むくみやすい夏。慢性的な顔の「むくみ」は「たるみ」の原因にも!
シミやしわのように、深刻な肌悩みにはなりにくい顔の「むくみ」。鏡を見て顔が膨らんでいても、「あぁ、むくんでる」でやり過ごしがちです。でも、実はそこに落とし穴が…。放っておくと、たるみに進行し、二重あごやほうれい線などにつながっていく顔の「むくみ」。むくみやすい夏は、要注意のシーズンなのです。「なぜ顔のむくみがたるみになるのか?」また「むくませないようにするにはどうすればいいのか?」など、顔のむくみにまつわる疑問を紐解いていきましょう。
生理現象でありながら「たるみ」の原因にもなる顔の「むくみ」
人間の体の60%~70%を占めるといわれる水分。血液の中の液体成分(血しょう)も約9割が水で出来ていて、体内を巡って古くなった水分は汗や尿の形で体の外に排出されていきます。本来はとても「水はけ良好」なのが私たちの体です。
「むくみ」は簡単にいうと、水はけが滞った状態。血管やリンパ管が回収できなかった余分な水分が、皮膚の下(皮下組織)に溜まって起こります。特に、心臓から離れている部分で起きやすく、「足」と「顔」はむくみやすい部位。特に、「まぶた」「目の下」「フェイスライン」は、老廃物が溜まりやすい、顔の三大むくみゾーンなのです。
朝起きた時にまぶたがパンパンに腫れた顔を見て、あなたは何を思うでしょう。「うわっ、ひどい!」「またなの?」と嫌な気持ちになったとしても、その深刻度は低いのではありませんか?なぜなら、むくみは生理現象だからです。しかし、顔に水分が溜まった状態というのは、風船に水が入ったようなもの。その状態が続けば重力に負けてしまいます。結果的に皮膚が伸びて、たるみの原因になるのです。しかし、このことはあまり知られていない、いいえ、ほとんど意識されていない事実でもあるのです。
リンパ管の機能が低下すると皮下脂肪が蓄積!?
本来の直接的なエイジングサインの「たるみ」は、紫外線などのダメージでコラーゲンやエラスチン繊維の量が減って起こります。その最たる原因は肌の土台である真皮にまで到達する「紫外線A波」ですが、水分や老廃物の回収に欠かせないリンパ管の機能低下も「たるみ」に影響を及ぼすことが明らかになってきています。
リンパ管の機能が低下すると、体外に排出するために運搬中の脂肪酸がリンパ管から漏れ出てしまいます。結果、肌に脂肪酸が蓄積。その脂肪酸を材料に脂肪細胞が肥大化し、たるみを引き起こすのです。ちなみに、肌のリンパ管は血管とともに真皮にあります。
夏の「むくみ」は、とくに生活習慣が大きく関係
普段のスキンケアでは、あまり意識していないリンパ管。でも、実は「むくみ」と「たるみ」に影響を与えているのです。日々の「むくみ」は生理現象ですから、老若男女誰にでも起こります。しかも特に夏は水分の摂取量が増えるので、リンパ管は余分な水分の回収に大忙し。「むくみ」は、水分の「入り」と「出」のバランスが崩れた状態といえます。加えて、下記のような生活習慣が、むくみやすさに拍車をかけているのです。
【夏のむくみはこんな生活習慣から】
①入浴はシャワーで済ませがち
②立ちっぱなし、座りっぱなしであまり体を動かさない仕事
③冷たい飲み物をよく飲む
④冷房のなかにいる時間が長い
⑤塩分の取り過ぎ、濃い味が好き
⑥運動不足
⑦寝不足
⑧素足でいることが多い
②を除き、いずれも、ほぼ夏に顕著になるライフスタイルであることが分かりますね。夏はシャワーで済ませ、コーヒーもホットよりアイス、熱燗よりビールが飲みたくなるもの。しかも冷房づけです。このような夏特有の習慣により、思いのほか冷えているのが夏の体。素足ならなおさらです。
また、「熱中症予防に」とナトリウム入りのドリンクを飲んだり、ビールのつまみに塩辛いものを食べたりと、夏の体内は塩分過多にもなりがちです。「汗と一緒に塩分が出る」のは事実ですが、それは大量の発汗が起った時。通勤でかく汗程度では、汗と一緒に塩分が出ていくことはほとんどありません。そして塩分の取り過ぎは「むくみ」に繋がります。体には水分を溜め込んで塩分濃度のバランスを保とうとする働きがあるからです。
さらに普段から運動習慣がない人は、汗をかきたくないという理由で、夏はより動かない生活になりがちです。ましてや体のむくみは、重い水の袋を全身に巻き付けているようなもの。「汗」云々の前に、そもそも運動する気も起きないのです。
顔のむくみ解消のポイントは「入り」と「出」のバランスにあり
むくみを防ぐには水分の代謝を高めて、いかに水はけを良くするかがカギになります。顔のむくみに対しても、体全身の巡りを良くして、汗や尿でスムーズに毒素を排出できるように、体全体で捉えるのが解決の近道です。熱中症対策としてこまめに水分を補給しつつ、生活習慣を見直していきましょう。
1.飲み物は常温で。ただし必ずしもではない
最近はコンビニでも常温のペットボトルが販売され、自動販売機にも常温が登場しています。常温の良さは、何より体を冷やさずに喉をうるおせること。体内での吸収力も、冷たいドリンクよりスピーディです。
