乾燥肌対策決定版!顔と体のケア方法から生活習慣まで
目次
乾燥した肌は、水分も皮脂も不足状態
うるおいキープの鍵を握るのは肌の「バリア機能」
加齢から生活習慣まで。バリア機能を低下させる10点
乾燥の原因となることを避け、うるおいは“育む”時代へ
足りない分を補うことがお手入れの主役だった第1世代の保湿
第3世代に突入した保湿ケア
後回しにしがちな体の乾燥対策。まずはここから
乾燥肌対策に効果的とされる栄養素
乾燥肌対策はちょっとした心がけで可能!
空気カラカラの冬真っ只中。肌の乾燥が止まらないという方が増える季節です。いいえ、季節限定ではなく、乾燥は通年の悩みという方も少なくはありません。対策法は万全の保湿ケアですが、体内の水分量を増やすことも後回しにはできません。肌が乾く原因を十分に理解して、本気の乾燥肌対策をしていきましょう。 “うるおいなくして、美肌の道はあらず”です。
乾燥した肌は、水分も皮脂も不足状態
水分不足がもたらす肌の乾燥。しかし、うるおいを保つには皮脂膜が必要です。皮脂膜は皮脂と汗とが混ざり合うことでつくられる天然の保湿クリーム。実際、乾燥しやすい部位をイメージしてみてください。顔の場合は頬、目の周り、口の周り。体の場合はすね、膝、ひじ、足の裏など。皮脂の分泌が少ないところばかりではありませんか? 洗濯物が乾くように、水分だけでは乾いてしまうのが私たちの肌なのです。
うるおいキープの鍵を握るのは肌の「バリア機能」
私たちは「肌が乾燥する」という言葉を頻繁に耳にしたり目にしたりしますが、乾燥肌のフィールドは「角層」です。上の図からも分かるように、皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」に分かれています。さらに表皮には4つの層があって、最も外側にあるのが「角層」。皮膚は約2mmですがその内、角層の厚さはわずか0.02mmです。食品ラップほどの薄さしかありませんが、角層は肌のバリア機能を備えた立派な生体組織。バリア機能とは、角層から水分が蒸散していくことを防ぎつつ、外部からも有害物質が浸入しないよう肌を守る働きのこと。つまり、肌を乾燥から守るには、バリア機能を低下させないように努めることが何より大切というわけです。
加齢から生活習慣まで。バリア機能を低下させる10点
わずか0.02mmの世界で、みずみずしくも、カサカサにもなる肌。精一杯私たちの肌を守ろうとがんばってくれているバリア機能ですが、常に良好とはいかないのが現実です。まずはバリア機能を低下させてしまう原因を確認してみましょう。
(1)加齢によるターンオーバーの長期化
0.02mm、100分の2mmしかない角層。それだけ薄いながらも中には細胞があり、保湿に関わる因子が2つ存在しています。一つは「天然保湿因子(NMF)」。もう一つは、角質細胞同士の隙間を埋めるように存在している「細胞間脂質」です。天然保湿因子は肌が持つ水分保持力の18%、細胞間脂質は80%を担っています。いかに2つの因子が肌のうるおいに欠かせないものか、一目瞭然ですが、ともに肌のターンオーバーの過程でつくられます。
表皮の基底層で生まれた肌細胞が、角層で垢となって剥がれ落ちていくまでの新陳代謝を指すターンオーバー。通常は28日サイクルといわれますが、それは20代の頃のお話。加齢で新陳代謝が鈍れば周期は長くなります。個人差があるものの、40代で約55日、50代で約75日まで延びるともいわれています。新しい細胞が生まれるペースが落ちるのですから、ターンオーバーの過程でつくられる天然保湿因子や細胞間脂質にも影響があります。残念ながら、だんだんと減ってしまうのが私たちの肌なのです。
(2)皮脂分泌の低下
天然保湿因子や細胞間脂質ほどの貢献度はありませんが、肌のうるおいを保つ上で必要な皮脂。これもまた加齢とともに分泌量が減少していきます。とくに女性は40~50代にかけて急激に減少していきます。若い時脂性肌でも、50代で過剰な皮脂分泌に悩んでいる方が非常に少なくなるのはこのためです。
(3)ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンバランスの乱れも乾燥肌の原因になり得ます。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあります。エストロゲンは角質細胞や真皮の線維芽細胞の増殖を促進するなどの働きがあり、プロゲステロンは皮脂分泌を促したり、水分を細胞に閉じ込め細胞のうるおいを保ったりする作用があります。
(4)間違ったスキンケア
