ヘルシーかつ美容にも嬉しい効果をもたらすことで、アメリカや日本でも話題の「スーパーフード」。日本スーパーフード協会の定義によると、栄養バランスに優れていて一般的な食品よりも栄養価が高い、もしくは一部の栄養成分が突出して多く含まれる食品のこと。さらに、食材としてだけではなく健康食品としての用途があるものを指します。代表的なものとして、ココナッツやチアシード、アサイーなどはすでに知られていると思いますが、今回ご紹介するのは「モリンガ」というスーパーフードです。ここ数年、アメリカでも雑誌やブログなどさまざまメディアで取り上げられ、注目されています。「あまり耳慣れない」「聞いたことはあるけれど詳しくは知らない」という方も多いかもしれません。しかし、モリンガは美容や健康に磨きをかけたい女性や、アンチエイジングを目指す女性に、ぜひ試してもらいたい食品です。

では、そもそもモリンガとは何か、他のスーパーフードにはない特徴や効果効能、日常生活への簡単な取り入れ方などを詳しく見ていきましょう。

モリンガって何?

モリンガは、インド原産の木でワサビノキ科の植物です。インドやその周辺諸国で古くから美容や健康のため、また薬としても一般的に食されてきたといわれています。日本では、根に香味があることからワサビの木とも呼ばれますが、ワサビとはまったく異なる植物です。

現在、モリンガはインドをはじめアジア、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国などの亜熱帯や熱帯地方に広く自生します。全長は3~10m、幹は細く華奢に見えますが、何といっても生命力が強くたくましいのが特徴です。気候さえ暖かければ、たとえ荒れた地であってもまるで雑草のようにスクスクと育ち、しかも成長が早いことでも知られています。それでいて他の植物とは一線を画する豊富な栄養価を蓄えている上、種から根、茎、幹、葉、花まで全て食べることができ、かつ薬にもなり得ます。インドの伝統的なアーユルヴェーダ式の医療においては、300以上の病気にモリンガを使った薬を使用しているそうです。さらには、種に不純物を除去して水を浄化する作用があるなど、さまざまな用途に使えることから、別名「ミラクルツリー(奇跡の木)」「メディスンボックスツリー(薬箱の木)」「ツリーフォーライフ(生命の木)」とも呼ばれるほど。 また、そのような特性から、発展途上国の食糧難や栄養失調を救い、清潔な水を提供して、健康的な生活環境をもたらすカギになる植物ということでも注目されています。

それでは、まずモリンガの持つ突出した栄養価についてご紹介します。

モリンガの栄養素と栄養密度

モリンガは、人間の生命維持や身体活動になくてはならない<炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル>の五大栄養素と、それに次いで第六の栄養素といわれる<食物繊維>を全て含む、極めて珍しい植物です。そのなかでも、美容と健康に嬉しいタンパク質(アミノ酸)、ビタミン、ミネラルを特にふんだんに含んでいるので、さらに詳しく見てみましょう。

タンパク質(アミノ酸)

人体の約60%は水分でできているといわれますが、残り40%のうち半分を占めるのがタンパク質です。タンパク質は、人の肌や爪、髪の毛などを形成している栄養素で、全部で20種類あるアミノ酸から構成されています。そのなかでも、必須アミノ酸と呼ばれる9種類は体内でつくることができないため、食品から摂取する必要があります。代表的なものとして、肉、卵、牛乳などに多く含まれていますが、野菜や果物でしっかり補給できる食品は多くありません。ところが、モリンガはその必須アミノ酸を豊富に含むどころか、9種類全てを網羅しているという非常に稀な植物です。

ビタミン(ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンCなど)

ビタミンは、先に触れた五大栄養素の中でも、体そのものを構成しエネルギー源となる炭水化物、タンパク質、脂質の代謝を助ける潤滑油のような働きをします。また、抗酸化作用が高い、コラーゲンの生成を促す、皮脂バランスを整えるなどの作用から、美肌に欠かせない栄養素としても知られています。そのようなビタミンが豊富である植物がモリンガです。例えば、モリンガの葉にはビタミンAがニンジンの10倍、ホンレンソウの13倍、ビタミンB1が豚肉の4倍も含まれています。

ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ナトリウム、鉄分、銅など)

