温活上級者を目指せ!熱エネルギー、つくれていますか?
温活のすすめとして「ヒートショックプロテイン入浴法」を以前にご紹介しました。体温を38℃に上げで傷んだ細胞を修復する入浴法ですが、今回は体が冷える理由をしっかりおさらいしつつ、良かれと思って行いがちなNG温活にもフォーカスしてみました。しっかり体の中から熱エネルギーをつくり出す温活を今冬の課題にしてみましょう。
目次
体が冷える3つの理由をおさらい
有効とされる温活に潜む落とし穴!「NG温活」とは?
「NG温活」を卒業して、有効な「OK温活」を習慣に
冷えの悪影響は体だけでなく肌も!
温活で体も肌もトラブル知らず
体が冷える3つの原因をおさらい
夏に比べて20℃以上気温が下がる冬。深部体温を維持するために、血管を収縮して手足末端に行き渡る血流を減少させ、血液を体の中心に集めるので、特に手足の冷えを感じるのは自然なことです。しかし、もこのような「冷え」が慢性的になってしまっている方もいます。原因は大きく分けると3つ。
熱エネルギーを「つくれない」「運べない」「保てない」ためです。逆をいえば、熱エネルギーをつくれて、運べ、保つことができれば、体温の温かい体を維持できるというわけです。では、この3つの原因を深掘りしていきましょう。
原因その1 栄養不足、筋肉不足で熱がつくれない
熱をつくるのに何よりも必要なものとは、食事から取る栄養素と筋肉です。体は食事がおろそかになっていたり、筋肉量が少な過ぎたりすると生み出せる熱は減少してしまいます。食べ物が消化され、吸収されて代謝に回る過程で熱が発生するからです。さらに一日につくられる熱量の約4〜6割は筋肉でつくられています。運動をせず、ただ食事を減らすだけのダイエットが、冷えにつながるのも十分に理解できます。また、基礎代謝が低い人は冷えを感じやすい傾向があります。基礎代謝が低いと、摂取した栄養をエネルギーに変える効率が悪くなってしまうからです。
原因その2 血流が悪いとつくられた熱が全身に届かない
体内でつくられた熱を全身に運ぶのは血液です。血の巡りが良くなかったらどうでしょうか?毛細血管まで温かい血液が流れていくことができなくなります。特に熱が届きにくいのは、心臓から離れた手足の指先や下半身です。下半身は冷え冷えなのに上半身は熱くてほてる経験をしている方も少なくはないかもしれません。これは、下半身に血が回らず、上半身が熱オーバーな状態になっているためです。
さて、その血行不良ですが、原因は交感神経のバランスが大きく関係しています。手足などの末梢の血流は自律神経の働きによって調節されているからです。冷えは気温が関係しているのも事実ですが、気温だけが原因でないことは、真夏でも手足が冷える方がいることからも分かります。自律神経は血液循環、呼吸、体温調節などの機能を調整するために、24時間働き続けてくれています。生命維持に欠かせない神経ですが、ストレスがかかると交感神経が緊張してしまいます。その結果、もたらされるのが末梢血管の収縮による血行不良。この冬は、コロナ禍での不安や緊張も冷えの原因になっていることも大いに考えられるのです。
原因その3 水分過多、脂肪過多で体内の熱を保てない
「水はたくさん飲んだ方が良い」。これは間違いではありません。しかし、一日2ℓといわれる水分補給は、汗や尿で水分を十分に排出できていることが前提の話です。余分な水分は体を冷やしてしまうのです。
「痩せている人は寒がり」。こちらも間違いではありません。「脂肪布団」などという言葉があるように、確かに皮下脂肪は寒い冬、外気から身を守る断熱材として働きます。ただし、皮下脂肪には血管がほとんどなく、筋肉のように熱をつくり出す力はありません。一度冷えてしまうと温まりにくく、断熱材どころか逆に体を冷やしてしまうのです。
有効とされる温活に潜む落とし穴!「NG温活」とは?
冷えをもたらす3つの原因、理解できましたでしょうか?さらに良かれと思って行っている温活の中にも考え直した方が良い温活もあります。一見体を温めているようでも、一時的なもので、その後体を冷やしてしまうものがあるからです。ここでは「NG温活」としてご紹介していきます。心当たりはありませんか?
