目にもアブラ!目元を老けさせる「ドライアイ」を制覇

季節は秋から冬へ。湿度の低下とともに、肌の乾燥も一気に加速していますが、乾いた空気は瞳からも水分を奪います。そのため、冬は「ドライアイ」になりやすいといわれますが、最近の研究によって、多くのドライアイ患者の瞳に“アブラ(脂質)”が足りていないことがわかってきました。今回は、辛いばかりか、目元の印象を一気に老けさせるドライアイに着目し、瞳も、目元もすこやかで美しくあるための秘訣をご紹介します。

 

瞳のうるおいを保つには水分と油分が必要

2000万人以上ともいわれている、日本人の“ドライアイ”。原因は水分不足と思いがちですが、ドライアイには2つのタイプがあります。

一つ目は涙の分泌量が足りない「涙液減少型」。二つ目は涙の蒸発が激しい「涙液蒸発亢進型」といわれるもので、ドライアイの多くが後者であることがわかっています。

ドライアイの多くは「涙液蒸発亢進型」

「涙液蒸発亢進型」。漢字が多く難しそうな名称ですが、これは目薬をさしてもさほど時間が経たないうちに乾きを感じてしまうような状態を指します。このような症状の原因の一つとして考えられるのが、マイボーム腺から分泌されるアブラの不足です。

マイボーム腺ってなに?

「液層」と「油層」から成る涙

「液層」と「油層」から成る涙

マイボーム腺とは、上下のまつ毛の生え際の少し内側の粘膜上にあるアブラの分泌口のことです。目には見えないほど小さな穴が上まぶたに30〜40本、下まぶたに20〜30本ほど並んでいます。

「涙=水分」と思いがちですが、人間の目はまばたきをするたびに涙腺からは水分とムチンといわれる粘液が、マイボーム腺からはアブラが排出されます。肌に例えるなら、マイボーム腺は皮脂腺のようなもの。皮脂が肌の水分蒸発を防いでくれるように、マイボーム腺から分泌されるアブラが膜となって水分の蒸発を防いでいます。涙が皮膚に流れるのを防いだり、まばたきの摩擦を和らげたりするには、アブラが必要です。アブラが足りないと、黒目が埃やばい菌で傷つくこともあります。

アイメイクでマイボーム腺が詰まる?!

「マイボーム腺なんて、初めて聞いた」という方もいるかもしれませんが、それもそのはず。まぶたの縁の裏側に隠れた、肉眼では見えなないくらいの小さな穴のマイボーム腺。毛穴のように開きが気になることもありません。しかし極小ゆえに、詰まりやすいのも事実です。

マイボーム腺が詰まる原因として、まずは「加齢」が挙げられます。体の他の機能同様に、マイボーム腺もエイジングによってアブラを押し出す力が弱まるなどの分泌機能の低下が起こります。また、分泌腺の出口も加齢に伴い狭くなる場合もあり、さらに詰まりやすくなります。

しかし、詰まる原因は加齢だけではありません。年齢に関係なくマイボーム腺を詰まらせる要因が2つあります。

1. アイメイク

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アイメイクをしっかりしている人はマイボーム腺の詰まりと背中合わせの生活をしているともいえます。まつ毛の根元からマスカラ液、粘膜の上にラインを引く、いわゆるインライン、つけまつ毛の接着剤などがマイボーム腺を塞いでしまうことがあるからです。

さらに、これらがクレンジングや洗顔で落とし切れないと、マイボーム腺の出口は慢性的に塞がれることになってしまいます。クレンジングオイルやクレンジングクリームを使用しても、すすぎが不十分で油分がマイボーム腺を塞ぐこともあります。マツエクの持ちを良くしたいがあまり、メイクオフをさっと済ませてしまう行為も本末転倒となってしまいます。心当たりはありませんか?

2. 飽和脂肪酸の多い食生活

食事で取った脂の質が、マイボーム腺の詰まりにも影響することがわかってきています。脂質にはバターやラード、肉の脂身のように常温で固まる「飽和脂肪酸」と、ゴマ油やオリーブ油のような植物油、魚の脂など、常温では固まらない「不飽和脂肪酸」があります。このうち固まる温度が低い飽和脂肪酸を多く摂取する食生活は、脂肪の詰まりが起きやすいといえます。飽和脂肪酸はマイボーム腺の詰まりの原因になりやすいとされているのです。

「まだ、そこまでの年齢ではないから」と安心できない、マイボーム腺の詰まり。ドライアイの誘引だけでなく、マイボーム線の詰まりは目のごろつきやかゆみ、痛み、できものなど、さまざまなトラブルを招きます。炎症が生じてまつげが抜けやすくなるなど、目元の美しさを損なう原因にもなるのです。

肌のダメージにもつながるドライアイ

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目の疲れは、休息や十分な睡眠で改善できますが、マイボーム腺の詰まりが原因のドライアイは、それだけでは改善できません。ドライアイはただの疲れ目ではなく、対策が必要な眼精疲労(症状)だからです。放置すれば美容にも悪影響を及ぼします。皮膚が薄く皮脂の分泌がない目の周りは、ただでさえ乾燥しやすい部位です。眼精疲労で血行が悪くなり新陳代謝が鈍れば、しわができやすくなります。見えづらかったり、目に違和感があったりして、無意識に目を細めたり、眉間にしわを寄せて顔をしかめることを繰り返していると、表情のクセが刻まれて、深いシワを誘発しかねません。美しい目元を保つためにも、ドライアイを慢性化させないことがとても重要というわけです。