ビタミンと同様に、体の代謝の促進、肌でいうとターンオーバーを助ける働きをするのがミネラルです。ミネラルには、毎月の月経により女性には不足しがちな鉄分も含まれています。鉄分不足は貧血や血行不良を招き、ひいては肌荒れや肌のくすみの原因の一つになるため、しっかり補給しておきたいところです。しかも、ミネラルは体内でつくられない栄養素なので、外から摂取しなければなりません。美肌のためにと食事やサプリなどでビタミンを積極的に摂る方は多いかもしれませんが、ミネラルも同様にしっかり補いましょう。その点、モリンガには、鉄分がホウレンソウの25倍、老廃物の排出を助けるカリウムがバナナの15倍含まれるなど、ミネラルがたっぷり含まれています。

このように、人が生きていく上で必須かつ美肌を導く栄養素をこれほどまで豊富にバランスよく含んでいる食品は他になかなかありません。さらに特筆すべきは、モリンガの「栄養素密度」です。栄養素密度とは、食品100kcalのカロリーに対してどれくらいの栄養素が含まれているかを表した数値で、密度が高ければ高いほど、少ないカロリーでたくさんの栄養が摂れるということになります。モリンガは、そんな栄養素密度においても高い数値を誇るので、ダイエットにおいても、美容と健康の維持をする上でも非常に効率の良いスーパーフードなのです。

モリンガの効能と、体や肌への効果とは?

栄養価や栄養素密度の高さのほかにも、モリンガには美容と健康に嬉しいさまざまな効果を期待できます。

抗酸化作用/エイジングケア

モリンガには、ビタミンに加えてポリフェノール、フラボノイド、アスコルビン酸などの高い抗酸化成分が含まれています。抗酸化成分には、肌細胞にダメージを与えてシミやしわの原因となる活性酸素を除去する作用があるので、エイジングケアには最適です。活性酸素とは、体の生理機能や免疫力を維持するために必要ですが、過剰に発生することで細胞を酸化させる成分。酸化した細胞は老化が早まって、体の中に十分に栄養素を取り込むのが難しくなったり、肌のメラニンが過剰生成されシミが増えたり、さらには肌の弾力を保つコラーゲンの生成がスムーズにいかずにたるみを引き起こしたりと、総じてエイジングの大敵といえます。

抗炎症作用

糖尿病、呼吸器や循環器の疾患、関節炎、肥満など、さまざまな慢性疾患を招くといわれる体内の炎症。ニキビや肌荒れも皮膚の炎症が原因の一つです。モリンガにはそれを抑える抗炎症作用があり、薬として重宝される理由にも、その高い効果が挙げられます。

抗菌作用

モリンガから抽出されたエキスは、抗バクテリアや抗菌性に非常に優れており、サルモネラ菌やコレラ菌などが起こす細菌性疾患に対抗できるといわれているほど。また傷口を塞ぐのを助けたり、傷跡を残りにくくしたりするなどの効果もあります。これは、感染症を予防し治癒する手立てとして、特に発展途上国での活用が期待されています。

免疫力アップ

モリンガに含まれるビタミンAとビタミンCには免疫力を高める作用があります。それに加えて、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL値を低くするナイアシンとオレイン酸も豊富に含まれており、自己治癒能力をアップする助けになります。

デトックス効果

食物繊維が豊富に含まれているモリンガは、腸内環境を整えるのに役立ちます。モリンガを摂取することで老廃物がスムーズに体外に排出され、肌荒れやニキビ予防、便秘解消、ダイエットなどに効果が期待できます。

リラックス効果

モリンガに含まれる栄養素「ギャバ」には、興奮した神経を落ち着かせてリラックスさせる作用があります。ギャバとは、本来は体内で作り出すことのできるアミノ酸の一種ですが、ストレスにさらされる機会の多い現代人は不足しがちだといわれています。ですので、モリンガのような食品で補うといいでしょう。

他にも、モリンガには血糖値や血圧、コレステロール値を低下させるといった効果も認められています。このように、さまざまな効能が期待できるスーパーフードですが、効果が強いだけに場合によっては副作用に注意しなければいけません。

モリンガを摂取する際の注意点

厚生労働省によると、ある実験で高容量のモリンガの葉のエキスを妊娠したラットに投与したところ流産が見られた、との報告がなされています。人体への同様の影響はまだ確認されていないようですが、妊娠中またはその可能性がある方は、念のため避けた方が良さそうです。

また、モリンガは血糖値を下げる効果が高いことから、すでに血糖値を下げる薬を服用している方は低血糖の恐れがあります。摂取する前に医師に相談しましょう。

そして、どんなスーパーフードにも言えますが、大量に取り過ぎると良いことはありません。続いて、市販のモリンガ製品をご紹介しますが、記載された用法・容量をしっかり守って摂取するようにしましょう。

実際にモリンガを取り入れるには?

