 4〜5% | 6%以上 |
入手方法 | 市販・皮膚科 | 市販・皮膚科 | 皮膚科 |
肌への刺激 | 比較的少ない | 刺激を感じる場合はある | 副作用の可能性にも注意 |
日常でのケア | 紫外線対策 | 紫外線対策・保湿 | 医師の指示に従う |
今抱えるシミへの改善策として何を基準に選ぶのか、以下のハイドロキノン製品の選び方を参考にしてみてください。
安全性で選ぶなら
ハイドロキノンの配合濃度が1~3%のものがおすすめです。特にアメリカでは2%以上は医師管理の下での使用としていることを考えると、2%未満がより安全性は高いといえます。中には、配合率を2%未満の安全基準内に抑えながらも、浸透率を上げることで肌への効果を高めているハイドロキノンクリームもありますので、そのような浸透率に着目してスキンケア製品を選ぶのもポイントになります。
即効性で選ぶなら
「今すぐにでもシミをなんとかしたい!」という方は、高濃度の4~5%のハイドロキノン製品を選ぶのも選択肢になります。ただし濃度が高い場合は、肌に与える刺激の強さにも注意が必要です。肌の状態チェックはもちろん、紫外線対策もばっちりと行った上で使いましょう。パッチテストも必ず行ってください。
深刻なシミや色素沈着に悩んでおり、さらに高濃度のハイドロキノンを試したい方は、皮膚科や医師に相談しながら使用しましょう。
7.そのシミ、なかったことにできるかも!
シミや色素沈着は一度出来てしまうと、スキンケアだけでは「もう取り返しがつかない」というイメージを持っている方も多いですよね。そのイメージを覆してくれるのが、ハイドロキノンなのです。「なかったことに」「元通りに」という還元作用こそが、今までの美白化粧品になかった働きであり、シミで悩む女性たちが一番欲しかった効果でもあります。さまざまな観点でハイドロキノン配合のスキンケア製品を選ぶことになりますが、何よりも大切なことは自分の肌に合っているかどうかです。トライアルセットなどがあるものは、その試用から始めると、より理想に近いハイドロキノン製品に出会えるかもしれません。