しつこい男性ニキビの原因と対策を徹底解剖
スキンケアの悩みは、女性だけでなく男性も多く抱えているもの。とはいえ、女性の肌トラブルに比べて、男性はクローズアップされる機会は少ないかもしれません。そこで今回は、男性の方にも多いニキビについて考えてみました。
1.男性のニキビの特徴と原因
ニキビの出来る原因の一つは、毛穴に詰まった皮脂によってアクネ菌(ニキビ菌)が増植し、炎症を起こすこと。男性は、女性に比べて皮脂の分泌量が約2倍と多いので毛穴に詰まりやすく、ニキビが出来やすいといわれています。特に、アゴからもみあげにかけてのUゾーン、鼻の下、口周りに出来るニキビは、男性のニキビならではの特徴です。その原因を探ってみましょう。
男性ホルモンの影響
男性ホルモンとは、体格、声質、ヒゲなどいわゆる男性らしさの発達を促すホルモンです。その成分の一つであるアンドロゲンは、皮脂の分泌を促す働きがあります。皮脂や古い角質などの汚れが毛穴をふさぐと、そこに空気の遮断された場所を好むアクネ菌が繁殖してニキビの原因となるのです。
特に、アゴからもみあげにかけてのUゾーン、鼻の下、口周りは男性ホルモンの影響を受けやすい部分なので、このエリアに出来るニキビは、男性ホルモンによる皮脂の増加が原因の可能性が高いのです。
間違ったニキビケア
皮膚を清潔に保つことはニキビケアには欠かせない要素です。とはいえ、洗顔のし過ぎや、あまりに洗浄力の高い洗顔料を使うのは好ましくありません。肌に必要なうるおいまで洗い流してしまうため、肌が乾燥してしまうからです。その結果、肌がうるおいを補おうと必要以上の皮脂を分泌してしまい、ニキビを発生させたり、悪化させたりすることにつながりかねません。
ストレスや喫煙、髭剃りによる肌ダメージ
ストレスにより交感神経が活発になると、男性ホルモンが過剰に分泌されて、ニキビが発生したり悪化したりする傾向にあります。また、シェービングによる肌への摩擦も、男性特有のニキビの大きな原因の一つです。さらに、タバコはニキビの大敵。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。血管が収縮すると血流が悪くなり、必要なところまで十分な栄養が運ばれなくなるため、それによりターンオーバーの乱れを招き、ニキビの出来やすい肌環境になります。また、ニコチンの影響で発生した活性酸素により、抗酸化に優れたビタミンCが体内で消費されてしまうのです。
2.男性のニキビのケア方法
実際に出来てしまったニキビを改善するために、できることは何でしょうか?ここでは、スキンケアの方法から体の内側に働きかけるケアまで、考えられるさまざまなアプローチをご紹介します。できることから一つずつ、取り入れてみてください。
□正しい洗顔
肌を清潔に保ちたい、脂っぽい肌をさっぱりさせたいという理由から、一日に何度も洗顔してしまうのはおすすめできません。洗顔の回数は、通常であれば朝晩一日2回ほどで十分です。
<正しい洗顔・5つのポイント>
(1)洗顔はぬるま湯(人肌程度の温度)で行う
※冷たい水では毛穴が引き締まり汚れが落ちにくく、熱い水では皮脂が溶けて出して必要なうるおいまで落としてしまいます。
(2)まずは手をきれいに洗い、顔を十分に濡らしてから洗顔を始める
(3)洗顔料を手のひらに馴染ませてから顔に広げ、指で優しくなでるように洗う
※この時ゴシゴシこすらないように注意!
