マスクが手放せない今夏。肌の蒸れや摩擦「マスク荒れ」に注意!
緊急事態宣言は解除されたものの、まだノーマスクとはいかないのが現実です。WHO(世界保健機関)は「新型コロナウィルスは今後、長期に渡って地球上から消えることはない」との見解を示したのも記憶に新しいところ。すでにマスク生活による肌トラブルを感じている方も多く、「マスク荒れ」という言葉も飛び交っています。肌にとってマスクの着用が厳しい夏は、これからが本番。マスクをつけ続けることでの肌トラブルの原因と対策に加えて、予防法をご紹介します。
マスクが引き起こす肌荒れの原因は5つ
1. 汗やムレによる雑菌の繁殖
第一の原因は雑菌の繁殖です。特に口の中は清潔を心がけても雑菌をゼロにすることはできません。口から息を吐けば少なからず雑菌が排出され、排出された雑菌はマスクの内側に留まります。加えてくしゃみや咳はもちろん、しゃべることでも飛沫が出ます。飛沫にも雑菌が含まれていますから、マスクの内側は無数の雑菌充満状態というわけです。
ちなみにマスクをすると、普段は鼻呼吸ができている人でも口呼吸が増えるといわれています。しかも吐く息の温度は体温とほぼ同じ。マスクを付けた口元は40℃くらいになることもあるそうです。40℃とは、動かずにジッとしていての汗が噴き出す温度。呼気と口の周りから出た汗で、マスクの内側はムレムレの状態です。蒸れは雑菌の大好物。マスク生活であご周りのニキビが悪化した人は、マスクによる汗や蒸れによって雑菌の繁殖が進んだことが原因であることは大いに考えられます。また、蒸れてふやけた肌は傷つきやすく、刺激に弱くなるのです。
2. マスクと肌の摩擦
マスクによる摩擦も肌トラブルを引き起こします。「接触性皮膚炎」と呼ぶものですが、肌の赤みやかぶれ、ヒリヒリ感などがあります。ティッシュで鼻をかみ過ぎたときの症状に似ています。それはマスクの擦れによって角層がダメージを受け、バリア機能が低下した状態です。バリア機能が低下すると、本来は刺激にならない物質までもが刺激になってしまいます。
摩擦で生じた微細な傷からニキビが誘発されることもあります。大き過ぎてブカブカのマスクも小さ過ぎて食い込んでしまうマスクも、必要以上に摩擦を起こして肌に刺激を与えてしまう恐れがあるのです。話しをするたびにマスクがずれたり、鼻がマスクから見えてしまったりする場合は、摩擦は確実に起こっています。
さらに、摩擦は紐が原因になることもあります。細過ぎる紐、緩い紐は要注意です。マスクがずれやすいからです。耳の付け根や耳の裏が痛くなる紐も、肌を圧迫しています。長い目で見れば色素沈着にもつながる圧迫です。ショーツのゴムがあたる部分の肌が黒ずんでしまうのと同じであることを念頭に入れておきましょう。
3. 素材が肌に合わない
マスクの素材が肌に合わなくて、アレルギー反応を起こしてしまうこともあります。マスクの素材も今は多様化していますが、一般的に不織布マスクの方が摩擦は強く、肌への刺激も強い傾向にあります。化学繊維のため、痒みやかぶれが発生することもあるようです。接着に使われる樹脂や、抗菌剤がアレルゲンになってしまうことも考えられます。ただし、ウイルス対策として優れているのは不織布マスクです。一方で、肌へのやさしさで選ぶならオーガニックコットンやガーゼなどの天然素材。今後は新型ウィルスの感染状況や3密空間など、TPOに応じて使い分けていきたいものです。
ちなみに不織布は繊維や糸を熱や機械で接着させたり絡ませたりして、シート状に製造したもの。言葉通り繊維を織っていないのが特徴です。不織布マスクの中にも「シルク配合」「敏感肌用」などをうたったものが販売されています。同時に天然素材に特殊フィルターなどを縫い込んだものも登場し始めているので、今後に期待です。
4. マスクを外した時の乾燥
マスクの内部は湿度が高いので、肌がしっとりしているように捉えがちですが、それは勘違いです。肌の表面に水分が付着しているだけ。マスクを外せば蒸発していく水分です。しかも厄介なのが、蒸発するときに角層のうるおいも一緒に奪ってしまうこと。肌の乾燥はバリア機能の低下を招きますので、外からの刺激を一層受けやすくなってしまいます。
5. 不衛生であること
「短時間しか使っていないから」と、使い捨てマスクを翌日も使ってしまったり、洗濯を怠ったり。心当たりはありませんか。マスクに付着した花粉やホコリ、汚れは肌にとっては外からの刺激。肌荒れの原因となる場合があります。布マスクの洗濯は、洗濯機ではなく一枚一枚手洗いするのがベストです。他の洗濯物や他のマスクから菌やウイルスが付着するのを防ぐリスクを少しでも減らすためです。
肌荒れを防ぐマスク選び、どうしたらいい?