ただし、常温にこだわりすぎないことも大切です。猛暑の屋外や運動などによって体の温度が上がっている時は、冷たい飲み物の出番。体温を下げることが先決だからです。とはいえ冷え過ぎの飲み物はアウト。内臓を急激に冷やし、血行や代謝の悪化につながります。「キンキンに冷えたビールを飲みたい!」なんていうときは、温かい食べ物も意識すること。冷え過ぎを避けることができます。
2.汗はかくべきときは、しっかりかく
暑い夏、「入浴はシャワーで手短に済ませたい!」と思うのは自然な心理。夏の間は一度も湯船につからないという人もいます。しかし、思っている以上に冷えている夏の体をシャワーだけで温めるのは至難の技です。湯船につかった方が手っ取り早いのが事実。たちまち血液やリンパの流れは良くなります。代謝アップ&冷えの改善=むくみ予防です。「お風呂に入ると、汗をかいてしまう」という声も聞きますが、汗をかいて余分な水分を排出するのも入浴の目的なのです。汗をかきたくないからと、運動をせずにいるのも逆効果です。下半身に筋肉がつくと血流や水分代謝が活発になり、むくみにくい体になります。
3.エアコンを毛嫌いしない
女性に多いエアコン嫌い。「昼間のオフィスが冷え過ぎているので、自宅では使いたくない」という人もいることでしょう。体が冷えるのを避け、体の水分を外に排出するべく、高温多湿の室内で寝るのは、熱中症対策の面から見てもいいことではありません。なぜなら、体温が上がり過ぎてしまうからです。たとえ、エアコンなしで寝ることができても、汗をかき過ぎて気化熱で体が冷えて、夏風邪を引いてしまうこともあります。むくみを解消しようとエアコンを毛嫌いするあまり、むくみとは異なる他の不調を引き押してしまっては元も子もありません。
心地よい眠りを得るためには、睡眠中の体温を低く維持することも大切と心に留めておきたいですね。加えて、睡眠時は、枕が低過ぎると顔の位置が心臓よりも下に来てしまうため、重力で顔に水分が溜まりやすくなってしまいます。起きがけのむくみが気になる場合は、枕の高さにも気を配る必要があります。
4.むくみ解消のために積極的に取りたい食べ物
塩分を取り過ぎると体内の塩分濃度を一定に保つために、水分を溜め込んでしまう私たちの体。必要以上に塩分を溜め込まないとめには、「カリウム」を多く含む食品を積極的に取ることを心がけましょう。カリウムには、塩分を排出する働きがあります。バナナは「カリウムの王様」といわれますが、ホウレンソウや枝豆、トマト、アボカド、スイカ、メロンなどのほか、海藻やイモ類豆類もカリウムを多く含む食材。水溶性のため煮たり茹でたりすると水に溶け出してしまうので、効率よく摂取するには生の野菜と果物がおすすめです。
夏に旬を迎える冬瓜やトマト、キュウリ、ゴーヤなどの夏野菜には体の熱を取る作用があります。ただし、取り過ぎると胃腸を冷やしてしまうので、生姜やニンニク、ネギなど体を温める食材と合わせて、バランスよく食べるようにしましょう。
5.スキンケアは朝のマッサージをプラス
最後に、スキンケアでかなえる「むくみ対策」を。たるみに繋げないためにも習慣にしたいのは、リンパマッサージです。リンパの流れを助けることで、むくみの原因となる水分や老廃物が運ばれていくからです。マッサージのポイントは2つ。
ポイント1:「あご先」から「耳の下」へ、そして「鎖骨」に流しこむ
老廃物を運んで全身を巡るリンパ。その最終地点となるのが「鎖骨のリンパ節」です。マッサージアイテムを使うのが理想ですが、化粧水やクリームをつける時でも良いので、鎖骨のリンパ節に老廃物を流す習慣を身につけましょう。
①あご先に指先を添えます。
②骨の下に沿って、耳の下まで流します。
③首を包むように鎖骨へ流し込みます。
ポイント2:手のひらや指の腹で優しく行う
リンパは比較的皮膚の表面にあるため、強く押し流すのではなく、手のひらで撫でるようにして流します。強いと効果があるように思いがちですが、肌を傷つけてしまうこともあるので、あくまでも優しく。
たったこれだけですっきり。将来の「たるみ」の予防にもつながるケアですので続けてくださいね。肩をグッと上げて、肩甲骨をぐるりと回し、首を右に3回、左に3回程度大きく回してからスタートするとより効果的です。
多角的なアプローチで夏のむくみを撃退!
いかがでしたか?顔の「むくみ」を撃退するのは、生活習慣を見直すことが大切。また、むくみの解消に有効な食材を積極的に取ったり、マッサージを行ったりと、多角的なアプローチが効果的であることもお分かりいただけたことでしょう。「一時的なもの」と見過ごしがちな顔のむくみは、放置すると「たるみ」につながることを頭に入れて、さっそく今日から対策を行なっていきましょう。
参考
https://www.sankei.com/economy/news/150713/prl1507130134-n1.html
https://www.elle.com/jp/beauty/g204760/bpi-summer-legcare-17-0629/