セルライトが消えるかも?話題のドライブラッシングAtoZ
9月に入り、夏の喧騒も落ち着く頃にふと気づくのは、初秋の訪れと夏が残した傷跡…。紫外線でダメージを受けたカサカサの手足や、シミができ始めた小麦色の肌。さらに、これからやってくるのは食欲の秋です。夏に受けたダメージを回復しながら、秋に備えるボディケアを始めたい女性に今おすすめしたいのが、海外で話題の“ドライブラッシング”。LA(ロサンゼルス)でも習慣にする女性が多いこのドライブラッシング、「一体なに?」「どんな効果があるの?」「自宅で簡単にできるの?」などなど飛び交う疑問に一挙にお答えします。これを読み終える頃には、ブラシを買いにお店へと足が向かっているかもしれません!
アメリカ版の乾布摩擦?
ここ数年アメリカでは手軽にできる美容法として人気のドライブラッシング。ハリウッド女優やモデルにも実践する人が多く、8月にアップされたWeb版『ヴォーグ(VOGUE)』でも特集があったばかり。まさに今一番ホットなビューティーテクニックといえますが、やり方も至ってシンプル。乾いたブラシで、全身をブラッシングしていく美容法。日本でいえば乾布摩擦が効果の上で近いものになります。個人的には乾布摩擦と聞くと、おじいさんが庭先で朝日を浴びながら行う後ろ姿が勝手にイメージされ、肌に負担がかかる印象もあります。しかし実際のドライブラッシングは、ミランダ・カーも習慣にする現代版の全身マッサージで、痛みもほとんどありません。それどころか、なめらかな肌を導いてくれるとして人気と話題を集めているのです。肌の表面だけに留まらない、その驚きの効果をご紹介していきましょう。
ドライブラッシングの意外な効果
①リンパの流れを良くして、老廃物を排出
簡単にいえばドライブラッシングは、全身のリンパマッサージです。足の先から丁寧に、各パーツのリンパ節を意識しながらブラッシングしていくことで、滞っていた流れを改善することができます。しかも柄の長いブラシを選ぶことによって、セルフのハンドマッサージでは届きにくい背中や脚の裏側までしっかりケアすることが可能。運動や全身マッサージでしか流すことのできなかったリンパを、自宅で簡単にセルフケアできるというわけです。リンパの流れが改善されることで得られる最大の効果の一つには、老廃物の排出があります。それによってむくみが解消され、全身の肌のくすみも解消してくれます。
②血行改善で、冷え性も撃退
全身のブラッシングでリンパの流れが改善されると同時に、血行も促進されます。全身の血流が改善されると体が温かくなるので、冷え性に悩んでいる方にとっても効果的です。また、血行が良くなることで、体に取り込んだ栄養や酸素が全身に隈なく循環するので、疲労回復も早くなり、免疫力も高めてくれます。前述した乾布摩擦が美容法としてではなく、昔からの健康法として重宝されてきた大きな理由はここにあるのですね。
③セルライト除去も期待!のダイエット効果
そもそもセルライトとは、脂肪に余分な水分や老廃物が蓄積し、表面がデコボコになっている状態を指します。そのため、体重が減ってもセルライトは残っているという女性も多いのです。セルライト対策には、脂肪を減らした上で、溜まった老廃物を排出する全身マッサージが必須項目。ドライブラッシングでは、全身のリンパの流れと血行を改善する効果がありますので、脂肪燃焼するダイエットと組み合わせることで、セルライトにも効果を発揮するといわれています。ブラシという道具を使うことで、全身を隈なくマッサージできることが、さまざまな効果にプラスのメリットをもたらしているようです。
④古い角質を取り除いてなめらかな肌に
リンパや血行改善に伴う効果に加えて、ドライブラッシングの特徴的な効果が、古い角質の除去です。体調不良やエイジングによって新陳代謝が悪くなっていると、ターンオーバーが正常に機能せず、角質が皮膚に残ったままの状態になってしまいます。古い角質が剥がれないことで、肌がごわごわ・ざらざら・ブツブツになるため、どんなに保湿ケアをしても浸透していかないことがほとんど。その上、古くなった角質は肌の色もくすんで見せてしまいます。ドライブラッシングで全身の角質ケアを徹底することで、明るくツヤのあるシルクのような肌を目指したいですね。
