2019年のトレンドフードはこれ!アメリカでアツイのは“海の野菜”
2019年の抱負にダイエットや健康な食生活を目指している女性も多いことでしょう。アメリカでは2019年も引き続き、ヘルスコンシャスやマインドフルネスなどの言葉がすでに多くのSNSや情報サイトを賑わしています。今年も健康的なライフスタイルの中で、心身ともにヘルシーになるための食べ物やエクササイズが、女性たちの注目を集めそうです。そのなかでも多くのメディアで特集されているのが、“海の野菜”とも称される、海藻類の人気ぶり。日本では古くから親しみがありますが、アメリカの女性にとっては近年になって話題を集め始めた“スーパーフード”。今回は、ますます勢いを増す“海の野菜”について、アメリカで発売されている最新の商品から、健康・美容効果まで、日本人の私たちにとっても目からウロコの情報をご紹介していきましょう!
2019年は“海フレーバー”に注目
2018年、アメリカでも話題になった食事系のダイエットですが、炭水化物や動物性タンパク質を制限するタイプも多くありました。またグルテンフリーやベジタリアン、ヴィーガンの食生活を支持する女性も急激に増えているなかで、重要度が増しているのが野菜や植物性タンパク質の摂取です。ヨガや瞑想、ブレスワークとマインドフルネスな活動にも忙しいLA(ロサンゼルス)の女性たちは、より手軽で多くの栄養価を含むスーパーフードに夢中になるというわけです。
そのような状況のもと、ナチュラル系の人気スーパー「ホールフーズ」が2019年にさらに人気と認知が上昇すると予測したフードトレンドの一つが、海藻などの“海フレーバー”なのです。実はここ数年、アメリカでもヘルシー系スナック(間食)として密かに人気を爆発させていた焼き海苔。多くはゴマ油と塩で味付けされた韓国海苔タイプが主流で、「トレーダージョーズ」や「ホールフーズ」「コストコ」などほぼ全てのアメリカ系スーパーでの購入が可能です。日本人からすると、海苔は“ご飯のお供”というイメージがありますが、アメリカではヘルシーなスナックとして食べられることが非常に多いです。そのためトレーダージョーズなどでも、スナック類やナッツ類、ドライフルーツ類などと同じ並びで「シーウィードスナック(seaweed snack/中身は韓国海苔)」などの名前で置かれています。
そして、もう一つ「海藻(seaweed)」の名がつき、LAでよく目にする食べ物が「シーウィードサラダ/海藻サラダ(seaweed salad)」です。こちらはアメリカ系のお寿司屋さんやポケ屋さん、または韓国マーケットなどで見られますが、実際日本の一般的な“海藻サラダ”とはまったく違うことが分かりますよね。アメリカの海藻サラダには、昆布の茎部分や茎わかめが使用されることが多いそうで、味付けはこちらもゴマ油や醤油、そして鷹の爪などでピリ辛風味をプラスさせていることもあります。さらに興味深い点は、海苔であろうが昆布であろうが、わかめであろうが全て「シーウィード/海藻 (seaweed)」という単語でまとめられていることです。日本では古くから食材とし海藻を食べてきた歴史があるため、種類によって名前が存在しますが、アメリカではそれだけ馴染みが薄かったということが分かりますね。
昨年からのヘルスコンシャスブームや新しいダイエット(食事方法)の拡散を受けて、海藻の栄養価への評価がさらに上昇してきたことで、スーパーなどでも種類を明確にする商品も多く見られるようになってきました。そのような背景もあり、2019年のフードトレンドには、海藻系や海系のフレーバーがリストインしてきたのだと考えられます。「海の野菜」や「次世代ケール」とも謳われる海藻類、その人気の広がりに期待したいところですね。
アメリカで注目される“海フレーバー”商品
“海フレーバー”の人気を裏付けるかのようにさまざまな商品が発売されています。さっそく、今アメリカで人気のある海藻系商品やこれから話題を集めそうな注目の商品をご紹介していきましょう!
