ダイエットの影に潜む、やつれ顔。原因は皮膚の「たるみ」!
頑張って7kgも痩せたのに、周囲の反応はいま一つ。「疲れているの?」とか、なかには「老けたように見えるよ!」など辛辣なコメントをはっきり言ってくる人も。残念ですが、これはダイエットにありがちな結果です。原因は痩せることによって余った皮膚がもたらす「たるみ」。とくに40代以降のダイエットは、たるみを食い止めることができてこそ「成功」といえます。今回は、ダイエットがもたらす「たるみ」の仕組みから顔の筋肉トレーニング、スキンケアなどの対策までご紹介していきます。これでもう、周りの人に「やつれ顔」「老け顔」とは言わせません!
やみくもに体重を落とすと、結果的に老ける
年齢を重ねると、人は基礎代謝が鈍るため、ダイエットの結果が出にくくなってきます。そんなに食べていないのに太るのは、基礎代謝が低下しているからです。そこでつい行ってしまいがちなのが、過度なカロリー制限。体重を落とすことだけを考えるなら、てっとり早い方法です。でもそこに「皮膚のたるみ」という落とし穴が待っているのが、40代以降のダイエット。若い時のように皮膚に伸縮性がないからです。
7kgも痩せて5年前の体重に戻れたとしても、「あの人、痩せて老けちゃったよね」と囁かれるのが関の山。体は胸から、顔は口元からといわれるダイエット。せっかく痩せたのに、ほうれい線やマリオネットラインが目立ったり、二重アゴになってしまったり。「痩せること」と「若く見えること」はまったくの別ものです。
伸びた皮膚はすぐには縮まらない
皮膚は大きく分けて3層構造になっています。一番上が表皮で、その下が真皮、さらにその下に表皮と真皮を支える皮下組織があります。皮下組織は多量の脂肪(皮下脂肪)を含んだ組織で、額や鼻は約2mmと薄めですが、他は4~9mmくらいあります。そして皮下脂肪の下についているのが筋肉です。
減量すると脂肪細胞は縮みますが、皮膚の表面は同じ大きさのまま。皮膚の表面の下に脂肪が減った分の隙間が出来てしまいます。結果、「たるみ」や「ハリの無さ」が生じてしまうのです。厳密にはダイエットで皮膚がたるむというよりも、体重が増えたときの“皮膚の伸び”がたるみの元。肉マンを包んでいたラップで、大福を包んだらラップが余ってしまうのと一緒なのです。
筋肉が減ると、さらにたるみやすくなる
ダイエットの目的は脂肪を減らすことです。しかし、どうしても脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまうのが私たちの体です。せっかく痩せたのに、お腹や二の腕がタプタプしてしまう現象は、まさにこれ。脂肪だけでなく筋肉も落ち、皮膚の下にはさらに大きな隙間ができてしまった状態です。同じことが顔でも起こっています。お腹や二の腕のように分かりやすくないだけです。筋肉を犠牲にせず脂肪を落とすには、運動をしながらスローペースでダイエットしていくのが大原則。過度なカロリー制限は、筋肉が減ってしまう危険性が高くなるといわれています。
じっくり時間をかけて痩せるのが鉄則
1ヶ月で3kg痩せるのと半年かけて3kg痩せるのでは、同じ−3kgでもこうも違うのかと、見た目の違いが顕著な “顔”。 筋肉をできるだけ維持しながら、肌のハリを保って痩せるには、無茶なカロリー制限をしないことです。
肌はターンオーバーを繰り返していますが、20代で28日周期の肌でも、年齢によりこの周期は長くなる傾向にあります。あなたが30代なら、40代なら、50代なら…?全ての細胞が生まれ変わるペースに合わせたダイエットが、やつれ顔を防ぐ第一歩です。しかもターンオーバーの手助けには、バランスの取れた食事は不可欠です。
高たんぱく質摂取を維持
