見た目年齢を変える「成長ホルモン」を増やす3つのポイント
若々しい印象で美しく年齢を重ねていきたい。そんな女性の思いに応えるべく、巷には老いに対抗するあれこれが溢れています。「−5歳」「−10歳」は美容の常套句ですが、成長ホルモンは私たちの体内でつくり出すことができる究極の美肌・若返りホルモンです。身長を伸ばすだけが役割ではないことを理解して、成長ホルモンを増やす具体的な方法を紹介していきたいと思います。
目次
アンチエイジングとは老化の速度を緩めること
見た目年齢を左右するのは「成長ホルモン」
加齢とともに減少する成長ホルモン
成長ホルモンを増やす3つのポイント
ポイント1 絶対に必要なこと。それは質の良い睡眠
ポイント2 無酸素運動で筋肉量を保つ「スロースクワット」のやり方
ポイント3 成長ホルモンの材料はアミノ酸
アンチエイジングとは老化の速度を緩めること
直訳すれば「抗加齢」「抗老化」。語彙の強さから、まるで歳をとってはいけないようなイメージさえ受ける「アンチエイジング」。しかし、どんなに平均寿命が伸びても、人の体のピークは20歳前後です。そこからは徐々にパワーダウンするのは自然なこと。加齢によるさまざまな症状が出現するのは、人生100年時代になっても同じです。
しかし、多くの研究成果やサイエンスの進歩によって老化の速度を緩やかにできることが分かってきました。それは美容の分野に限ったことだけではありません。はつらつとすこやか生きるために、医療の分野でも介入が始まっています。アンチエイジングは、最新の科学的知識を利用して、若々しく、健康に年を重ねていくための一つのプロセス。老化に逆らうことではありません。
見た目年齢を左右するのは「成長ホルモン」
すこやかに美しく年齢を重ねるために、意識を向けるべきものがあります。それは、脳の下垂体から分泌される「成長ホルモン」です。身長を伸ばすホルモンとしてよく知られていますが、役割はそれだけではありません。骨や筋肉の代謝にも、糖や脂質やタンパク質の代謝にも成長ホルモンは必要です。肌のターンオーバーや脂肪燃焼にも必要なのです。つまり、私たちが生きていくために、生涯必要なホルモンこそ、この成長ホルモンなのです。
加齢とともに減少する成長ホルモン
生涯にわたって必要な成長ホルモンですが、残念なことに、10代の成長期まではたっぷり分泌されるものの、20代から早くも減少モードに入ります。30代~40代で約50%、60歳では30%まで減っていくといわれるほどの急降下。そのため、代謝が低下して太りやすくなったり、肌細胞の修復や再生が遅くなってシミやしわが出来たり。毛根にも影響を与えるため、女性であっても髪の毛の量にも変化が現れます。疲れやすさや筋肉量の低下にも成長ホルモンは関与しています。しかも、精神的ストレスや睡眠不足、糖分の取り過ぎなども成長ホルモンの分泌の妨げになるとされています。
成長ホルモンを増やす3つのポイント
年齢を重ねるごとに成長ホルモンの分泌量が減少していくことは万人に共通すること。しかし、同じ年齢でも若々しい人とそうではない人が存在するのはどうしてなのでしょうか?その相違こそが成長ホルモンの分泌量の差ということは大いに考えられます。加齢により減少する成長ホルモンですが、諦めることなかれ!日常生活の中で増やすことができるのです。
成長ホルモンを増やすポイントはすばり3つ。「睡眠」「筋トレ」「アミノ酸」です。順番に説明していきましょう。
成長ホルモンを増やすポイント1:質の良い睡眠
昔から「寝る子は育つ」といわれますが、決して迷信ではありません。成長ホルモンは寝ている間に最も分泌が盛んになるからです。それは大人も同じです。成長ホルモンは約7割が寝ている間に分泌されます。ただし、寝入りばなのノンレム睡眠(体も脳も休む深い睡眠)のときに分泌されるので、入眠が浅ければ成長ホルモンは分泌されません。成長ホルモンの分泌に限っていえば、睡眠時間の長さは関係なく、いかにスムーズに入眠できるかです。それほど深い睡眠が大切なのにもかかわらず、自ら入眠を妨げることをしているのが現代を生きる私たちともいえます。深い眠りにつける環境を整えているか、今一度見直してみましょう。
【深い眠りにつくためのポイント】
◼︎部屋を真っ暗にする
◼︎眠りに就く3時間前までには食事を済ませる
◼︎就寝前に軽いストレッチや入浴をして体を温める
◼︎血糖値を上げない(精製飲料、スナック菓子、甘い物は控える)
◼︎夜はカフェインを控える
◼︎就寝一時間前はパソコン、スマホ、テレビを切る
◼︎起きたら朝日を浴びる
成長ホルモンを増やすポイント2:無酸素運動で筋肉量を保つ