ここまではマスクが引き起こす肌荒れの原因を見てきましたが、原因から分かるのは「一日中マスクを着けている状況は、肌にとって大きなストレスである」ということです。しかもこれからの季節は、熱中症のリスクも考えてマスクを使用していかなければなりません。十分な知識を持って、夏を乗り切りましょう。
1. マスクの素材を吟味する
自宅には冬や春に手に入れたマスクのストックがたくさんあるという方も多いことでしょう。しかし季節は夏。これまで以上にマスク内の温度に注意を払わなければなりません。そこで味方につけたいのが、多くのメーカーが独自の素材と技術で開発している夏用マスクです。蒸れにくく、息苦しくなりにくいのが特徴ですが、素材はさまざま。美容を考えるなら、摩擦の少なさや肌触りにこだわりたいものです。とくに敏感肌やアレルギー体質の人は、マスクをするだけで肌に負担がかかっていることを忘れずに。着用してこそのマスクでもあるので、積極的につけたいと思えるようなお気に入りのマスクを見つけたいですね。
2. 機能性をチェック
機能面では人気急上昇の接触冷感や涼感、抗菌、通気性、速乾、防臭・消臭、UVカットなど。これもまたさまざまですが、ひんやりとした付け心地はやはり心地のよいものです。ただし、冷感マスクだからといって体温が劇的に下がるものではありません。基本は冷房の効いた室内用。猛暑の屋外では注意が必要です。マスクをした状態では、自分の呼吸によって温かい空気しか入ってこないので、体温を上昇させてしまうことも考えられます。
また、通気性を求め過ぎると本来の効果が薄れるリスクはあります。「3密」空間では不織布製など、ウィルス防止・飛沫防止効果の高いマスクを着けるのが適切です。素材や構造による効果の違いを理解して、熱中症の危険も考えながら使い分けていきましょう。
3. UVカットマスク選びに大切な指標「UPF」
マスクの機能としてもう一つ、知っておきたいのがUVカット効果。UV加工の方法は、紫外線を吸収もしくは反射する成分を糸に練り込んで作られた「UVカット素材」タイプと、製品に加工を施す「UVカット加工」タイプの2種類があります。洗濯を繰り返しても効果が長く続くのはUVカット素材といわれています。また、製造会社によっては、何回洗濯したら効果が無くなるのかをちゃんと明記した商品もあります。
さらに、UVカット効果のあるマスクには、どれくらい紫外線を防げるかを示す指標が記されています。日本基準の「紫外線遮蔽率(しゃへいりつ)=UVカット率」と、世界基準の「UPF=紫外線防護係数」です。
【繊維製品の日焼けを防ぐ指標】
・紫外線遮蔽率
生地がどれだけ紫外線を遮るかを%で示したもの。
・UPF
皮膚への影響を複雑な計算式で算出し、4段階の数値で格付けしたもの。UPF30は素肌に比べて30倍日焼けしづらくなるという意味になります。
UPF15 | Medium |
UPF30 | Good |
UPF50 | Excellent |
UPF50+ | Excellent |
ここでなぜUPFを紹介したかというと、UPFははっきりとした数字での指標があるため分かりやすいためです。一般的なマスクはUPF5程度。日焼け止めクリームのように肌への負担を気にする必要がないので、数値が高いものを選んだほうが効率よく紫外線対策ができます。紫外線遮断率90%以上、UPF 30以上で数値が高いほど効果を望めるのでおすすめです。
4.息苦しくなく、かつ口紅がつきにくいのは「立体形状」と「オメガ(Ω)折り」
「マスクをするからリップメイクはしない」という声もありますが、「マスクを外した時のことを考えると口紅を塗っておきたい」という人もいます。マスクに口紅の色が移るのを防ぐには、テッシュオフをしてからマスクをつける、落ちにくい口紅やリップコートを使うといった方法がありますが「立体形状」「オメガ(Ω)折り」のプリーツマスクを選ぶのも手段です。
オメガ折りとは、プリーツの山が真ん中にくるように折られたもの。マスクに唇が付かないように、口元が一番高くなっています。ちなみに、プリーツの谷間が下を向くものは「段々折り」。空気中の浮遊物が溜まりにくいように、谷間が下を向いています。