「太らないレベルでカロリーを取り、必要な栄養素を完璧に取る」。これは美しく痩せるには絶対に必要なこと。なぜなら見た目の美しさを支える肌や髪は、生命維持に使った栄養素の残りで再生されるからです。野菜をたくさん摂取することは良いことですが、カロリーを抑えたいからと、一気に肉や魚を避けるのは間違い。たんぱく質は筋肉や血液、臓器などの材料となる重要な栄養素だからです。肉の脂身を避けたいのであって、赤身肉はむしろダイエット向きの栄養バランス。たんぱく質には、体の水分を保持する働きもあります。
また、過度な糖質制限にも注意が必要です。カロリーが抑えられるので体重は減りますが、体内の糖分が不足すると、肝臓のグリコーゲン→筋肉の順に分解され、残念ながら脂肪はほとんど減りません。極端な食事制限や偏った食事はビタミンやポリフェノールが不足しやすく、シミやたるみなど肌老化を引き起こす活性酸素を増加させることも忘れずに。
脂肪が減った分を筋肉で埋めるのが理想
ただ痩せることだけを考えるのではなく、痩せながら老けることはしない。そのためには炭水化物もたんぱく質も適度に取って、しっかり運動する。結局、ダイエットとはこの王道の方法に尽きるのです。脂肪を燃焼するにはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が鉄板ですが、肌のたるみを抑える鍵になるのは無酸素運動。筋トレです。負荷を加えて筋肉を増やすことができれば、皮下組織と皮膚がぴったりくっついて、肌のハリを保てるからです。
そうとはいえ、体のように顔の筋肉はスクワットやダンベルで鍛えられません。そこでご紹介したいのが、いつでもどこでもできる「あいうえお」と「舌回し」の顔の筋トレです。ともにたるみの改善に効果の出やすいトレーニングなので、ぜひ毎日行ってみてください。普段あまり表情筋を使わない人にもおすすめです。無表情は筋肉を痩せさせ、頬や輪郭がたるみやすくするからです。
「あいうえお」筋トレ
「あいうえお」と口を動かすだけで顔の筋肉が鍛えられます。始めはそれぞれ10秒ずつ各10回。慣れてきたらキープ時間を増やして顔が疲れるくらい行いましょう。
「あ」顎を限界まで下げて、口を縦に大きく開きます。
目も開くと目元の筋肉にも効果があります。
「い」首筋が浮き出るくらい、口を横に大きく広げます。
「う」唇に力を入れて中心に寄せながら前に突き出します。
「え」舌を「べーっ」と出しながら、口を横に大きく開きます。
舌を出すのは、顎下まわりにより効果があるからです。
「お」ほうれい線を伸ばすイメージで、口を縦に大きく開きます。
「舌回し」筋トレ
ポイントは顔の筋肉を伸ばすイメージで、ゆっくり舌を回すこと。口を閉じた状態で、歯の裏側ではなく表側を回すようにします。左右20回で1セット、一日3セットが目安です。
①口の中で、右回りで大きく円を描くように舌を回します。2秒で1周を目安に20回。
②左回りも同じように20回、回します。こちらの記事も参考にしてくださいね。
先回りのスキンケア
たるませないスキンケアで大切なのは、肌のうるおいを保ち、ハリや弾力維持に必要な美容成分をしっかり届けて、健康な肌の再生を促すことです。肌の弾力を左右する真皮にダメージを与えないためにも、「紫外線対策」はマスト。次いで、たるみケアに欠かせないのが「マッサージ」ですが、皮膚が余っているわけですから、やり過ぎないこと。セルフマッサージの場合は、ダイエット中&ダイエット後も、不要な水分や老廃物の流れを促すようやさしいタッチで行いましょう。顔と一枚でつながっている頭皮のマッサージもリフトアップには効果的です。
焦らずにダイエットして肌のハリをキープ!
いかがでしたか?せっかくのダイエット。1ヶ月1kg、3ヶ月で3kg痩せたら、2ヶ月はキープすることを頑張り、筋トレを続けながら肌の再生を待つ。それくらいのスタンスで、早急に体重を落とすことに捕らわれないようにしましょう。締まった体とハリのある肌で「やつれた」「老けた」なんていわせない成功を手に入れたいですね。