「塗るボトックス」知っておきたいアルジルリンの基礎知識

目尻のしわや眉間のしわ。感情に素直で表情が豊かな証ではあるものの、年齢を感じさせたり、きつい印象を与えたりと、できれば刻みたくないしわですよね。素早い改善方法として、最も効果的なのは、美容医療によるボトックス注射ですが、スキンケアにおいても心強い味方となる成分があります。別名「塗るボトックス」「ボトルに入ったボトックス」と謳われる美容成分、「アルジルリン」です。年齢を重ねた肌に必須の美容成分の働きとその効果についてご紹介します。

 

しわの種類。大きく分けると3つ

加齢とともに肌の悩みに加わる顔の「しわ」。ひとまとめにしがちですが、しわには種類があり、大きくは3つに分けられます。

まずは、肌の表面に現れる乾燥性の「小じわ」。若い人の肌にも見られる浅いしわで、保湿で肌がうるおわせることで大幅に改善できます。次に、笑ったり顔をしかめたり、表情をつくるときにできる「表情じわ」が挙げられます。額の横じわや眉間の縦じわ、目じりの笑いじわなどが該当します。若いときの表情じわは元に戻りますが、年齢を重ねて肌に弾力がなくなれば、いつのまにか消えないしわへと成長してしまいます。3つ目は、コラーゲンやエラスチンなどが減って皮膚がたるんで折り目ができ、それが固定されてしまう「加齢じわ」です。ほうれい線や口もとのマリオネットラインなどがこのしわに当たります。コラ-ゲンやエラスチンなどにダメ-ジを与える紫外線も大いに影響を与えています。

表情じわには、何はともあれアルジルリン

「小じわ」「表情じわ」「加齢じわ」。今回、ご紹介する美容成分アルジルリンがターゲットとするのは、ずばり「表情じわ」です。表情じわは年齢に関わらずできるものですが、肌にハリがなくなると目立ちやすく、元の状態に戻りにくくなってしまいます。必要以上に表情筋が収縮して硬くなってしまうことが原因です。

顔にはおよそ30個の表情筋があり、これらの筋肉が伸びたり縮んだりして私たちの表情はつくられています。たとえば、目や眉の表情には主に眼輪筋、皺眉筋、前頭筋が、口角を上げる表情には大頬骨筋、小頬骨筋、頬筋、笑筋などが関わっています。

「塗るボトックス」知っておきたい「アルジルリン」の基礎知識

美容成分「アルジルリン」

アルジルリンはスペインの「リポテック(Lipotec)」社によって開発された美容成分です。美容先進国でありながらスペインでは、法律でボトックス注射が禁止されていたため、同じ働きをする「しわ対策」成分の開発が必要だったという背景もあり誕生しました。

別名は「塗るボトックス」「ボトルに入ったボトックス」。筋肉を収縮させる神経伝達物質の放出を抑制することによって、表情じわが刻まれるのを防ぐ役割を担う成分です。もはやスペインのみならず、表情じわに働く画期的な成分として、世界中のさまざまな製品に配合されています。

アルジルリンが「塗るボトックス」と評される理由

「ボトックス注射をしたことがある」あるいは「ボトックス注射を続けている」という方もいらっしゃるでしょう。ボトックスはボツリヌス菌から抽出したタンパク質成分を使用した薬剤です。神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」の放出を抑え、その結果、筋肉の動きを一時的に弱める作用があります。

表情筋もそうですが、筋肉を動かすには神経伝達物質の放出が必要です。逆に神経伝達物質の放出を抑えれば、筋肉の動き(収縮)は低減します。つまり、しわが寄りづらくなるというわけです。そのため、アルジルリンが「塗るボトックス」と呼ばれるのは、表情筋を緊張させる神経伝達物質の放出を抑えることができるから。理にかなった成分なのです。

アルジルリン、気になる安全性は?

「塗るボトックス」知っておきたいアルジルリンの基礎知識

理にかなっているとはいえ、筋肉の動きを弱めると聞くと「ちょっと怖い」という印象を持つ方もいるかもしれません。ただ、そこは心配無用です。

アルジルリンは植物由来の4種類のアミノ酸(グルタミン酸・メチオニン・グルタミン・アルギニン)からできているからです。グルタミン酸とグルタミンとアルギニンは体内で生成することができる非必須アミノ酸。メチオニンは体内でつくることができない必須アミノ酸です。危険性はありません。

ただし、敏感肌の方は配合濃度が高過ぎないものからスタートしましょう。濃度の高い化粧品を使うと刺激を感じる場合もあるからです。

ちなみにパッケージやラベルに記載される成分表示名は「アセチルヘキサペプチド-3」もしくは「アセチルヘキサペプチド-8」です。「アルジルリン」はリポテック社が付けたブランド名で、成分名ではありませんが「アルジルリン」と表記している製品も多く存在します。

