世界が注目する美容成分「幹細胞培養液」「エクソソーム」「NMN」って?

2024年10月31日更新

ビタミンCやヒアルロン酸のように、その働きが歴史に裏付けされた成分がある一方で、新しい原料や成分が見出され、開発され、進化を続けていく美容の世界。なかでも老化の抑制に期待できるのが「エクソソーム、植物幹細胞(培養液)、NMM」です。共通するのは、体内でも生成されつつ、加齢で減少してしまうこと。今回はこの3つの美容成分に着目し、各成分を説明していきます。

 

植物幹細胞

世界が注目する美容成分「幹細胞培養液」「エクソソーム」「NMN」って?

新たなカテゴリーとして台頭する「幹細胞コスメ」

「幹細胞コスメ」。この6文字のワードもNMNを超える勢いで注目されています。「幹細胞」とは自分と同じ幹細胞をつくる能力と、他の組織細胞に分化する能力を持った細胞のこと。2つの能力を備えた、二刀流の細胞と捉えるとわかりやすいでしょう。

化粧品に使われる幹細胞は主に「ヒト由来」と「植物由来」です。幹細胞には動物由来のものもありますが、日本ではあまり流通していません。ヒト幹細胞と植物幹細胞。一番の違いは名前の通り、植物から抽出されているか、ヒトから抽出されているかです。ヒト幹細胞は細胞を活性化する効果が高いとされ、再生医療の分野でも注目を集めています。こちらについては別の機会に回すことにして、今回は「植物幹細胞」についてご紹介します。

着実に肌の底上げする「植物幹細胞」

化粧品の有効成分が届くのは角層内。「植物幹細胞培養液がもたらす優れた抗酸化作用と保湿力をフルに生かし、着実に肌の底上げをしていこう」というのが視点で植物幹細胞培養液は化粧品の美容成分として採用されています。

植物は切られたり、傷を負ったりすると、いろいろな細胞に分裂することができ幹細胞を生み出します。挿し木がわかりやすい例ですが、アイビーのつるを水にさしておくと根が出てきます。多肉植物も取れてしまった葉を土の上に置いておくと、根が出てきます。これらの現象はまさに植物幹細胞のはたらきによるもの。過酷な環境でも生き延びる植物の生命力は誰もが知るところですが、植物幹細胞は栄養成分が豊富で、非常に高い抗酸化力と保湿力を備えていることがわかっています。

化粧品へ配合されるのは“幹細胞培養液”

これはヒト由来にも植物由来にもいえることですが、幹細胞そのものが化粧品に配合されているわけではありません。実は化粧品に細胞を配合することは禁じられています。コスメの成分として配合されているのは、幹細胞を増殖させるときに用いた培養液。培養する幹細胞の多くは主にツボクサ、オリーブ、リンゴ、アルガン、カミツレなどから採取されます。そして植物幹細胞培養液の特徴とされるのは以下の3点。デイリーケアによって肌質を向上させることができるのが、何よりもの魅力です。

【植物幹細胞培養液の特徴】
・優れた抗酸化作用をもつ
・保湿効果が高い
・アレルギー作用が少ないとされている。

 

エイジングケアの心強い味方に

植物幹細胞の優れた抗酸化力と保湿力は、これまでのスキンケアに物足りなさを感じている方にもおすすめします。エイジングケアの敵である活性酸素の発生を予防し、若々しい肌の維持に役立ちます。

1. シミ・くすみ予防
優れた抗酸化作用はメラニンの生成を抑え、シミ・くすみの予防につながります。そればかりか、酸化はコラーゲンの破壊やターンオーバーの乱れを招いて肌のエイジングを進めてしまいますので、美肌を維持するには、肌を酸化から守ることが絶対条件です。

2. ハリとツヤをもたらす
保湿はコンディション良好な肌の基本。ハリもツヤも肌に潤いがあってこそです。ふっくらと若々しい素肌を保つことで、毛穴や小ジワの悪目立ちがなくなります

3. ゆらぎ肌をすこやかに保つ
ゆらぎ肌を放置してしまうと、ダメージが積み重なり敏感肌や肌老化を招いてしまいます。肌のコンディションが整うことで、血流も良くなります。

4. 白髪の発生を抑制
すこやかな頭皮や髪のうるおいを保つだけでなく、白髪の発生を抑制する効果が期待できることもわかり始めています。

エクソソーム

世界が注目する美容成分「幹細胞培養液」「エクソソーム」「NMN」って?

