アメリカでは常識?フラックスシードで美細胞を活性化!
「フラックスシード」をご存知ですか?日本では「亜麻仁(アマニ)の種」と呼ばれ、外見や味はゴマに似ています。ペットフードやアイピローとして利用されていますが、実はアメリカやヨーロッパでは美容・健康に優れた効果が期待できる食品として知られています。そこで今回は、フラックスシードが注目される由来や機能、さらに効果的な摂取方法、レシピなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
「フラックスシード(亜麻仁)」とは?
フラックスシードの歴史は古く、ヨーロッパでは紀元前から健康に役立つ食品として親しまれていました。紀元前400年ごろには、古代ギリシャの医師で「医学の祖」と称されるヒポクラテスが「フラックスシードを食べると胃腸の不快に良い」として栽培を推奨していたといわれています。
紀元前300年頃には、同じく古代ギリシャで「植物学の祖」と称されるテオプラストスが「咳止めに良い」と推奨しており、薬用としても認められていたようです。 さらに、時代は変わって9世紀ごろのフランスでは、シャルルマーニュ(カール大帝)が、フラックスシードを食べるように法令化。その健康価値を高く評価していたそうです(フラックスシードを食べないと法で罰せられるなんて、面白いですね)。
また、アメリカでは古くから北米ネイティブ・アメリカン、チェロキー族の人たちが、フラックスシードオイルのことを「病気を治す神聖なオイル」と考え、皮膚のトラブルや関節炎、栄養不良対策に使っていました。フラックスシードオイルを研究しているブドウィグ博士によると、チェロキー族の彼らは、山羊のチーズやカッテージチーズなどのタンパク質と一緒に摂取して、消化の良い高栄養価の食事を作っていたといいます。現代ではその美容・健康価値が改めて見直され、スーパーでも簡単に手に入るようになりました。
一方、日本へフラックスシードが伝播したのは江戸時代。ロシア公使だった榎本武揚によって栽培技術が導入され、北海道で栽培がスタートしました。明治初期頃には大規模な栽培が行われ、札幌市に今もある「麻布(あざぶ)」という地名は、フラックスシード(亜麻仁)発祥の地として名付けられたそうです。
「フラックスシード」の三大栄養素
フラックスシードにはどのような健康成分が含まれているのでしょうか?ここでは、フラックスシードの三大栄養素をご紹介します。
三大栄養素その1
「α-リノレン酸」:現代人に不足しがちなオメガ3系脂肪酸の一種。フラックスシードの20%がこの成分です。
三大栄養素その2
「リグナン」:ポリフェノールの一種。フラックスシードにはゴマより多い、100g中 0.77gが含まれています。食用植物の中ではトップレベルの含有量です。
三大栄養素その3
「食物繊維」:フラックスシードには100g中28gもの圧倒的な量の食物繊維が含まれているのが特徴です。
美肌づくりに有効な三大栄養素
健康成分が豊富なフラックスシード。具体的に、どのような効果や効能をもたらしてくれるのでしょうか?
前述したフラックスシードの三大栄養素(α-リノレン酸、リグナン、食物繊維)は、肥満をはじめとするメタボリック症候群や、心臓病・ガン・糖尿病などの生活習慣病、便秘、腸炎、骨粗鬆症、関節リウマチ、更年期障害、うつ病などの予防・改善に効果的といわれています。そして嬉しいことに、美肌づくりには特に有効なのだそうです。では、健康と美容にどのような機能や効果が期待できるのか、詳しく説明していきましょう。
1. α-リノレン酸
体内で合成できない必須脂肪酸で、フラックスシードにはα-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)がゴマの160倍以上も含まれています。また、α-リノレン酸などのオメガ3系脂肪酸は、体内の細胞を包む細胞膜や細胞間脂質の元になっています。そのため、オメガ3系脂肪酸が不足してしまうと体全体の機能低下や老化の原因となります。また、肌のターンオーバーや水分保持力が低下してしまうのです。
つまり、オメガ3系脂肪酸を増加し細胞の動きを活性化させて、血液循環を改善すれば肌の代謝を促進し、くすみの解消に役立つということ。さらに、α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)は、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)へと変換されることから、記憶学習能力の向上や脳細胞(脳機能)の維持、認知症発症リスク低減にも効果が期待できるといわれています。
2. リグナン
別名SDGとも呼ばれている、ポリフェノールの一種です。抗酸化力が高く、炎症を緩和する作用がありますので、老化防止、ガン予防、動脈硬化予防が期待できます。
体内で女性ホルモンのエストロゲンと同様の働きを持つ成分に変わるため、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やしたり、骨の生成をサポートしたりする働きがあります。