スキンケアの習慣やクセが、実はターンオーバーを乱していることがあります。不十分なメイクオフ、洗顔時のゴシゴシ洗い、温度の高いお湯でのすすぎ、洗顔後の放置、化粧水が足りていない、クリーム嫌い、ピーリング剤の使い過ぎなど。ついつい行ってしまいがちです。特にピーリング剤は使い過ぎると、ターンオーバーが短くなってしまうことがあります。ターンオーバーは短くてもNG。未熟な細胞のまま新陳代謝が行われてしまうので、これもまた乾燥の原因になってしまうのです。
(5)間違った入浴法
ボディの場合は、ナイロンタオルなどによる摩擦、洗浄力が強すぎるボディウォッシュ、42℃の湯船にじっくりつかる、洗いっ放しのノーボディケアなど。これらは古い角質や汚れだけでなく、バリア機能に必要な皮脂や正常な角質まで奪い取ってしまう可能性が大。ターンオーバーを乱し、バリア機能を弱め肌の乾燥を招く行為なのです。
(6) 空気の乾燥
健康な肌の角層には、約20~30%の水分が含まれていますが、冬は大気の乾燥と室内の暖房器具による乾燥で、肌は常に過酷な状況に置かれています。肌にとって最適な湿度は65~75%といわれています。角層の水分は、湿度50%を下回ると急激に蒸発しやすくなります。つっぱり感があるときは、肌の水分量は10%以下になっている可能性があります。外出時の風も強いほど肌は影響を受けて乾燥を助長させます。
(7)冬の寒さ
肌の細胞に栄養と酸素を供給し、細胞から出た二酸化炭素や老廃物を回収する役割を担う毛細血管。毛細血管の循環なくして、肌の健康はあり得ません。しかし、冬の寒さは皮膚の毛細血管の循環を鈍らせます。栄養や酸素が行き渡りづらくなるわけですから、もれなく肌の新陳代謝もダウン。季節で考えるなら、ターンオーバーの乱れを招くのは、暑い夏より寒い冬なのです。
(8)紫外線によるダメージ
夏に一所懸命行っていても、冬はさぼりがちになりやすい紫外線対策。しかし紫外線は一年中降り注いでいます。確かに冬は夏の紫外線量よりは少なくなりますが、繰り返し浴びていればダメージの蓄積は避けて通れません。容赦無くバリア機能を低下させます。結果、肌の乾燥が進み、悪化するという悪循環に陥る可能性があります。
(9)体内の水分量の低下
汗をかいたまま水分を補給しなければ、私たちの体は脱水状態に陥ります。また、エアコンなどの送風も、自分では気がつかないうちに肌や体から水分が蒸発しています。体内の水分不足により血液はドロドロになり、血液がドロドロになれば血行不良を引き起こします。さらに血行不良は新陳代謝を鈍らせ、肌のターンオーバーにも悪影響を及ぼします。寒いからと暖房器具の温風に当たったりしている行為が水分を奪っているのです。
(10)ストレス、睡眠不足、偏った食生活
ストレスは血行や新陳代謝と密接な関係がある自律神経を大きく乱し、睡眠不足で成長ホルモンの分泌か不足すれば、ターンオーバーの遅れにつながります。栄養素では肌のターンオーバーを正常に保つ働きがあるビタミンB群が不足すると肌に悪影響がでます。利尿作用があるコーヒーや緑茶は、水分を摂取したつもりでもすぐに排出されてしまいます。
乾燥の原因となることを避け、うるおいは“育む”時代へ
たくさんの原因をお伝えしましたが、上記の(4)~(10)の項目は、意識することが解決の第一歩です。ほんの少しの心がけが大きな変化を生みます。例えば、「湿度計を置くことで、室温だけでなく湿度も気にかけるようになった」「クレンジングや洗顔時のどれだけこすっていたかが分かった」「カフェでコーヒーを飲んだら、出された水も飲むようになった」など。しかも、保湿ケアは「第3世代」へとの進化。今は年齢を重ねてもなおみずみずしい肌を育める時代です。
足りない分を補うことがお手入れの主役だった「第1世代の保湿」
化粧水で肌をうるおわせ、与えた水分が逃げないようにクリームを使う。いわゆる「うるおいを与え、フタをする」ケアは、「第1世代」と呼ばれる保湿法です。もちろん今もこのお手入れ方法は保湿の基本です。ただクリームはラップではないので、完全にうるおいを閉じ込めることはできません。僅かながらも少しずつ水分が蒸発していくのは避けられません。
そこで考え出されたのが、保湿力に優れた成分を与えて、うるおいをしっかり抱きかかえられる環境を作り出す「第2世代の保湿法」です。化粧水や美容液からの保湿成分を天然保湿因子と結合させ、その周りを角質細胞間脂質がしっかりサポートします。単にうるおいを与えるだけでは叶わない、理想の角層環境をつくり出せるのが特徴です。
「第3世代」に突入した保湿ケア
肌はターンオーバーの過程で天然保湿成分や細胞間脂質を自らつくり出すことができます。そこに着目し、肌本来が持つうるおいを育む力を高めることを実現させたのが、「第3世代の保湿法」です。砂漠化した土地に、今までは雨が降ったときにだけ池が出来ていたとします。それが、肌の機能を高めることで、地下から水が沸き上がり、自然とオアシスができるようなイメージです。