⑤全身マッサージのリラックス効果
体全体に適度な刺激を与えることで血行が良くなり、リラックス効果も得られます。自律神経のうち、副交感神経が優位になることで、ぐっすりと眠れるような安眠効果も期待できます。
ドライブラッシングのやり方の基本ルール
上記のようなドライブラッシングの効果を最大限に引き出すためにも、基本的な手順に沿って実践することが大切です。まずは、基本となるルールから理解しておきましょう。
ブラシも肌も濡らさず、乾いた状態で行う
摩擦力をできる限りキープしながらマッサージできるので、ごくわずかな力でも古い角質の除去を促します。
入浴前がベストタイム
ドライブラッシングでは、一日で付着した表面の汚れや油分なども含めて、古い角質を剥がしていくため、入浴前のタイミングがおすすめです。逆に入浴後には、肌が柔らかく剥き出しの状態になってしまうので、肌への負担が通常よりも増えてしまいます。入浴前にドライブラッシングを行い、剥がれた角質や汚れをシャワーで洗い流し、その後たっぷり保湿する、という流れが理想的といえるでしょう。
心臓に一番遠い位置から始めて、最後は左鎖骨下で終了する
リンパや血流を心臓に返すイメージで足の先から始め、下から上の動きを意識します。また各パーツのリンパ節部分は特に念入りにブラッシングしていきます。
ブラッシングはクルクルと円を描くように
下から上への意識は忘れずに、クルクルと円を描くような動きをイメージしてください。直線的に動かすよりも効率良く広範囲でブラシを移動させることができます。
一回5~10分、週に2回くらいを目安に
やり過ぎも肌への負担になるので、手軽な習慣にするためにも、一回のブラッシングは10分以内で終わらせましょう。週に2回くらいできると、マッサージとしても角質ケアとしても効果を感じやすいです。
ドライブラッシングの手順
それでは実際の手順をご紹介していきましょう。下半身と上半身に分けて解説していきます。
下半身のブラッシング
(1)足の指先から甲、足首、くるぶしからブラッシング
特にくるぶしの後ろ辺りにリンパ節があるので、念入りにブラッシングしましょう。お酒などの飲み過ぎが原因で脚がむくむときに「足首がない!」なんていう悲しい状態を経験したことのある方も少なくないはず。足首のリンパ節が滞っている証拠。ここを意識することで、キュッと締まった女性らしい足首を手に入れることができます。
(2)ふくらはぎから膝を、下から上に
膝裏にも隠れているリンパ節。ふくらはぎのむくみや老廃物を流すイメージで、ブラッシングします。立ち仕事や、反対に座りっぱなしのお仕事では、ふくらはぎがパンパンにむくむこともありますよね。ふくらはぎから膝裏へのブラッシングで、むくみのない脚を目指しましょう。
(3)膝から、太もも、そして鼠径部(脚の付け根)に向かってブラッシング
特に太ももの裏は普段ケアが届きにくい上に、セルライトの巣窟でもあります。丁寧にブラッシングして、しっかりと老廃物を流しましょう。
(4)ヒップラインも下から上を意識して
年齢とともに下降気味なヒップラインは、下から上への動きを意識することで、上向きのキレイなラインを取り戻します。肌表面が繊細なパーツでもありますので、他よりもソフトなタッチで進めてください。
(5)下半身の仕上げは、足の付け根がポイント
つま先から少しずつ流してきたリンパは、足の付け根へと送ります。これで下半身のブラッシングは終了。続けて上半身へと移ります。
上半身のブラッシング
(1)お腹周りも下から上へ
ウエストのくびれをつくるように、カーブに沿ってブラッシングしていきましょう。基本的には、ブラッシングもマッサージの一つです。クリームやオイルでセルフマッサージしているときのような動きをイメージすることで、リンパもより流れやすくなります。
(2)腰から脇の下、二の腕から脇の下へ流す
脇の下にはリンパ節が集中していますので、重点的にケアしてあげましょう。お腹から腰へと移動させながら、脇の下に流していきます。さらには、手の指先から肘、二の腕、そして脇の下へとブラッシングしていきます。
