冬のボディは水分不足。あと2杯、水を飲もう!
肌が痛いほど空気がカラカラの今、それでも夏に比べると喉の渇きを感じにくいのがこの季節。ついつい、水分を積極的に取らなくなりがちです。結果、体の外へ排出される水分は多いのに、体の中に補給される水分は少ない状態になり、気がつけば、肘やかかとが粉を吹いていたなんて事態に。肌の水分量を上げるためにも体内の水分量を十分に保つことが大切です。今回は、冬の水分不足とその対策についてご紹介します。
目次
・一日に2.5ℓの水分を失っている⁉︎
・水分不足のリスク3選
・水分補給のタイミング。一度にたくさんはNG
・何を飲んだら?イオン飲料ってどうなの?
・エアコンと加湿はセットで
・入浴中のケアの見直しを
・お風呂上がりの保湿は5分以内で!
・機能性インナーって?
・水分量を保ってみずみずしいボディへ
一日に2.5ℓの水分を失っている⁉︎
個人差はありますが、厚生労働省によると私たちの体は一日に平均2.5ℓの水分を排出しているといわれています。500㎖のペットポトル5本分。なかなかの量です。この内訳は、尿や便で1.6ℓ、0.9ℓが「不感蒸泄」。文字通り、感じることのないまま、皮膚や粘膜や呼気から失われる水分のことです。
不感蒸泄量は夏より冬の方が多いともいわれています。気温が低く空気がカラカラで皮脂膜がつくられにくいからです。「水分の蒸散を抑える」「雑菌の繁殖を抑える」「外からの刺激を緩和する」など、皮脂膜には重要な役割があります。急激に皮脂の分泌量が減る40代からの大人肌は、特に乾燥した空気と自然老化のダブルパンチを受けている状態です。
加えて、さほど喉も渇かず、さほど水分を欲しない冬。結果、体の外へと出ていく水分に対して、補給される水分は少ない状態になりがちです。知らず知らずのうちに体液が失われ、「かくれ脱水」に陥ることもあります。「かくれ脱水」は放置すると脱水症につながるリスクが高まるので、侮れません。「頭痛」「めまい」「胃もたれ」「体に力が入らない」などなど、脱水とはなかなか結びつきにくいと思いがちですが、水分不足が原因のことが多々あります。脳、消化器官、筋肉を働かせるには、体液の循環が必要なのです。
水分不足のリスク3選
水分不足によって高まるリスクにはさまざまなものがありますが、ここでは3つご紹介します。
1. 風邪やインフルエンザの感染リスク
気道の粘膜は水分が不足すると、十分な能力を発揮できません。ウイルスは口や鼻から空気と一緒に入り込みますが、粘膜がうるおっていれば、粘膜のせん毛がウイルスを絡め取って体の外へ排出することができますが、乾燥していると侵入を防ぐことができません。
2. 血液の粘度が高くなって、血流がダウン
体内の水分量が減少すると、血液量も減少し、それにあわせて血液の濃度も高くなります。血液がドロドロだと、免疫力をつかさどる白血球の働きも悪くなってしまいます。脳梗塞や心筋梗塞は、水を飲まないことで罹患率が上がるといわれています。
3. 肌ダメージ
肌の水分量が減ると、新しい細胞が生まれにくくなり、ターンオーバーが妨げられてしまいます。肌の角質層のバリア機能も低下してしまいます。角質層のバリア機能が低下すると乾燥が進むのはもちろん、外部刺激を受けやすく、待ち受けるのは負のスパイラル。
顔だけでなく、ボディの角質層も同じです。ボディの場合は、肘、膝、踵、すね、腰、わき腹が特に乾燥しやすい部位です。「粉ふき」状態になったり、痒みに悩まされたり。無意識のうちに肌を掻いて表皮を傷つけ、ますますバリア機能を失ってしまうこともあります。スキンケアで保湿しても、根本から肌をうるおすには、体内に水が必要です。
水分補給のタイミング。一度にたくさんはNG
ここからは対策についてご紹介していきましょう。
厳密には年齢や体重によって異なりますが、厚生労働省基準で一日に失われる水分量を2.5ℓとします。食事から取る水分(正しい食生活が前提です)や体内でつくられる水分量は1.3ℓほどなので、一日1.2ℓくらいは意識して水分をとる必要があるというわけです。タイミングとしては、寝起き、運動したとき、入浴前後、寝る前、アルコールを飲んだときを意識してください。
まずは「目覚めたときに一杯」「就寝前に1杯」あと2杯の水を飲む習慣を!薬の感覚で時間を決めて飲むのもおすすめします。ただし、体が一度に吸収できる水分量は、200~250mlといわれています。大量に飲んでも吸収しきれなかった分は尿として出てしまうだけ。腎臓での処理が追いつかず、体内の塩分濃度が薄まってしまうこともあります。一日6~8回に分けた、こまめな水分補給を心がけましょう。
何を飲んだら?イオン飲料ってどうなの?

水分補給の大切さはわかっても、寒い冬、そんなに水ばかり飲めないという方も多いかもしれません。最適なのは水ですが、お茶やコーヒーでも水分補給は可能です。お茶にもコーヒーにも抗酸化力があります。ただしカフェインによる利尿作用も考えて、取り過ぎには注意が必要です。
では「体液と同じ成分」「体にやさしい水分補給」などと宣伝され、お茶やコーヒーよりもイオン飲料を飲んだ方が体に良いような気になってきますが、実際はどうなのでしょうか?