女性ホルモンが増えることから、妊娠中の女性にもいいのではと思われがちですが、妊娠中は、エストロゲン作用物質を摂取するとホルモンバランスが崩れるため、胎児の生殖機能に影響を与えることが指摘されています。そのため、妊娠中の過剰摂取は避けた方がいいでしょう。
3. 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性があり、それぞれ働きが異なりますが、フラックスシードには、この両方がバランス良く含まれています。食物繊維は、腸内環境を整え、腸の「ぜん動運動」を促進するので、肌荒れの原因となる便秘を解消します。また、体内の有害物質を吸着して解毒する働きがあります。
フラックスシードの効果的な摂り方
加熱はNG
フラックスシードオイルは、熱による成分変化を受けやすいので、加熱調理には使わず、そのまま飲んだり、料理にかけたりという使い方がおすすめです。サラダドレッシングに使ったり、オリーブオイルの代わりに茹でたパスタにかけたり、また豆腐にかけたり、納豆・味噌汁といった和食に加えたりしても相性がいいでしょう。
おすすめなのは、スムージーに加える方法です。使用量の目安は、一日にスプーン大さじ2杯くらいが適切です。フラックスシードオイルをそのまま飲むと、少し生臭さがありますが、スムージーに加えれば飲みにくくはありません。
また、フラックスシードを温かい料理に加える際には、人肌程度に冷ますようにしましょう。
密閉容器で保管
もう一つの注意点として、フラックスシードオイルに含まれるオメガ3系脂肪酸は酸化しやすいことが挙げられます。そのため、密閉容器に入れて開封後も光の当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。また、容器が透明の場合は箱に入っていないと流通の際に光が当たって、すでに酸化が進んでいる可能性があります。遮光瓶や箱に入って売られている製品を選ぶのがおすすめです。
そして、開封後は冷蔵庫で保管しましょう。開封後は密閉容器に入れておけば酸化の影響が少ないため、1ケ月以内に使い切るのがいいでしょう。
パウダーで摂取
オイルではなく、フラックスシードのまま摂取する場合、種のままだと消化しにくく、栄養素が吸収されにくいのが難点です。しかし、種を挽いてパウダー状にすれば効果的に摂取することができます。コーヒーミルを使って毎回使う分量を挽くと、鮮度を保って摂ることができます。
フラックスシードは風味がゴマに似ています。そのため、ゴマの代わりに料理へ使用したり、マフィンやパンケーキに混ぜたり、朝食のシリアルやヨーグルトに混ぜて使うといいですね。
フラックスシードを種の状態やパウダー状で摂取する際に注意したいのは、食物繊維が豊富なため、水分を多めに摂る必要があるということ。
砕いたフラックスシードをカップに小さじ1〜2杯入れてお湯を注ぎ、5分程度蒸らすとフラックスシードティーができます。さらに、水と混ぜて30分から1時間置くと、チアシードのようにジェル化します。ジェル化するとヌルヌルして種同士がくっつき合い、ドロっとした質感になります。このため乳製品を使わないヴィーガン・ベーキングでは卵の代替品として活用します。
フラックスシードを使ったレシピ
誰でもすぐに活用できるのが、フラックスシードの嬉しいポイント。ここでは普段の食事に応用できる代表的な3つのレシピをご紹介します。
たたきキュウリのフラックスシード漬け
<材料 2人分>
- キュウリ・・・1本
- しょうゆ・・・大さじ1杯
- フラックスシードオイル・・・大さじ1杯
- ローストフラックスシード粉末・・・5g
- 砂糖・・・1/2g
<作り方>
きゅうりを棒などで叩き、4cmの長さに切ります。
しょうゆ、フラックスシードオイル、ローストフラックスシード粉末、砂糖を混ぜ合わせます。
②に①を入れて5分ほど漬け込み、器に盛り付けて出来がり。
フラックスシード炊き込みごはん
<材料 2人分>
- 米・・・1合
- ローストフラックスシード粒・・・10g
米を研ぎ、炊飯器の規定量の水とローストフラックスシード粒を炊飯釜に入れます。
①を通常の白米同様に炊き、炊き上がったら出来上がり。
フラックスシードハニートースト
<材料 1人分>
- 食パン・・・1枚
- はちみつ・・・大さじ1杯
- ローストフラックスシード粉末・・・5g
食パンをトーストします。
ローストフラックスシード粉末に、はちみつを混ぜ合わせます。
②を①に、お好みの量をかけて出来上がり。
まとめ
フラックスシードを毎日の食事に取り入れることは、思ったよりも簡単であることが分かります。アメリカのスーパーにはフラックスシードのパウダーやオイルが何種類も並び、フラックスシード入りのシリアルやパンなどもよく見かけます。それだけ、日常の食生活に浸透しているのです。医師や栄養士などの専門家も健康や美容のために、積極的にフラックスシードを摂るように推奨しています。アメリカでは一般的な食材となっているフラックスシード。その優れた効果を得るために、普段の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?