一般的に、表記されている成分表示の中程の記載であれば、配合されている量が「普通から多い」と判断できます。後方になるほど配合量は少なくなっていきますが、「配合量が多いから良い」「少ないから悪い」というものではないことを理解し、肌に適した、負担の少ない製品を継続的に使用することが大切です。

アルジルリンのメリット・デメリット

アルジルリン配合の化粧品を使う大きなメリットは、とにかく気になる部分に塗るだけで表情じわの予防・改善ができる手軽さです。あくまでも化粧品に配合される成分ですから、浸透は角質層になります。デメリットとしては、継続使用で効果を得るものであるため、筋肉に直接注射するボトックスとは異なり、たった3日で変化を感じるものではない点です。

ただし、使い続けることで「使い続けて良かった」と思える美容成分の一つであることは間違いありません。リポテック社からは、毎日2回0.05%のアルジルリンを配合したクリームを肌に塗布し続けた女性のしわの変化を調べた結果、28日でしわの深さが平均16.2%浅くなったという報告もあります。

アルジルリン配合の製品VSボトックス注射

「塗るボトックス」知っておきたいアルジルリンの基礎知識

ボトックス注射における懸念点は、いつくか挙げられます。痛みや内出血を起こすリスク、効果は4ヶ月から半年で切れるとされていますが、注入の量を間違えると表情が不自然になる懸念。また、注入の位置、量の判断は専門医に委ねられるため、技術的な差異が生じる可能性も否定できません。

対して、アルジルリンはあくまでも塗り続けることで少しずつ効果がでてくるものです。急に表情が変化する、不自然な筋肉の動きになるというリスクはありません。成分としての副作用についても現状では報告されていません。「表情じわは改善したいけれど、不自然な顔にはなりたくない」という方にはとてもメリットのある成分といえます。

ただし、表情じわ以外、たるみが原因のほうれい線やマリオネットラインに塗布しても、アルジルリンの持つ美容効果を実感することはできません。小じわや加齢じわのケアを同時進行で行うためには、アルジルリンの他に表皮の上層部ではセラミドの合成を促し、水分保持能力の向上に働きかける「ナイアシンアミド」や、肌に弾力を与える「グルタチオン」「レチノール」など、保湿とハリや弾力を強化する美容成分を配合した化粧品を併用することをおすすめします。

コロナ禍で萎えた表情筋。顔も筋トレが必要。

「塗るボトックス」知っておきたいアルジルリンの基礎知識

ここまで「表情じわにはアルジルリン!」という話をしてきましたが、筋肉は使わなければ、衰え、萎えていきます。それは表情筋にもいえることです。コロナ禍のマスク生活やリモートワークで、この3年、圧倒的に表情筋を使う機会は減りました。「表情が硬くなった」「こわばりがすごい」と感じている方も少なくはないでしょう。そもそも欧米人のように感情表現が大きくはなく、また、あまり筋肉を使わなくても発声ができてしまう日本語を母国語とする日本人です。私たちの顔は、コロナ禍を経て、圧倒的に運動不足だということが容易に想像できます。

しかし、うれしいことに、筋力は4週間で変わるといわれます。骨格筋と同じように表情筋も何歳からでも鍛えることができます。アルジルリンの効果をより感じるためにも、「表情筋トレーニング」や「表情筋マッサージ」も日常的に取り入れていきましょう。コリやむくみに深く関わるリンパを流すにも、筋肉が必要なのです。

小顔実現!表情筋マッサージでキュッと引き締まったフェイスライン

「継続」こそ近道、しわと無縁の肌へ

いかがですか?アルジルリンに対する理解を深めることができたでしょうか?現在では、多くの企業がアルジルリンの美容効果に着目し、この成分を採用した製品を開発しています。配合成分として相性の良い他の美容成分と組み合わせることで、表情じわはもちろん、小じわや加齢じわにも複合的に効果をもたらす製品も続々と登場しています。

現在、私たちは、幸運なことにさまざまな選択肢が与えられています。美容業界で注目されている一つ一つの美容成分の特性を理解することで、より確実に、それらの美容効果を得ることができます。アルジルリンも、その代表的な成分の一つ。アルジルリンは、すでに馴染みの深い「アミノ酸」からできているので安全性の高さも魅力です。しかし、一回使用したからといって効果を得られるものではありません。継続して、お手入れに取り入れることで、しわと無縁の肌を手に入れることができるのです。

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