こちらは、スーパーでのシーウィードエリア。「わかめ(Wakame)」「昆布(Kombu)」「海苔 (Nori)」などの名前が見られます。またシーウィードスナック・韓国海苔風スナックにも、テリヤキやワサビなどさまざまな種類が発売され始めました。このスーパーではすぐ隣にキヌアコーナーがあるようなので、海藻がヘルシー商品として扱われているアメリカの特徴が垣間見えます。
また「ホールフーズ」には、海苔のお菓子の進化系として、海苔にアーモンドやゴマをまぶした薄いウエハースのようなヘルシースナックも登場していました。「スリラチャ(辛いソース)」味もあり、アメリカ人に好まれるフレーバーにアレンジされています。
海苔が練り込まれたバターもこれからさらに話題になりそうな予感。レストランでも「海苔バター(seaweed butter)」でソテーした魚や肉料理があったりと、健康面だけでなく、その豊かな風味にもファンが急増しているようです。
こちらはなんと、「昆布」のピクルス!実にアメリカらしい発想の商品です。アラスカにある昆布をメインに扱うブランドから発売されており、昆布を使ったサルサなども人気。「コーストからテーブルへ」をコンセプトに、海が生み出す栄養価の高い植物にフォーカスし、話題を集めています。
急増するグルテンフリーやヴィーガンの女性たちからの指名率が高いのが「ケルプヌードル(kelp noodle)」。日本で食されている昆布とは違う種類の昆布を使用していることが多いようですが、炭水化物を制限している人にとってはありがたい麺類のラインナップです。ほかにも、スナック系や以前紹介したヴィーガンジャーキーの一つケルプジャーキーもこれからさらに人気を集めるでしょう。
以上のようにアメリカでも広がりつつある海藻類の摂取ですが、アメリカではどのような種類の海藻が、“海の野菜”として紹介されているのでしょうか?日本でも最も有名な“あの3つ”が、アメリカでも人気なようです。次章では、日本人の私たちも普段は意識しない海藻の種類について、じっくり見ていきましょう!
アメリカで紹介される海藻の種類
冒頭でご紹介した通り、海苔スナックを筆頭に、アメリカでも圧倒的な人気を誇るシーウィード/海藻(seaweed)関連の商品。そもそも“seaweed”という単語自体は非常に広義的な意味を持ち、海で育つ植物や藻類全般を指しています。そのため、本来ならば海藻(シーウィード)という大きなカテゴリーの中に、わかめや昆布、海苔という加工品などが枝分かれしていきます。しかし実際には先述したように、アジアでは海苔に匹敵する食べ物やスナックもseaweed(海藻)という大きな括りを商品名にしていることがとても多いのです。その理由としては、日本や韓国のように昔から食されてきた食べ物ではないために、植物としての学名以外に食べ物の種類を特定する英語が少ないことや馴染みが薄いからと考えられています。しかし昨今の人気ぶりから、先ほどのSNSの動画のように、日本語の“wakame”や“nori”など、海藻の種類を明確に紹介するケースも増えてきました。日本では当たり前のように食卓に並ぶ“海の野菜”たち。アメリカでも特に使用されることが多く、料理や健康情報を扱うサイトでも日本語名で紹介されている海藻の種類とその特徴を今一度ご紹介していきましょう。実は日本人の私たちも知らなかったヒミツがたくさん隠されている、奥の深い食べ物なのです!
Kombu/昆布
アメリカでは「ケルプ/昆布(kelp)」としても知られていますが、食用として、特に健康的な食材としての認知が広がったのはここ数年。日本食を始めとするアジア料理のヘルシーさに注目が集まるようになってからは、特に“kombu”としての知名度を上げています。日本では“コンブチャ”が人気になったときに、「昆布とは別物!」なんていう説明をよく目にしましたが、アメリカでは逆に“kombu”の説明をする際に「kombuchaとは違う」という文言が入ることがよくあります。
もともと海藻(藻類)には、緑藻、褐藻、赤藻、藍藻など色の区別による種類があり、以前ご紹介したスーパーフード、ブルーマジックは藍藻(ブルーグリーンアルジー)に属します。日本で古くから食べられてきた昆布は褐藻(ブラウンアルジー)に分類され、厳密にカテゴリーすると、「褐藻類コンブ科」に属します。実は日本人でも2人に1人はその違いが答えられないといわれる「昆布」と「わかめ」の違いですが、わかめの場合は同じ褐藻類でもアイヌワカメ科に分類されています(詳細は後述)。つまり、同じブラウンアルジーではあるが、学術上の科目が違うということになるそう。