NG温活その1 朝昼夜、食事は3食しっかり取る
熱エネルギーをつくり出すために食事は大切な日常習慣です。ただし、食べ過ぎは冷えにつながります。食べ過ぎると消化吸収のために胃腸に血液が集中してしまい、筋肉や排泄に関わる臓器まで血が回らず、熱を全身に届けることができなくなってしまうからです。
NG温活その2 代謝アップのために水をたくさん飲む
汗もかかない状態で無理に大量の水を飲んでも、細胞に水が溜まるだけ。白湯とて一時的に体を温めるには効果的ですが、体の中でずっとお湯でいてくれるわけではありません。余分な水分は血管を圧迫し、血流を悪化させて冷える、という悪循環に加担してしまいます。
NG温活その3 足が冷たいから靴下を履いて寝る
眠りにつくには足裏から放熱して皮膚温を下げることが必要です。靴下はその放熱を妨げてしまいます。睡眠中に足裏の汗がこもるのもNG。靴下によっては血管を締め付けて冷やしてしまうこともあります。レッグウォーマーはありですが、靴下は脱いで寝るようにしましょう。
NG温活その4 厚手の素材で防寒
厚手のセーターやコートは一見温かそうですが、重みが空気の層をつぶしてしまうことがあります。ダウンが温かいのも、羽毛は多くの空気を取り込むことができるから。羽毛が温かいのではなく、空気の層が最強の断熱剤になっているのです。厚手のトップスを1枚着るより、通気性のよい薄手の重ね着や腹巻をするほうが保温力はアップします。ちなみに、有名メーカーの「ヒートテック」は体から出た汗の水蒸気を吸着し、その水蒸気が水に変わるときに発生する熱を利用して開発されたもの。カイロは外側から体を温める一時的アイテムです。
「NG温活」を卒業して、有効な「OK温活」を習慣に
今は便利な温活グッズがたくさんあります。もちろんそれらを味方につけて、温活を楽しむことも続ける一つのポイントですが、バランスのよい食事、適度な運動、全身入浴、質の良い睡眠のサポートなくして冷えは改善できません。基本を大切に、毎日の生活に以下の「OK温活」を心がけましょう。
OK温活その1 全身運動と全身入浴は冷え改善の基本
手足が冷える人、下半身が冷える人、お腹が冷たい人、体温が低くて全身が冷えている人など、冷えにもタイプがありますが、ウォーキングのように全身を使った運動は、血流改善や基礎体温アップが期待できます。
理想は一日30分ほどのウォーキングを続けることですが、大股で姿勢良く、さらに腕を振ることができれば全身を使って歩いていることになります。座り仕事の人に多い下半身の冷えは、お尻の筋肉をほぐすことで血流改善が期待できます。お風呂に入りながらもできますね。その入浴は、ヒートショックプロテイン入浴の日以外の日も毎日しっかり湯船につかりましょう。髪の毛を洗う順序もお湯にしっかりつかって温まってからです。
OK温活その2 体を温める食材を積極的に取る
真面目に温活を考えるなら、体を冷やす食べ物を単体で取るのは避けたい行為です。そこで知っておきたいのが、体を温める食材と冷やす食材。一例を挙げておきますので、傾向をつかむ参考にしてください。
体を温める | 体を冷やす | |
野菜 | 根菜、いも類 | 葉もの、トマト |
肉・魚・ 魚介 | 牛肉、鶏肉、羊肉、サバ、鮭、マグロ、サンマ、ウナギ、カツオ、エビ、 カニ、イカ、タコ、貝 | 白身、脂身 |
炭水化物 | そば、玄米 | うどん、白米、白パン |
豆類 | 小豆、黒豆、納豆 | 大豆 |
飲み物 | 紅茶、ウーロン茶 | 緑茶、牛乳、コーヒー |
果物 | 北方産(リンゴ、サクランボ、 ブドウ、プルーン) | 南方産(バナナ、パイナップル、 ミカン、スイカ、メロン、マンゴー)、柿、梨 |
調味料・ 香辛料 | 酢、塩、醤油、味噌、ニンニク、コショウ、シナモン、トウガラシ、山椒 | 酢、マヨネーズ、植物油 |
体を温める食材を覚えるポイント
・根菜のほとんどは体を温める