(4)皮脂の分泌の多いおでこや小鼻の周りは特に丁寧に洗う
(5)すすぎ残しのないように洗顔料を洗い流したら、清潔なタオルで優しく押さえるようにきちんと水分を取る
※タオルが汚れていると、雑菌の繁殖の原因になり、ニキビには悪影響。タオルはなるべく柔らかくて刺激の少ない素材のものであればさらにいいですね。
□スキンケアのポイント
しっかり保湿する
ニキビの原因には皮脂が関係していることもあり、さっぱり感のあるスキンケア化粧品を使いたくなるものです。ところが、肌の乾燥が過剰な皮脂の分泌を促すため、ニキビ肌にはどちらかというと“しっとり”感のある保湿力の高い化粧水や美容液、クリームなどを選びましょう。また、洗顔をせずに化粧水や美容液を使っても、顔の汚れが落ちていないため、十分な効果は期待できません。たとえ面倒でも、スキンケアは洗顔後に行いましょう。また、洗顔後は汚れとともに肌の水分や皮脂も落ちていてデリケートな状態なので、時間を置かずにすぐスキンケアを行ってください。
使用方法通りに使う
スキンケア製品を使う際には、使用量、使用方法を守りましょう。効果を最大限に活かすことができるので、ニキビ改善の近道となります。例えば、化粧水はバシャバシャとたっぷり塗れば塗るほど効果が上がると思われがちですが、実はそうではありません。肌の表面に残った化粧水は蒸発するだけなので、塗りすぎは化粧水の無駄遣いです。美容液やクリームも、必要以上に塗ることで効果が高くなることはなく、逆にベタつきが気になることもあります。また、浸透させたいからと肌を手で叩いたり、強くこすったりするように塗るのは逆効果。手のひらで顔を優しく包み込み押さえるように塗りましょう。
<基礎化粧品の役割と使用順序>
(1)化粧水:肌の保湿成分を補う。スキンケアの最初に使用することで、肌の状態を整えて、後に続くスキンケアの効果を高める
(2)美容液:保湿、美白など、目的別に異なる美容成分を配合。肌の悩みに合わせた集中ケアを行う
(3)クリーム:化粧水や美容液に比べて油分が多く、スキンケアの最後に美容成分を肌に閉じこめて、フタをする役割がある
□紫外線対策は必須!
一見ニキビとは関係なさそうですが、実は紫外線対策もニキビのケアには欠かせません。紫外線を浴びると、肌内部では活性酸素が発生して、皮脂腺の細胞が皮脂をたくさん生成するようになります。また、肌表面の皮脂が酸化し、それが刺激となって毛穴が詰まりやすくなります。すると、アクネ菌が毛穴の中で繁殖しやすい環境が整うというわけです。さらに、ニキビの炎症がメラニンの生成を活発にするので、ニキビの跡はシミになりやすくなります。
では、そんな紫外線に対してどのような対策を取ればよいかご紹介します。
日焼け止めを塗る
男性は、一般的に女性のようなメイクアップをしないので、肌が紫外線に直接さらされやすい状態にあるといえます。そのため、普段からしっかりと日焼け止めを塗っておくことが大切。海や山などレジャーの場面だけでなく、日常生活においても日焼け止めを塗る習慣を心掛けましょう。
UVカットのサングラスやキャップを身につける
日焼け止めを塗るだけでなく、こういった小物で紫外線をカットするのも手。クルマの窓をUVカット仕様にするのもいいでしょう。紫外線は一年中、曇りや雨の時にも降り注いでいます。夏だけ、晴れた日だけではなく普段から上記の対策を実践してみてください。
□食生活の見直し
「肌は内臓の鏡」といわれ、肌が内臓と密接な関係を持つとされています。つまり、体内環境を改善することが、肌トラブルの改善にも繋がります。ここでは、ニキビをケアする上で避けたい食品、積極的に取りたい食品をご紹介します。
ニキビケアに好ましくない食品
血糖値を上げやすい、白砂糖や小麦粉などを含む食品(小麦粉のパンや麺類、ケーキ、お菓子、ジュースなど)はニキビの一因であるといわれています。急上昇した血糖値を下げようと分泌されるインスリンが男性ホルモンに影響を与え、皮脂を過剰に生成してしまうからです。
また、お酒の飲み過ぎは禁物。アルコールの分解や代謝に伴ってビタミンB群が消費されやすくなり、体内で不足しがちになります。ビタミンB2やB6には、肌の新陳代謝を活発にして、皮脂を分解したり肌の元になるタンパク質を合成したりする働きがあります。その働きが滞ることで、ニキビができやすい肌の状態になってしまうのです。
ニキビケアに好ましい食品