日本でモリンガを手軽に取るなら、茶葉、粉末、サプリメント、オイルの4種類が主な方法です。いずれも、オンラインなどで簡単に購入できるので気になる方はぜひ試してください。

茶葉タイプ

モリンガの生葉を乾燥させて作られるモリンガ茶。ほうじ茶やトウモロコシ茶のような香ばしい風味で、あまり抵抗なく飲めるという方が多いようです。また、モリンガはバジルやパセリのようなハーブの一種なので、出がらしは捨てずに料理の香り付けにしたりトッピングにしたりするのにも向いています。

粉末タイプ

モリンガの葉を粉末にしたタイプは、水やお湯に溶けやすいのが特徴です。青汁のように水に溶かしてそのまま飲んだり、グリーンジュースやスムージーに混ぜたり、パスタやカレーかけたり、お菓子やパン作りに取り入れたりと、使い方は無限大。味が苦手な方でも、調理次第で無理なく取ることができます。

サプリメントタイプ

「お茶を飲む習慣がない」「どう調理してもモリンガの味が苦手」「料理はあまりしない」「もっと手軽に取りたい」という方にはサプリメントタイプがおすすめ。水があればいつでもどこでも飲めるので、仕事場や外出先でも便利です。

オイルタイプ

モリンガの種から抽出されるオイルには、活性酸素を抑えるほか、デトックスやハイドレイド(水和)機能も併せ持ち、肌や髪に塗ることで美しさやうるおいを保つ効果を期待できます。古くは古代ローマ、ギリシア、エジプトでも、モリンガの種から抽出されるオイルが重宝され、香水やローションとして使われていたという記録があります。さらに、世界三大美女とされるクレオパトラが、モリンガのオイルを肌に塗って美しさを保っていたという逸話も。

モリンガはどのように選ぶべき?

モリンガに関わる食品は、意外にもすでに巷に溢れています。インターネットで簡単に検索しただけでも、その種類はさまざま。では、そのなかからどうやって良質のモリンガ選べば良いのでしょうか?ここでは、モリンガ選びのポイントをご紹介します。

栽培方法

遺伝子組み換えでないもの、また、有機栽培、無農薬、無添加のものを選ぶのが無難です。せっかくのスーパーフードも、安全性に疑問があるものでは、その効果にも期待が持てません。

原産地

冒頭で述べたように、モリンガは暖かい気候であればどんな環境でもたくましく育つ植物です。ただし、寒さに弱いというのが唯一の欠点。つまり、亜熱帯や熱帯地域以外で育てられたモリンガは、耐寒性を強化するように品種改良や遺伝子組み換えされていたり、モリンガならではの豊富な栄養素を蓄えていなかったりする可能性が考えられます。原産地をチェックして、モリンガ本来の生息地である暖かい地域を原産とするものを選びましょう。

原材料

モリンガをそのまま粉末にしたり乾燥したりしてつくられるパウダーやお茶と違い、サプリメントには錠剤にするための加工途中で添加物が含まれている場合があります。原材料をチェックして、粉末をそのまま錠剤にしたもの、つまりモリンガを100パーセント配合したものを選びましょう。

モリンガで、エイジングに負けないビューティーライフ

このように、モリンガは生きていく上で必要である基本的な栄養素を豊富に含むだけでなく、美容やアンチエイジングにも効果を発揮します。健康的な毎日を送りたいという方はもちろん、肌トラブルを改善したい、若々しい肌を取り戻したいとい方は、ぜひモリンガを試してみてください。

参考資料

日本スーパーフード協会
http://www.superfoods.or.jp/

厚生労働省「モリンガについて」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/4e-3.html

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