マスク荒れを防ぐために意識したいビューティーティプス
1. 肌荒れ対策。まずは肌を清潔に保つことから
ゴシゴシ洗って、バシャバシャ流したくなる夏の洗顔ですが、肌はマスクでお疲れモード。それは絶対にやってはいけないNG行為です。とはいえ、汚れが落とし切ることができなければ、さらなる肌荒れを招きます。帰宅してマスクを外したら、肌への負担が少ないクレンジング剤や洗顔料を選んで、まずは丁寧に落とすケアを行いましょう。夕食の支度など、「帰宅してすぐに洗顔なんてできない」人もいると思いますが、できるだけ早く雑菌の温床から肌を解放させてあげてください。マスクの汗や蒸れによってニキビが出来てしまっている場合はなおさらです。
2. 炎症をともなっている場合には冷やす
バリア機能の低下や摩擦による菲薄化(ひはくか=表皮が薄くなること)で、赤みやヒリヒリ感があるときは、冷やします。保冷剤はとても便利です。肌に直に当てるのではなく、清潔なガーゼなどにくるんでから当てると良いでしょう。
3. 十分な保湿で肌を落ち着かせる
夏は紫外線量が増えるため、紫外線による乾燥ダメージも加わります。肌の乾燥を防ぐためには、何より保湿のケアが大切です。化粧水でたっぷりの水分を補った後、乳液やクリーム等で水分が逃げないためのケアが必要です。「夏は化粧水と美容液だけ」という人がいますが、化粧水も美容液も一般的には水溶性のスキンケア製品です。油溶性の乳液やクリームは摩擦の軽減にも役立つアイテムです。既に荒れが気になる場合は、肌荒れを抑え敏感な肌でも安心して使用できるスキンケア製品での保湿をおすすめします。
4. UVカット効果のあるマスク下にも日焼け止めを
UVカットマスクを着用していても油断は禁物です。日焼け止めクリームやヌーディーヴェールのような紫外線防止効果のある化粧下地を、首も含めて顔全体に塗るようにしましょう。熱中症対策の上からも絶対に外さないということはあり得ないからです。日焼けしやすい耳の周りも忘れずに。また、日焼け止めはマスク内の呼気によっても落ちやすいので、塗り直すようにしたいですね
5. マスクの長時間使用は避ける
マスクによる肌荒れを防止するには、なるべく長時間着け続けないようにすることも大切です。使用する時間を少なくして肌への負担を減らしましょう。長時間着用する場合は、定期的に外して換気する必要があります。汗をかいたらこまめにティッシュで押さえることも大切なケアです。衛生的に保つ意味では、午前と午後で1回ずつ変えるのがおすすめです。
6. マスクにコットンを挟む
3密空間などでのウイルス対策で不織布マスクを着用する時は、マスクと顔の間にガーゼを挟むと、肌荒れ防止になります。呼気により排出された水分をガーゼが吸い取り、マスク内側の湿度を下げてムレを防ぐことができるからです。間に入ったガーゼが肌とマスクの摩擦も防ぐため、擦れによる肌荒れの対策にもなります。挟むガーゼはマスクと同じくらいのサイズが望ましく、挟んだガーゼが湿ってきたら交換。複数枚のガーゼを用意しておくと、心地よい状態で過ごすことができます。
7. 水分をこまめに補給
夏はマスクの着用による熱中症のリスクも頭に入れておかなくてはなりません。マスクをしていると熱がこもりやすいことに加えて、湿気で喉の渇きを感じにくくなってしまいます。水分は喉が乾いていなくてもこまめに補給。人との距離が保てる場所ではマスクを外しましょう。
毎日のお手入れで、トラブルに「負けない肌」を!
気象庁による3ヶ月予報では、全国的に平年並か高い気温の夏になりそうな今年。新型コロナウィルスの感染予防と熱中症対策を同時に行わなければならないという状況は、世界の誰もまだ経験したことがありません。対策は手探りでもあります。しかし、マスクによる刺激に打ち勝つことのできる、トラブルに「負けない肌」を育むためにも、毎日のお手入れで肌のバリア機能のアップさせることはとても大切です。最新情報にもアンテナを張って、猛暑を乗り切っていきましょう。