次世代スーパーフード!キヌアを超える「アマランサス」とは?【美容効果編】
海外セレブやモデルからも圧倒的な支持を集める「キヌア」。栄養価の高い食べ物として、アメリカだけでなく日本でも定着しつつあります。しかし最近になって“ネクスト・キヌア”の呼び声が高い「アマランサス」の注目度が急上昇しているのです。サイズは1mm程度とキヌアよりも小さいのですが、含まれる栄養素はキヌアを超えるといわれます。スーパーグレイン(驚異の穀物)の一つとも称されるアマランサスを【美容効果編】と【美容レシピ編】の2回にわたってご紹介していきましょう。まずは、前編の【美容効果編】ではアマランサスの優れた美容効果に迫ります。
“未来の食べ物”アマランサスって?
アマランサス(英語ではアマランス)は南米原産の植物。ヒユ科に属する「擬穀(ぎこく)」に分類されています。ここで気になる擬穀(擬似雑穀)という種類ですが、そもそも古くからの穀物には「主穀」「雑穀」「菽穀(しゅくこく)」「擬穀」の4種類が存在しています。主食作物である主穀は、イネ、小麦、とうもろこしを指し、雑穀はイネ科植物の中で、小さい穎果(えいか)をつけるヒエ、アワ、キビなどの総称です。菽穀はマメ類、疑穀にソバ、キヌア、そしてアマランサスが属するわけです。現代では、この中の主穀と雑穀の二種類を「穀物・シリアル(cereal)」とする国が多く、小麦種ではないアマランサスはキヌアと同様に、グルテンフリーの食べ物ということになります。
分類としても似ているキヌアは、ご存知の通りNASAが「21世紀の主要食」と評価したスーパーフードであり、白米や小麦などに代用できるボリュームを持っています。一方でアマランサスはそのサイズ感から、主食というよりは具材やトッピングとして料理の中に応用することが可能。WHO(世界保健機構)が「未来の食物」と称したように、普段の食生活の中で、飽きることなく毎日でも摂取することができます。クセのない味とモチモチ・プチプチした食感、調理時間が短いアレンジのしやすさが特徴で、現在はNASAの宇宙食の一つとしても採用されています。
“スーパーフード”と聞くと最新トレンドのような印象ですが、アマランサスは紀元前6世紀頃から栽培され、キヌア同様に古代インカ帝国では主食とされていました。日本でも江戸時代末期に栽培されていた記録があるそうで、スーパーフードとしての役割を担ってきた歴史は想像以上に長いものです。再度その存在を認められたアマランサスには、古くから重宝されるだけの優れた栄養価があるわけですね。
白米もキヌアも超える高い栄養価
具体的に、アマランサスに含まれる主な栄養素は以下の通り。
【アマランサスに含まれる主な栄養素】
◆鉄分(約9倍)
◆亜鉛(約5倍)
◆マグネシウム(約10倍)
◆カリウム(約6倍)
◆カルシウム(約6倍)
◆ビタミンB6(約5倍)
◆食物繊維(約7倍)
※( )内の倍数は白米と比較したときの量です。
その他にも多くの栄養素が含まれますが、特筆すべき成分を挙げただけでも、白米よりも優れた栄養価のあることが一目瞭然。そのため、アマランサスを白米に少しだけ混ぜて炊くことで、栄養価が急上昇するのです。例えば、白米1合に対してアマランサス大さじ2杯を加えて炊くと、厚生労働省の定める一日の栄養摂取量に対して、カルシウムは約70%、鉄分は約24%、食物繊維は約12%を摂取することができます。ごく僅かな量で白米の味をまったく変えることなく栄養価だけがプラスできる点も、キヌアにはない魅力といえるでしょう。実際に上記に挙げた7つの栄養素は、キヌアより豊富に含まれる成分であり、体にとって重要な栄養素。アマランサスの食材としての優秀さが分かりますね。
以下では、アマランサスが持つ健康・美容効果について詳しく紹介していきます。
女性が嬉しいアマランサスの美容効果
豊富な栄養素を持つアマランサスは、非常に高い健康・美容効果が期待できます。特に含有する栄養素のバランスから、女性にとって嬉しい美容効果が高いことで知られています。今回は美肌や美しいスタイルについて美容方面の目線からアマランスが持つ効能をまとめていきましょう!
①くすみ・くま・毛穴レスの素肌に!