もちろん栄養価も大きく違います。海藻類全般に豊富なビタミン、ミネラルなどが含まれており、摂取することで多くの栄養を体に摂り入れることができますが、中でも高い栄養価を誇る海藻の一つが昆布。特にヨウ素(ヨード)の含有量は海藻の中でもトップクラスなのです。ヨウ素は甲状腺の働きを良くするほか、肥満予防や精神を安定させる効果があるといわれています。また食物繊維の一種であるフコイダンも含まれており、動脈中の血栓形成を防ぐ機能もリサーチ結果として発表されました。そして2018年にアルカリ性ダイエットで注目された、体内のphバランスの調整にも昆布は一役買ってくれるよう。他の野菜とは比べものにならないほどの強力なアルカリ性食品といわれ、肉類の摂取で酸性に傾いた体内バランスを、わずかな量も調整することが可能です。昆布は海藻の中でもグルタミン酸が多く、旨味成分も豊富。昆布ダシであれば、ベジタリアンやヴィーガンの方でも使用できますので、味わい深い料理が楽しめると人気を集めています。
Wakake/わかめ
日本の食卓に欠かせない海藻といえば、わかめですね。味噌汁にも入っていることから、日本食が多いLAやNYなどの都会に住むアメリカの人にとっても親しみやすい海藻です。先述したように、褐藻類アイヌワカメ科に属し、海藻独特のヌルヌルの元となるアルギン酸という食物繊維の一種を含んでいます。アルギン酸は体内に蓄積されたナトリウム(塩分)や有害物質の排出を促してくれます。また、わかめの褐色の色素であるフコキサンチンは内臓脂肪の減少に働きかけるという日本の研究が、サンフランシスコの学会でも発表されており、海藻に含まれる成分が肥満対策に役立つ可能性を示唆しています。さらに、日本のお隣、韓国も海苔やわかめなどの海藻を多く摂取する国ですが、韓国の女性は出産後は特にわかめスープを頻繁に飲む食文化があるそうです。わかめの栄養価によって、体力が回復し、母乳の分泌が促進し、赤ちゃんに栄養が行き渡たると考えられているのです。また子供の成長を願い、誕生日にも同様にわかめスープが作られるとされています。海藻を多く食べてきたアジアの国々には、それぞれに古くから伝わる海藻にまつわる食文化があるものですね。
Nori/海苔
こちらはSushi人気の後押しもあり、世界でもぐっと認知度をあげた海藻の一種。昆布やわかめとは違い、紅藻、緑藻、藍藻などからできる加工品であり、海藻の中でも非常に栄養価が高いとされています。特にビタミン、ミネラルが豊富で、“海の緑黄色野菜”ともいわれるほど。海苔たった一枚で、卵二個分のビタミンAを含み、カップ一杯分の生のほうれん草と同じ量の食物繊維を持ち、そしてアボカド2個分より豊富なオメガ3を含有していています。また良質なタンパク源でもあり、その点も他の海藻にはない海苔の魅力。実は乳製品と並んで、海藻類にも多くのカルシウムが含まれていますが、海苔にはカルシウムの吸収を助けるビタミンDも含まれているため、ミネラル不足の人にとっても貴重な栄養源です。LAでは、ヘルシーなスナックとして先述したような韓国スタイルの海苔を子供与えることも多くなってきており、ホールフーズやトレーダージョーズで気軽に購入できるのもうなずけます。
以上、日本でも当たり前のように食されてきた海藻類3種が、アメリカでも人気を集めてきているようです。この3つだけでも海藻類が実に栄養価の高い食べ物であることが分かりますが、海藻類全般にはどのような健康・美容効果があるのか、次でご紹介していきます。
“海の野菜”が持つ豊富な健康・美容効果
①免疫力の上昇
先述の説明のように、昆布に豊富に含まれている“フコイダン”。食物繊維の一種であることから、海藻全般に共通する栄養素ともいえます。フコイダンは免疫細胞を刺激して、免疫力の向上を促してくれます。また胃の炎症の抑制、肝機能の改善、またガン予防の効果など、近年は医学的にも注目が集まっている成分なのです。さらに、免疫力アップさせることで、外的刺激と戦う力がアップするため、春の時期から悩ませる花粉症などのアレルギーの緩和にも有効的だとされています。
②コレステロール・血糖値の改善
海藻に含まれる豊富な食物繊維は、コレステロールや血糖値の改善にも効果的です。一般的に食物繊維は、食べ物が胃や小腸を通過する時間を長くし、炭水化物などの糖質や脂質の吸収を遅らせる作用があリます。食後の血糖値の上昇を穏やかにし、コレステロールの低下を助ける役割を担います。また海藻に含まれるビタミンB1やビタミンB2も脂質や糖質の代謝を促すため、肥満予防としても高く評価されています。
③骨と歯の強化