地面の下に埋もれているものは体を温める性質を持っていて、根菜類やイモ類は自分に熱があるので、熱い太陽から逃れようとして地面の下へ深く伸びて育つのです。逆に体を冷やす食べ物は熱を得ようと、太陽に向かって伸びていきます。
・色の濃いものの多くが体を温める
トマトや柿などの例外もありますが、赤、黒、オレンジなど色の濃い食材は、体を温める働きが強い傾向があります。肉や魚も白身より赤身です。
・旬が冬の食材、寒い地域でとれる食材
一例としては、カボチャやカリフラワー、ネギ、ゴボウ、ニンジン、レンコンなど。鮭やマグロなど北の海でよくとれる魚も体を温める働きがあります。
・タンパク質は熱を生む
炭水化物でお腹をいっぱいにするのではなく、タンパク質を積極的に取りましょう。
OK温活その3 食材の組み合わせや温かいメニューを考える
体を温める食材同士、たとえばニンジンとゴボウの組み合わせのきんぴらは、体を温めるばっちりのメニューです。鍋やスープの具材にも体を温める食材を選べば、体はよりぽかぽかに温まりますね。温めるメニューのレシピをシリーズで紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
また、覚えておきたいのが、体を冷やす食べ物も発酵や天日によって温める食物に変化するということ。たとえば、緑茶は発酵によって紅茶に。牛乳も発酵によってチーズに。大根の場合、生は体を冷やしますが、切り干し大根は温める野菜に分類されます。
OK温活その4 足が冷えないうちにベッドへ
人の体は手足から放熱することで深部体温を下げ、休息モードに切り替わります。体が冷えているとこの体温調節がうまく機能せず、寝付けなかったり、眠りが浅くなったりしがちです。お風呂で体を温めたら、足が冷えないうちに布団に入りましょう。足先が冷えて眠れない時はゆたんぽや電気毛布を。ただし、電気毛布のつけっぱなしで皮膚温が上がると、水分をたくさん奪われてしまうので、ベッドを温めるためのものとして使うのが理想です。湯たんぽは徐々に冷めるので余分な水分を奪わないためおすすめです。
OK温活その5 使い捨てカイロ。貼るなら正しい部位に
一時的に体を温めるにはとても便利な使い捨てカイロ。貼る場所によって得られる効果は違います。腰から下、下半身が冷える場合は腰の真ん中に。尾てい骨の上にある仙骨も温めておくと良いでしょう。全身の冷えには後ろの首の付け根にある骨の出っ張り(第七頸椎)に。全身を温めるツボがある場所です。肩こりを和らげ、自律神経のバランスを整えてリラックス効果も期待できます。
お腹が冷たい時は、おへその下にある丹田に。内臓が温まり温かい血液が全身に巡り、効率よく体を温めることができます。
【使い捨てカイロを貼るおすすめの位置】
冷えの悪影響は体だけでなく肌も!
体の冷えは、不快感と体への影響に焦点を当てがちですが、もちろん肌にも多大な悪影響を与えます。女性は男性よりもさらに肌トラブルとして現れやすいともいわれています。
冷えは肌へなぜ悪影響を与えるのでしょうか?体が冷えることで血行が悪くなり、肌のターンオーバーに欠かせない栄養や酸素を十分に行き渡らせることができなくなります。そのため、ターンオーバー周期が乱れ、さまざまな肌トラブルが起こりやすくなるのです。さらに体が長期間にわたり冷えることでホルモンバランスを崩しやすくなります。そこで、さらに肌トラブルを誘発するという悪循環に陥ってしまいます。
冷えがどのような肌トラブルの原因の一つとなるか確認してみましょう。
【体の冷えが誘発する肌トラブル】
乾燥、シミ、くすみ、むくみ、くま、ごわつき、黒ずみ
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温活で体も肌もトラブル知らず
いかがでしたか?体の冷えは、体や肌にさまざまな悪影響を与えることを考えると、温活はマストであることが分かります。ご紹介した「OK温活」とともに、冬のスキンケアは乾燥対策にフォーカスしがちですが、顔がぽかぽかに温まるセルフマッサージなどもお手入れに加えて、徹底的に冷えを改善していきましょう。