先述した栄養素以外でアマランサスが持つ成分の一つとして、ビタミンEがあります。正確には、「トコトリエノール」といわれるビタミンEの一種で、特に強い抗酸化作用を持ち、別名「スーパービタミンE」とも謳われています。脂溶性の抗酸化成分として、医薬品・化粧品・食品にも配合されており、血行促進や肌荒れ改善効果が期待できます。血液が滞ることで起きるくすみ・くま、そして肌荒れによる毛穴の開きにアプローチし、透明感のある素肌づくりをサポート。抗酸化作用によるアンチエイジング効果と複合的に働きかけてくれます。
②エイジングとPMS(月経前症候群)予防の立役者
エイジングケアに大切な成分として、忘れられがちなのが「鉄」「亜鉛」などのミネラル群。中でも亜鉛は、新陳代謝に関わる酵素を作る働きがあり、肌細胞の生まれ変わりを助けてくれます。また鉄分も、加齢により衰えてきた消化吸収の機能促進や肌疲労の改善にも役立つ成分のため、体の中と外からのエイジングケアを可能にしてくれます。
先述したように、アマランサスには白米やキヌアよりも多くの鉄分や亜鉛が含まれていますが、葉酸も白米の10倍含有されています。この3つの成分により効果があるのが、女性特有の貧血予防とPMS(月経前症候群)の改善です。ご存知の通り、鉄分は血液の主成分であり、葉酸は赤血球を生成します。また赤血球に含まれるヘモグロビンの生成には、タンパク質とビタミンB6が必要ですが、アマランサスにはどちらも豊富に含まれるため、貧血予防に最適な食べ物です。
さらに亜鉛は、タンパク質の合成にも関連する重要な栄養素であるにも関わらず、体内で生成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。感情や気分をコントロールする神経伝達物質を分泌する際にも亜鉛が必要なため、PMSによる精神的なストレスにも効果が期待できます。
③スクワレンで若々しいハリとつや
「スクワレン」も、アマランサスに含まれる脂肪分として注目すべき栄養素。人間の体内はもちろんのこと、サメの肝油やオリーブオイルなどにも含まれています。体内では、“酸素の運び屋”として、体の隅々まで酸素を届ける働きがあり、これにより新陳代謝が活性化されます。肌のターンオーバーが活発になると、肌内部の美肌成分(コラーゲンやヒアルロン酸)が豊富に生成され、肌細胞の生まれ変わりも促進されます。それにより、シミ・しわ、たるみ、乾燥が改善され、ハリとつやのある若々しい肌が戻ってきます。スクワレンはその肌への浸透性の高さから、「スクワラン」として化粧品や美容クリームなどに湿潤効果の高い成分として配合されています。
④脂肪燃焼をサポート
アマランサスの美肌への効果もさることながら、美しいスタイルへも大いに貢献してくれます。先述したトコトリエノールやその他の含有成分である「植物ステロール」には、中性脂肪やコレステロールや低下させる作用があり、内側肥満にも効果的。さらには「リジン」という必須アミノ酸も豊富に含まれており、これは米や小麦には含まれていない栄養素の一つなのです。リジンには、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の働きや脂質代謝を促す「カルニチン」の生成を活性化する働きがあります。同じくコレステロールや食後血糖値の上昇を防ぐ食物繊維の作用とともに、ダイエットにも効果が期待できるというわけです。これらの成分は血液中の脂肪を減らすことで血管の老化を防いだり、動脈硬化の改善になったりと、生活習慣病の予防にも適しています。
⑤便秘改善で腸内環境の正常化
食後血糖値の上昇を抑えることにも長けた食物繊維ですが、アマランサスに含まれる食物繊維は慢性的な便秘にも高い効果を発揮してくれます。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類が存在し、腸内ではまったく別の働きをします。水溶性食物繊維は、水分に溶けやすい特徴から、便を軟らかくする作用があり、不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を促進することで、効率良くスムーズな排便につなげます。この2つの成分が相乗的に働くことで理想の腸内環境へと導くわけです。アマランサスにはこの両方の食物繊維が含まれています。特に白米は糖質が多い上に食物繊維が少ないため、いつものご飯にアマランサスを加えることで白米の欠点を補ってくれるのです。
実際にアマランサスを調理する際のポイントやレシピ、そして入手方法などは、後編の【美容レシピ編】にてご紹介していきます。
出典
https://www.stylecraze.com/articles/benefits-of-amaranth-for-skin-hair-and-health/#gref
https://www.healthline.com/nutrition/amaranth-health-benefits#section6
https://medcraveonline.com/JNHFE/JNHFE-08-00295.php