カルシウムなどのミネラルは、ビタミン群と相互的に働くことで最大の効果を発揮しますが、海藻にはどちらも豊富に含まれています。特にカルシウムは、女性がなりやすい骨粗鬆症の予防や歯の強化などにも効果があります。その他にカリウムや鉄などのミネラルも含まれており、海藻はまさにミネラルの宝庫。女性に優しい海の野菜といえるでしょう。
④ダイエット効果
女性にとってうれしいメリットといえば、ダイエット効果も忘れてはいけません。前章でご紹介したわかめなどに含まれる内臓脂肪を減少させる作用の他、糖質と脂質の吸収を遅らせる効果のある食物繊維も複合的に働いてくれます。また海藻には高い保水性があるため、少し食べただけでも腸内で膨張し、満腹感が得やすいとされています。その上、さまざまな食品の中でも群を抜くカロリーの低さも、ダイエットには最適です。多くの女性たちが実践している昨今のトレンドダイエット(食生活)でも、ほとんどの場合で海藻は摂取が可能です。海藻類を上手く利用して、美味しく健康的にダイエットしていきたいですね。
⑤健康な髪・頭皮ケア
昔から「わかめを食べると髪が伸びる」と伝えられていますが、まったく見当はずれの迷信というわけではないようです。海藻に含まれるヨウ素は甲状腺ホルモンの生成と深く関係しており、新陳代謝を促進する働きがあります。そのため、海藻を食べることにより新陳代謝が活発になり、頭皮にも十分な栄養が行き渡ることが期待できます。また髪の健康にとって不可欠な、タンパク質やミネラル群(ナトリウム、カリウム、亜鉛)、そしてビタミンB群などが豊富に含まれていることもハリのある髪を作る手助けをしてくれるでしょう。ただし、本格的な抜け毛などでお悩みの方にとっては、栄養不足以外の理由も大きく影響していますので、海藻の摂取だけで解決できるわけではないことを念頭に置いてください。
⑥便秘効果・デトックス効果
先述した海藻類の保水力は、便秘の改善にも高い効果を発揮してくれます。腸内で膨張することで、腸の働きを活発にし、蠕動運動を促す作用があるといわれているのです。また海藻のヌルヌル、ネバネバの正体であるアルギン酸(食物繊維の一種)も大腸の働きを活性化し、腸内の有害物質を体外に排出する効果を期待できます。
⑦アンチエイジング
海苔が“海の緑黄色野菜”とも称されるように、海藻には抗酸化力の強いβ―カロテンやビタミンCが豊富に含まれています。それらの抗酸化作用を持つ栄養価と食物繊維による腸内環境の改善により、エイジングケアや美肌づくりにも有用性が高いというわけです。
さまざまな健康・美容効果を持つ海藻類。味噌汁、酢のもの、焼き海苔…古くから日常的に海藻類を食べてきた日本人ですが、昔ながらの和食から遠ざかれば遠ざかるほど、実は健康的な食材を取り入れる機会を失っている可能性もあります。海外では、わかめ入りの「味噌汁(miso soup)」が人気になり、日本では「モリンガスムージー」が飲まれる時代も素敵ですが、メイドインジャパンのヘルシーフードの存在も忘れずにいたいものです。
2019年は“ブルービューティー”を意識して
昨年は、コスメ業界などで「グリーンビューティー(Green Beauty)/地球環境に配慮したパッケージや素材を使用すること」がトレンドワードとして注目を浴びていましたが、その流れを受けて、知名度を上げていたのが「ブルービューティー(Blue Beauty)」です。海の環境保全に関わる活動や運動等全般を指した言葉ですが、今年はさらに活発になるといわれています。海に囲まれた日本も、海を誇るカリフォルニアも、長い間ずっと海からの恩恵を享受し続けてきた共通点を持ちます。それを海への感謝として行動に移す時代がやってきたようです。
以前ご紹介したエコキッチングッズも然りですが、海藻類などの摂取が増えることで、自ずと海の環境に目が向けられることも期待できそうですね。海の野菜を食べることで、自分たちもヘルシーでキレイになることを通じて、2019年は包括的な“ブルービューティー”を意識してみるのもいいかもしれません!
出典
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/6-things-know-about-seaweed
http://www.oprah.com/food/different-types-of-seaweed-nutritional-benefits-of-seaweed
https://www.finedininglovers.com/blog/food-drinks/japanese-seaweed/
https://www.healthline.com/health/food-nutrition/ways-to-eat-kelp-or-seaweed#how-to-eat-more-kelp