7割が睡眠で促される成長ホルモンの分泌。残りの3割は「運動」と「空腹」といわれています。特に筋トレや加圧などの無酸素運動が、成長ホルモンの分泌を促します。「筋トレ=成長ホルモン」という図式が広く知られているのも、このためです。しかし、成長ホルモンの分泌を促す無酸素運動ではないからとウォーキング、ランニングなどの有酸素運動をないがしろにするのはNG。有酸素運動には、肌細胞に酸素や栄養を行き渡らせて、ターンオーバーを活発にする重要な働きがあります。無酸素運動と有酸素運動の両方を行うことが大切です。また、同時に行う場合は、筋トレが先、有酸素運動は後の順番で行うようにしましょう。有酸素運動を20分以上すると、成長ホルモンの分泌を妨げる遊離脂肪酸が血中に多く出てしまうからです。ランニングなどで体を動かしてから筋トレをするという人もいますが、成長ホルモンを考えると実は逆であることを覚えておきたいですね。
全身、お腹のシェイプアップにも有効 「スロースクワット」
スクワットはカロリー消費量の多いトレーニングです。なかでも「スロースクワット」は、軽い負荷でお腹のシェイプアップ効果も期待できる筋トレ。太ももの前が熱くなり、お尻と太ももの後ろの筋肉がストレッチされている感覚を確認しながら行いましょう。
【スロースクワットのやり方】
①肩幅と同じくらいに足を開いて真っ直ぐに立ち、手を耳の横に置いた状態、または胸の前で両手を合わせた状態で、やや腰を落として立ちます。
②5秒かけてゆっくりとひざを曲げます。ひざが床と水平になるまでお尻を下げていきましょう。(ひざがつま先より前に出ないように注意)
③同じく5秒かけてゆっくり元に戻します。ひざを真っ直ぐに伸ばし切らないところで止めて、②③を繰り返します。
④一回あたり1分を目安に、一日5~10回行います。
ここではスロースクワットを紹介しましたが、運動は成長ホルモンのほかに「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌も促します。セロトニンは脳内伝達物質で、安らぎを与える働きがあります。ストレスも成長ホルモンの妨げになりますので、運動によって成長ホルモンだけではなく、セロトニンの分泌も増やすことができれば一石二鳥というわけです。
成長ホルモンを増やすポイント3:成長ホルモンの材料はアミノ酸
成長ホルモンはタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質の材料となるアミノ酸を取ることが重要です。アミノ酸のグリシン、オルニチン、アルギニン、リジンなどは、下垂体に働きかけ、成長ホルモンの分泌を刺激する作用があるとされています。特にグリシン、アルギニン、リジンは体内で作り出すことができない「必須アミノ酸」。食事やサプリメントから摂取する必要があります。下記のアミノ酸が豊富な食品を日常的に取るようにしましょう。
【アミノ酸が豊富な食品】
卵、肉(牛肉、鶏肉、豚肉)、魚介類、大豆、チーズ、ナッツ類など
ナッツ類が含む植物性タンパク質は、美肌や発毛を促進し、そのほかの細胞を形づくる役割をしています。ただし、ピーナッツはナッツ類ではなく豆類なので、ご注意を。近年では通常のスーパーなど、どこでも簡単に入手できるようになったスーパーフード「キヌア」「チアシード」は、9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質なタンパク源。普段の定番メニューに追加したいですね。
成長ホルモンは空腹時に分泌される
成長ホルモンはお腹が空いているときに分泌が促されるという特徴があります。しかし、デスクワークであったり、運動不足であったり、間食が多かったりすると、なかなか空腹を感じないも事実です。実際にあまりお腹が空いていないのに「お昼だから…」「夕飯の時間だから…」と何か食べなくてはと思ってはいませんか?夜もベッドに入る3時間前には食事を済ませて、空腹を感じて目覚めるのが、成長ホルモンにとっては理想です。なかなか理想通りにはいかないことも多いでしょうが、「空腹の時間」がある生活を心がけましょう。よく噛んでゆっくり食べることは、食べ過ぎの防止、消化の促進、活性酸素を減らすなどの効果があります。
自ら成長ホルモンを増やす生活を!
これまでご紹介したポイント以外にも、成長ホルモンを味方につけた見た目年齢対策としては、成長ホルモン自体を注射によって投与する方法もあります。若さを追及するハリウッドスターや政治家などの間では、日常的に行われているようですが、費用もかかり、また長い目で見た際の安全性についても疑問を抱く声もあります。まずは、すこやかさと美しさを確実に後押しする安心で安全な対策を行うこと!「睡眠」「筋トレ」「アミノ酸」を意識して、自ら成長ホルモンを増やす生活を始めてみましょう。