(3)肩から背中は柄の長いブラシを使って
特に肩こりを慢性的に感じている人は、肩甲骨周りを意識してブラッシングします。手だとなかなか届きませんが、柄の長いブラシであれば十分に届きます。またブラッシングすることで生まれる、腕や肩の上下運動も肩こりには効果的。肩甲骨の開閉により滞った血流が改善され、肩コリの解消にも効果が期待できるでしょう。
(4)背中のお肉をバストに寄せるようにブラッシング
ここでもバストアップのマッサージのようなイメージを持ってブラッシングを。そうすることで、再度脇の下のリンパも刺激され、相乗効果が生まれます。
(5)最後は左鎖骨下のリンパに戻してあげる
下半身・上半身と流した後は、心臓に戻す意識で、左の鎖骨下で終了します。
全てのパーツを丁寧にブラッシングしても、5~10分程度で終えることができます。通常ブラシは手よりも大きめですし、ゴシゴシと力任せに擦ることが目的ではありません。心地いいと思える程度の圧力で、優しく滑らせる意識を持ちましょう。
失敗しないドライブラッシングの注意点
自宅で簡単にできるドライブラッシングですが、以下の注意点を守ることで最大限の効果を引き出すことができます。
力任せにゴシゴシこすらない
前述にもある通り、力の入れ過ぎはドライブラッシングではご法度。肌表面の古い角質や汚れを丁寧に落とすように優しくブラッシングするだけでも、リンパマッサージの効果も同時に得ることができます。
肌の状態をしっかり観察
肌への負担が少ないといっても、表面をブラッシングするわけですから、肌状態が安定しないときは控えましょう。極度の乾燥時やムダ毛処理の直後などは特に肌が弱っています。ドライブラッシングは毎日行うわけではないので、タイミングを見計らって取り入れていきたいですね。またアトピー性皮膚炎の方や肌に傷がある場合も、症状を悪化させる恐れがありますので、避けた方がいいでしょう。
入浴前ルールは厳守
入浴後は、肌が柔らかくなっている状態です。その上でブラッシングすると、皮脂や角質を取り過ぎてしまい、肌のバリア機能を弱めてしまう上に、乾燥肌にも繋がりやすいです。必ず入浴前に行ってください。
ブラッシングの後は、たっぷりの保湿
ドライブラッシング、そして入浴後はたっぷり保湿してあげましょう。古くなった角質が綺麗に剥がれている状態なので、保湿ローションやクリームも普段より浸透度が高いといわれています。逆にドライブラッシング後の保湿を怠ると、効果を最大限に得られないばかりか、肌荒れを起こす可能性もあります。ドライブラッシングと保湿ケアはセットであることを理解しておきましょう。
素材によってまったく違う!ブラシ選びが肝心
ドライブラッシングと聞いて、「痛くないの?」という疑問が真っ先に浮かぶ女性も多いはず。確かに、肌質に合わないタイプを使い続けてしまうと、肌への負担になる可能性もあります。ボディ用のブラシは、大きく分けて、「動物の天然毛」「植物素材」「合成繊維」の3種類に分類できます。しかし、ナイロンなどで作られた合成繊維のボディブラシは固いため、ドライブラッシングには向いていないことが多いようです。動物の天然毛の中でもその種類によって柔らかさや肌への感触もさまざまですので、それぞれの特徴をご紹介していきましょう。
馬毛
毛先がとても柔らかく、肌触りも抜群です。肌が敏感な方や乾燥肌の方も安心して使えるソフトな使用感が特徴。撥水性を持つため、外気の影響を受けにくく、保管しやすいともいわれています。
豚毛
適度な弾力があり、馬毛に比べると毛質はやや固めですが、肌への負担は少なめです。しかも吸水性があり、湿気を含むと柔らかさが増すため、優しい肌触りを感じながら程よい刺激もプラスしてくれます。
猪毛
馬毛、豚毛よりもさらに固い毛先を持つ猪毛。しっかりとコシのある毛質が、肌の古くなった角質やセルライトへの良い刺激となってくれます。肌が硬化している方や、柔らかいブラシでは物足りない方におすすめです。
山羊毛