イオン飲料は体から失われた水分やナトリウムなどのイオン(電解質)をスムーズに補給できる飲み物のことです。ミネラルを含むため、体に吸収されやすい特徴があります。体液に近い成分でできているイオン飲料は、ナトリウムやカリウムなどのイオンを適切な濃度で含んでいます。しかし大量の糖分も一緒に摂取することになります。糖分を処理するためにはビタミンB1を使うため、飲み過ぎるとビタミンB1が不足してしまいます。素早く吸収され、長い時間体内に留まるのは事実ですが、常飲は避けたいドリンクです。その他フレーバーウォーターやジュースも糖分への意識を忘れずに。
エアコンと加湿はセットで
部屋の湿度は不感蒸泄に影響します。湿度が低くなるほど、体から失われる水分量は多くなっていきます。冬の平均湿度は50%前後ですが、1日の中でも変化し、最小湿度は10%~20%にもなります。しかも夏の湿度50%と冬の50%は同じではありません。温度が高いほど空気中に抱え込める水蒸気の量は増えるからです。夏の湿度70%はジメジメなのに、冬の70%は案外ちょうど良かったりするのも、水蒸気の量が違うからです。
しかもエアコンは空気を直接温めて温度を上げるので、加湿をしなければ室温だけが上り、湿度は低下してしまいます。不感蒸泄量をむやみに増やさないためにも、十分な加湿を心がけたいものです。加湿器のほかに、濡れタオルや洗濯を干す、窓を開けて換気をするのも湿度UPに有効です。
湿度については『肌がカサカサ!この乾燥の原因は?「相対湿度」と「絶対湿度」』もご一読を!
入浴中のケアの見直しを
湯船に浸かるお風呂タイムは極楽という方も多い今の季節、入浴中のケアを見直すことでボディの水分不足対策をしましょう。
温度調整
皮脂膜や角質層の内部でうるおいを守る細胞間脂質は肌が濡れるだけで流出しますが、お湯の温度が高いと加速してしまいます。寒いと42℃の熱湯が心地よかったりしますが、肌の乾燥を防ぐには40℃以下がおすすめです。シャワーの温度も同様です。そして手足がふやけるほど長湯は乾燥対策として控えましょう。
入浴剤
湯船には保湿成分入りの入浴剤を入れるとさらに快適にボディの保湿に役立ちます。入浴剤は保湿に特化したものを選ぶのがおすすめ。セラミド・アミノ酸・ヒアルロン酸・コラーゲンは、肌にもともと存在している保湿成分です。入浴剤に使用されている成分も確認してください。
ボディソープ
「洗い流してしまうものだから」と軽く捉えずに、こちらも保湿成分入りを選択したいところ。洗っている際の肌への負担も抑えられます。洗浄力が穏やかなのはアミノ酸系の洗浄成分です。「グルタミン酸」「アラニン」「グリシン」「タウリン」「アスパラギン酸」などの成分表示があるものはアミノ酸系です。
ボディの洗い方
ゴシゴシと洗う摩擦は大敵です。ただでさえ、もろいバリア機能がさらに弱まってしまいます。いかに強く擦らず洗えるかが鍵になります。手でやさしくなでる程度でも汚れは十分に落とせます。ボディタオルやスポンジを使う場合は、肌に極力負担のかからない綿やシルクなど柔らかい天然素材のものを選びましょう。
お風呂上がりの保湿は5分以内で!
入浴前と比べて肌の水分量が多いのは、お風呂から上がった10分後までといわれています。すこやかな肌を保つには、わずか0.02mm、ラップ1枚程度の角質層の水分量をいかに保つかが鍵になります。
なにはともあれ、素早い保湿
角質層には外的刺激から肌を守るバリア機能としても存在しています。そして面倒かもしれませんが、理想はボディローションで肌をふっくらさせる→油分多めのボディミルクやクリームで蓋の2ステップ。驚くほど保湿効果が高まります。「ローションまで無理!」という方は、濡れた肌でも使えるボディオイルをバスルームでつけてしまうのがおすすめです。
塗り込むのではなく、馴染ませる!
ボディも顔も肌の基本的な構造は同じです。それにもかかわらずボディは顔に比べると、つい雑に扱いがちです。ローションもクリームも塗るときは、肌に負担をかけないようやさしく馴染ませましょう。グイグイと擦りつけるような過度な塗り込みは摩擦でさらに表皮を傷つけてしまいます。朝の支度や自宅に戻って部屋着に着替えるタイミングもケアのしどきです。正しいケアでうるおい構造が整ってくれば、肌がうるおいを抱え込む力は着実にアップします。
機能性インナーって?
ここまでボディをケアしたら、インナーにもこだわりたくなるものです。寒い今の時期は、特に機能性インナーを着用している方も少なくはないはず。中には「痒くて着れない」という方がいますが、インナーの素材が化繊であるからというよりも、乾燥肌が原因である場合が多いのです。自然素材のほうが静電気を引き起こしにくいのは確かですが、乾燥した肌は静電気を発生させやすく、その静電気が肌をチクチクさせてしまいます。ボディを十分にうるおすことで、着心地は変わってきます。ただし、機能性インナーの保温性は、汗などの水分が水蒸気に変わるときに生まれる熱を利用しています。水分を奪ってこその機能だということも知っておきましょう。
水分量を保ってみずみずしいボディへ
いかがでしたか?冬のボディがいかに水分不足に陥っているかがわかったのではないでしょうか。対策はまずは気にかけて意識をすること!さらに「水分をこまめに取る」「加湿する」「うるおす」の大きく3つを行っていけば、ガサガサや粉ふきとは無縁のみずみずしいボディを保つことができます。ボディを覆い隠す服を着る季節の次は、肌を見せる服に袖を通す季節がやってきます。冬の今こそしっかりお手入れをして、春の到来に備えましょう。