幹細胞培養液の作用を十分に発揮させる物質

幹細胞コスメに配合されているのは、幹細胞ではなく“培養液”とお伝えしましたが、美容液であれクリームであれ、幹細胞コスメには培養液とは別に「エクソソーム」が配合されているのが主流です。

エクソソームは簡単にいうと、細胞が出すカプセル状の物質。内部に核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など、細胞内の物質を含んで出てきます。幹細胞培養液にも当然のことながら幹細胞が出したエクソソームが入っていますが、量としては多くありません。しかも、幹細胞培養液はエクソソームがあって初めて本当の効果を導き出すとも考えられているため、幹細胞コスメにとってエクソソームはなくてはならない存在です。そのため、一般的な細胞から出たエクソソームを加えることが主流となっています。

エクソソームは細胞間を移動し、情報を伝達しています。平たくいうと、メッセンジャーの役割を担っているのです。細胞や組織のダメージを脳や各機能に伝達したり、ダメージを受けた細胞の活性化に必要な物質を届けたりするのが役目です。

エクソソームは、抗炎症、皮膚のバリア再生、創傷治癒、細胞増殖、皮膚再生といった作用をもたらしていると考えられています。

NMN

世界が注目する美容成分「幹細胞培養液」「エクソソーム」「NMN」って?

若々しくあるための必須の成分

NMNの正式名称は「ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド」。舌を噛みそうですが、もともとは体内で自然に生成されている物質です。細胞老化の防止に重要な鍵を握っているといわれています。

少し難しい内容になりますが、NMNを理解するのに知っておきたいのが、NMNとNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)の関係です。NADというのは、NMNから変換された物質のこと。細胞内のエネルギーを生み出すのに欠かせない補酵素で、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性させて、老化の進行を遅らせると考えられています。

しかし加齢とともに量が減っていくNAD。皮膚の中のNADも50代以降は30代の半分以下というデータもあります。「だったらNMNではなくて、NADを補えばいいのでは?」と思いがちですが、市場に出回っているのはNMNのサプリメント。クリニックで受けられるのはNMN点滴です。その理由は、NADは不安定で分子が大きくて細胞に取り込まれないから。NMNを摂取、または投与して、体内でNADに変換する必要があるというわけです。NMNは「若返りのクスリ」などといわれたりしますが、正しくは、サーチュイン遺伝子に働きかけるのはNMNではなく、変換されたNAD。覚えておきたいポイントです。

ちなみにブロッコリーや枝豆やキュウリなどからもNMNは取り入れることができます。しかし、非現実的。一日100mgのNMNを摂取するには、約40kgものブロッコリーを食べなければならないからです。

化粧品の成分としても期待がかかる

世界が注目する美容成分「幹細胞培養液」「エクソソーム」「NMN」って?

日本でNMNが知られるようになったのは、2015年頃からです。2020年には「非医薬品」として扱えるようになったことから、多くの化粧品メーカーがNMN製品の開発・販売に力を入れ始めました。老化作用が期待できるNMNは、メーカー側から見ても魅力的な成分です。

実際、効果に関する研究結果も報告されています。NMN水溶液をヒトの皮膚培養モデルに塗布してその効果を検討した試験では、肌細胞内のNMN量が100倍に、NADの量が4倍に増加したという報告もあるようです。その他、活性酸素を取り除くこと、天然保湿因子の産生を促進すること、過剰な色素沈着を抑えること、肌のターンオーバーの速度と安定を保ち、シミ、しわ、たるみの予防につながる可能性があることなどが示唆されています。

品質は純度に比例

原料としてのNMNは純度が高いものはかなり高額です。1kgあたり数十万円もします。当然、商品にも価格は反映してしまいます。NMNを配合した化粧品は安価ではないけれど、見合った価値がある。そう捉えるのが妥当といえそうです。「安かったから」で選ぶと、純度が低かったり、わずかな配合だったりすることは大いにあり得るのです。

純度が低いものはそれだけ不純物が多いことになります。消費者目線ではわかりづらいことですが、点滴製剤レベルの安全基準をクリアしているNMN原料を使用している製品を選ぶことをおすすめします。

毎日のお手入れに取り入れて、肌調子も気持ちもUP

今回は、まだまだ馴染み深いとはいえない「植物幹細胞」「エクソソーム」「NMN」についてご紹介しました。やや難しい内容も含まれたと思いますが、年齢を重ねていく肌の味方になってくれることは疑いようもありません。これまでのお手入れに新たな美容成分を投入して、よりスキンケア効果を実感したいと願われる方にはまさに打って付けの成分です。毎日のお手入れに取り入れて、肌調子も気持ちも向上させてくださいね。

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