最も柔らかく、希少価値の高い天然毛のため、一部のブラシにしか使用されていません。しかし、そのソフトな肌触りは「赤ちゃんに使うことができる 」と高い評価を得ています。他のブラシではどうしても肌が荒れてしまう方の救世主といえるでしょう。角質ケアというよりは、リラックス効果を求める方に最適です。
植物素材
日本とアメリカの大きな違いが、この植物素材のブラシの普及率です。アメリカを初めとする欧米では動物素材の製品に抵抗感を持つ人が非常に多いため、植物素材のブラシは市場にも数多く出回っています。実際に個人的に手にしたブラシは2種類とも100%天然素材の製品でした。植物素材の場合はサボテン繊維などを使われることが多く、動物素材よりもやや固めです。植物素材のブラシは毛先が不揃いのものが多いため、ドライブラッシングすることによって、細かい角質までしっかりアプローチしてくれます。植物素材と動物素材のそれぞれの特徴を生かした混合素材の製品も開発されていますので、そちらもオプションの一つになりそうですね。
ブラシを選ぶ際に、毛質以外にも注意したいのが柄の長さ。せっかくの全身ブラッシングなので、背中まで届く長めのものが理想です。しかし、二の腕や鎖骨など、体の近い部分を柄の長いブラシで擦るのも難しいですし、長いものと短いものの二種類を使い分けるのも大変です。ブラシ部分と柄部分が取り外し可能なものであれば、さらに便利であること間違いなし!
今、売れているドライブラシはコレ!
レンゴラ・ドライ・ブラッシングボディウォッシュ (rengora Dry Brushing Body Wash)
アメリカのヘルシー系マガジン『シェイプ(SHAPE)』で、2018年のエディターズピックとしても特集されたレンゴラのドライブラシ。天然の猪毛が心地よいマッサージ効果と角質除去を実現しながら、他社製品よりもソフトな使用感が、アマゾンでも圧倒的な評価を得ています。ハンドルが取り外し可能なため、ロングブラシとして2wayで使える点も魅力です。
イェルバ・プリマ・タンピコ スキンブラシ (Yerba Prima Tampico Skin Brush)
ナチュラル系ブランドから発売されている植物繊維を作ったブラシも人気。最近はタンピコ繊維と呼ばれる植物繊維のブラシがスパで採用されることも多く、イェルバ・プリマのブラシもその一つ。こちらもコシのある毛質が特徴ですが、アメリカでは柔らかめのブラシよりも、しっかりとマッサージ効果を感じられるブラシを選ぶ女性が多いようです。こちらもアマゾンで購入可能。
個人的に持っているドライブラシも、植物繊維の毛質で固めに分類されますが、使い続けるうちに慣れていくような感じでした。最初は肌も慣れていないので、優しく表面を滑らす程度から始めていましたが、今ではしっかりとマッサージしないと物足りないほどに。さまざまな種類のブラシが出ていますので、自分の肌質や用途に合わせて、ぴったりのブラシを見つけてみてくださいね。
自分磨きで、垢ぬけた女性へ
今回ご紹介したドライブラッシング、日本では乾布摩擦、韓国では垢すりなど、実は昔から実践されてきた健康・美容法とそのルーツを共有しているようです。自分自身に溜まった必要のない“垢”を落とすことが、体をケアする大人の振る舞いとして大切にされてきたわけです。現代では、“brush”(磨く)という言葉から派生して、美容に限らず自分を一段階成長させることを“ブラッシュアップ”や“自分磨き”などと表現することもあります。自分をケアし、より輝くために、“ブラッシング(brushing)”は女性にとって今も昔も必要不可欠。外と内に溜まったものをデトックスして、洗練された女性を目指していきたいですね。
出典
https://www.bestproducts.com/beauty/g2789/dry-brushing-tools-body-brushes/
https://www.vogue.com/article/best-dry-brushing-products-spring-season-prep-exfoliation
https://wellnessmama.com/26717/dry-brushing-skin/
https://www.allure.com/story/dry-brushing-benefits