上記とは対照的な、血糖値を上げにくい「低インスリン食」がおすすめ。主な食品として、野菜、肉、魚、海藻、玄米などが挙げられます。さらに、ニキビのケアに取り入れたい栄養素と食材が以下です。
*ビタミンA:ほうれん草、さつまいも、ブロッコリー、レバーなど
肌の新陳代謝を活性化して、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを改善する。
*ビタミンB2:卵、納豆、牛乳など
脂質の代謝をサポート。皮脂の分泌を肌に適した状態にコントロールする。
*ビタミンB6:レバー、イワシ、マグロなど
肌や髪など体の組織を作るために必要なタンパク質の働きを助ける。
*ビタミンC:みかんやイチゴなどの果物類
抗酸化作用が強い、皮脂の酸化ストレスを軽減することで、ターンオーバーの正常化や抗炎症をもたらす。また、コラーゲンの生成を促し、メラニンや活性酸素の生成を抑制する。
*ビタミンE、ベータカロテン:ピーマンやニンジンなどの緑黄色野菜
抗酸化作用が強い。肌の抵抗力を高め、アクネ菌の繁殖を抑えることに繋がる。
*亜鉛:生牡蠣、サーロイン牛、チーズなど
余分な皮脂の分泌を抑える。
*食物繊維:海藻、寒天、きのこなど
腸内をきれいにして、ニキビの原因となる便秘を防ぐ。
*ポリフェノール:アサイーベリー、ブルーベリー、ざくろなど
抗酸化作用が高く、炎症を抑える働きがある。また、血行を促進して肌細胞の新陳代謝を活発にする。
3.ニキビを予防する方法
上記でご紹介したニキビのケアは、今あるニキビを改善するためだけではありません。ニキビの出来にくい素肌を実現するために心掛けたいことです。ここでは、それに加えてニキビを予防するためにできることをご紹介します。
肌を清潔に保つ
前述のように過度な洗顔は禁物ですが、もちろん洗顔のしなさ過ぎも良くありません。仕事から帰ってそのままベッドに直行……してしまう前に、しっかり一日の汗や汚れを落としましょう。また、女性に比べて男性は寝ている間に汗をかきやすく、気付かないうちに肌が皮脂で汚れがち。一日を爽やかにスタートするためにも、朝の洗顔は習慣づけたいところです。
カミソリ負けしないシェービング
男性に多い顎や口の周りのニキビは、男性ホルモンの影響に加えて、普段のシェービングによる肌への負担も原因の一つですので、シェービングからの刺激をいかに抑えるかがポイントです。
<シェービングのポイント>
・朝起きた直後は顔がむくんでいて剃りにくいので、起床後15~30分ほどしてから行うとよい
・ぬるま湯で顔を濡らして、シェービング剤をつけてから剃る
・ヒゲの生えている方向に剃る。一回のストロークを大きくし、小刻みに何度も剃らないようにすると、肌への負担を軽減できる
・シェービング後は肌が乾燥するので、アフターケアは重要。前述のスキンケアのヒントを参考に、保湿を中心としたお手入れをしっかりする
・不衛生なシェーバーには雑菌が繁殖し、それでヒゲを剃ると肌表面の菌のバランスが崩れ、ニキビや肌荒れを引き起こす原因にも
・定期的にカミソリの刃を交換する。また、シェーバーは毎回きちんと洗い、清潔な場所に乾燥させて保管する
ストレスを溜めないライフスタイル
現代を生きる男性の多くは、仕事やその他さまざまな場面でストレスを抱えている方が多いのではないでしょうか。ストレスによる緊張状態が続くと、皮脂の分泌を増やす男性ホルモンが多くなったり、睡眠不足、タバコやアルコールの摂り過ぎにも繋がったりして、それがニキビの原因となります。なるべくストレスを溜めない生活を送るようにしましょう。休日にはランニングをする、趣味に没頭するなど、日常のストレスから解き放たれてリフレッシュできる時間を作るのも良さそうですね。
4、ニキビとうまく付き合うために
今回ご紹介したように、ニキビが出来る原因には、シェービングや洗顔による摩擦、間違ったスキンケア方法などの外的な要因と、偏った食生活やストレスなどの内的な要因があります。ですので、ニキビが出来る原因をあらゆる側面から考えて、ケアしてあげることが大切です。
今まで原因が分からなかったという方は、自分のスキンケアや生活習慣を今いちど見直してみてください。
それでも治らないニキビに悩まされている場合は、肌の専門家に相談するのも良い手段。スキンケアコンサルタントや皮膚科医などと一度話してみるといいでしょう。