第3世代の保湿をリードする成分をご紹介しますが、世代が移ってもバリア機能を正常に保つためには「こすらない」「叩かない」「すり込まない」が鉄則です。美容成分はすり込まずとも角層に吸収されていきます。もちろん保湿の後、クリームやオイルでフタをして皮脂膜をサポートするのは、第1、第2世代保湿と変わることはありません。
第3世代の保湿をリードする成分
ホメオシールド(フカスセラツスエキス)
角質細胞間脂質の主成分セラミドは、足場がしっかりとしていないと定着せず、本来の機能を果たすことができません。ホメオシールドには、セラミドの足場をしっかりと固定させる働きがあります。角層を整えて肌表面をなめらかにすることで、角質細胞が蓄える水の量を格段に高め、うるおいの持続性を高めます。
アクアタイド(ヘキサカルボキシメチルジペプチド-12)
外から与えた水分を捕まえ、肌の内部に引き込む働きを持つ成分です。加齢と共に排出されにくくなる老廃物を細胞外に出るサポートもします。部屋の中に、物やごみが溜まっていると、新しい物を置くスペースがありませんよね。同じように、老廃物の排出がスムーズな細胞はスペースができるので、水分をもっと蓄えることができるようになります。
後回しにしがちな体の乾燥対策。まずはここから
「のどが渇いた!」と思う前に水分補給
一般的にのどの渇きを感じたときに、人は水分を補給します。でも、実はそのタイミングで水分を摂取するのでは遅いケースがあります。暖房の効いた部屋で長時間過ごすときなどは、喉の渇きを感じる前のこまめな水分補給を心がけましょう。
【上手な水分の取り方】
乾燥肌対策を考えた場合、冷た過ぎる飲み物は厳禁。体温が低下してしまうからです。体温の低下は新陳代謝を鈍らせます。大量に汗をかいたときはスポーツドリンクが効果的ですが、冬の日常の不感蒸泄では電解質はあまり失われません。体を温めつつ水分を補える白湯や生姜湯、ハーブティーなどがおすすめです。
【コーヒー、お茶のカフェインに注意】
一方で、温かくても乾燥肌対策にはつながらないのが緑茶やコーヒー。カフェインによる利尿作用で、水分を摂取したつもりでも、すぐに排出されてしまうからです。同じようにアルコールにも利尿作用があります。また緑茶やコーヒーはタンニンも多く含みます。タンニンは新陳代謝に欠かせない亜鉛の吸収を阻んでしまう成分です。飲み過ぎは注意です。
お風呂の入り方を見直す
体のめぐりをよくする上で欠かせない入浴ですが、40℃以上のお湯は長く浸かると、肌に備わっている保湿成分や皮脂が流れ出てしまう可能性が高まります。肌にとって入浴の適温は38~40℃といわれています。保湿対策ができる入浴剤を上手に利用して、お風呂上がりはタオルで体を拭く前にボディオイルを塗ると、乾燥対策に。
乾燥肌対策に効果的とされる栄養素
バランスのよい食生活は美と健康の源ですが、乾燥肌対策として積極的に摂取したい栄養素が3つあります。「タンパク質」「ビタミン類」「必須脂肪酸」です。
細胞の原料となる「タンパク質」
肉・魚・大豆、卵に多く含まれ、摂取しやすい栄養素です。タンパク質が不足するとターンオーバーが整わず、肌の水分保持力が低下してしまいます。手軽に調理できるメニューでタンパク質を補いましょう。
肌の再生を促す「ビタミンB2、B6、B12」
ビタミンB群は、キノコに豊富に含まれています。ビタミンB群が足りていると、タンパク質の吸収もよくなります。B2はレバー、うなぎ、キノコ、納豆など。B6は鶏むね肉やジャガイモ、B12は魚介類にも多く含まれ、サプリメントでも摂取可能です。その他、コラーゲンの生成をサポートするビタミンC、血行促進に期待できるビタミンEも乾燥肌対策には欠かせないビタミンです。
肌細胞の細胞膜をつくる「必須脂肪酸」のオメガ3とオメガ6
エネルギーを生産したり、ビタミンの吸収を助けたりする上で体に必要な脂肪。オメガ3もオメガ6も体内で合成できませんので、食事から摂取する必要があります。オメガ3系はサバやイワシといった青魚に多く含まれ、えごま油や亜麻仁油にも含まれます。リノール酸であるオメガ6系はコーン油や大豆油に多く含まれていますので、揚げ物をする際にこの油で揚げたりすると手軽に摂取できますね。必須脂肪酸のオイルで作ったドレッシングもおすすめです。
乾燥肌対策はちょっとした心がけで可能!
いかがでしたか?「乾燥」はほぼ全ての肌トラブルの原因になります。寒い季節だけのことと軽く考えていると、さまざまな肌トラブルが浮上してくる事態になりかねません。しかも、ホルモンの影響により多くの女性が加齢とともに乾燥肌に傾きがちになります。スキンケアによる保湿はもちろんのこと、水分補給や入浴時の工夫、食事など、ちょっとした心がけ次第で乾燥対策は行えます。まずは意識をすることが大切!毎日に生活全体で取り組んでいきましょう。