マイボーム腺の詰まりを改善する5つの習慣

マイボーム腺を詰まらせないようにすることがすこやかで美しい目元に直結していることがわかったところで、では、詰まりを改善するためにはどうしたらいいのか、この項目でご紹介しましょう。

1. まばたきストレッチ

目の表面に「液層」と「油層」をつくるには、まばたきが不可欠です。通常、まばたきは3秒に1回程度といわれますが、現代人は不完全になりやすい環境にあります。その大きな要因はPCやスマホの使用です。集中して画面を見続けることで、まばたきの回数が減ってしまいます。通常時の1/4に減るという説もあり、このような日常が続くと、まばたきに必要な眼輪筋が衰え、完全にまぶたが閉じない浅いまばたきになってしまうことも。

涙のアブラはまぶたをしっかり閉じたときにマイボーム腺が刺激されることで出てきますので、不完全なまばたきはアブラを出にくくしてしまいます。簡単にできる「まばたきストレッチ」をご案内しますので、ふとした時に何度でもやってみてください。①〜④を繰り返しましょう。

【まばたきストレッチ】
①両目のまぶたに力を入れて、3秒間ギュッと閉じる。
②緩める。
③両目のまぶたに力を入れて、3秒間ギュッと閉じる。
④パッと目を大きく見開く。

 

2. マイボーム腺洗顔

海外では目元を清潔にすることを「リッドハイジーン」といい、生活習慣として根付いています。

リッドハイジーンのために開発された刺激の少ない商品も多く出ていますが、ぬるま湯で湿らせた指をまつ毛の根元に沿って優しく撫でる(5回程)だけでも効果はあります。クレンジング・洗顔を行なってから、朝晩2回、手を洗い清潔な指で行なってください。ただし、こすってしまうのは厳禁です。指で撫でるのが怖いという方は、目元用のコットンをお湯で湿らせて優しく撫でるのも有効です。

3. 温めて、アブラを溶かす

固まったアブラを溶かすには40℃が適温です。血流が良くなり、収縮した目の筋肉もほぐすことができます。疲れ目の改善にもつながります。

市販の使い捨てのホットアイマスクも約40℃が10分程度続くように設計されています。充電式のホットアイマスクも便利ですが、ホットタオルでも十分です。効果を感じるには、まずは一日2回、2週間を目標に!

【ホットタオルアイマスク】
①温度が下がることを考えて、50℃くらいのお湯にタオルを浸す(火傷に注意。ゴムやビニールの手袋を使用すると安全)。
②よく絞ってポリ袋に入れる。
③乾いたタオルを巻いて、目元に乗せる(ポリ袋と乾いたタオルによって、5分程度は40℃が保てます)。

 

4. 抜け感メイク

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フルメイクからパーツメイクを引き算していく、今時の“抜け感メイク”は、マイボーム腺にもやさしいメイクです。アイシャドウを何色も使ったグラデーションや黒ラインでのアイラインの囲み、上下ばっちりのボリュームマスカラは過去の話。抜け感を重視したミニマムなアイメイクで、目指すは強さより女性らしい「やわらかさ」です。すでに、アイラインをやめて、マスカラだけにするなど、引き算を意識した目力控えめメイクがジワジワ来ています。

5. 点眼

ドライアイには水分を補給し、傷ついた角膜を修復するタイプの目薬が従来から使用されてきましたが、目薬も時代と各製薬会社の努力とともに進化してきました。現在は、マイボーム腺に働きかけるものが多く開発・販売されています。これらを利用したり、症状が深刻な方は一度眼科の受診を。

目薬のさし方は、さしたらまばたきをせずに、しばらくまぶたを閉じ、指先で目頭を素早く押さえましょう。涙点から目薬が鼻の奥に流れずに、目の表面全体に行き渡るのがわかります。涙点は涙の排出口。普段は途中で蒸発してしまいますが、泣いたときなど涙の量が多くなると、鼻へ流れる量も多くなって鼻水となって外に押し出されます。余談ですが、おなかが痛くなるほど笑ったときにも涙が出るのは、笑っていると顔の筋肉が涙腺を圧迫し、そのために涙が押し出されるからです。

室内の温度管理で目も肌もうるおう!

温度と湿度の関係

温度と湿度の関係

いかがでしたか。今回は「マイボーム腺」から分泌されるアブラに着目して、すこやかで美しい目元の大敵となる「ドライアイ」についてお伝えしました。

うるおいのある目元、肌を維持する対策には、湿度管理も大切です。室温5℃湿度50%の部屋を、加湿せずに20℃まで温めると、なんと湿度は20%まで下がってしまいます。部屋の温度が上がったことで空気中に抱えられる水分量が増えたのに、実際の水分量は少ないままで、相対湿度が低くなってしまうからです。暖房の欠かせない今の季節、部屋を暖める際は、十分な加湿も忘れずに行いましょう。加湿を意識することで、乾燥が抑えられ、うるおいのあるつややかな目元、肌を維持してくれますよ。

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